台風はCDのように薄っぺらかった
(上)今年は台風の上陸数が多い。この雲、横から見ると。。(下)CD=台風!?
台風シーズン真っ盛りの9月。豪雨・暴風共に甚大な被害を与えた台風の大部分はこの9月に来襲しているということで、特に当たり年の今年は、天気図上の「台」マークから目が離せない毎日が続いています。


さて、この台風、立体的に見るとどんな形をしていると思いますか? こう聞かれて、小中学校の頃に見た教科書や図鑑に載っていた、厚手のデコレーション・ケーキを切ったような断面図を思い出す方も多いかと思います。目の周りを壁のように囲む一段と高い入道雲の筒、その外側を何重にも渦巻き状に取り巻く雲の帯……。

でも、このイメージにはとんでもない誤解が! 絵と本物とでは、横幅と厚みの割合が全く違っていて、実際の台風はもっともっと薄いのです。台風の眼を囲む雲の筒の高さは、強い台風で15km程度。周辺部はもう少し低く10km強になっています。これに対し、渦巻き状の雲の範囲で見た台風の直径は、中くらいの台風でも1000kmを越え、大型台風なら1500〜2000kmに及ぶものもザラ。
とすると、直径は厚みの100倍以上にも達するわけで、実はデコレーション・ケーキなどとは似ても似つかぬ、断面図が描けないぐらいの薄い薄い円盤なわけです。と言っても実感が湧かないでしょうから、このような比率を持つ円盤を身近で探すなら……そう、CDがぴったりなんです。CDは厚みが1.2mmに対し直径がそのちょうど100倍の12cmの円盤。しかも縮尺は、CDの1mmが実寸の台風の10kmに相当するというわかりやすさ。おまけに、CDの穴の大きさは15mmで、これを台風の実寸に当てはめると150km。実際の台風の眼の直径は数十km〜200km程度ですから、これもまさにピッタリと言えます。


台風の衛星写真や絵を見ていると、何か巨大な竜巻のような、厚みのある雲の渦巻きであるかのような錯覚に襲われますが、実は台風の正体はこんなにも薄っぺらな、渦巻く雲の円盤だったのです。しかも、ただCDのように水平にクルクルと回っているのではなく、その薄さの中では、かの台風断面図〜デコレーション・ケーキ〜に描かれているように、激しい上昇気流をともなう巨大な入道雲が何個も並ぶという、厚み方向の複雑な構造もちゃんと存在しているのです。ちょっと想像してみて下さい。なんかもう、自然現象と言うより、芸術品のような気がしてきませんか??(koala)