「お葬式の相場っていくら?」
「安心して故人を送りたいけど、費用を抑えたい」
一生のうちで数回しか関わらないお葬式。よく分からないからこそ、不安や疑問が多い。


そんな中、葬祭業界に新風を巻き起こした「お葬式」がある。葬儀の全費用が追加料金なしで低価格。年間の依頼件数が1万件を超えるという、「小さなお葬式」だ。「小さなお葬式」を運営する株式会社ユニクエスト・オンライン、代表取締役の田中智也さんに、最近の葬式事情などについて聞いた。

――以前は、盛大に故人を送り出すという葬式が多かったように思うが、最近はどのような葬式が求められているのだろうか?
「葬儀の規模は、急速に小規模化へと進んでいます。規模というのは、親族の参加人数に、会葬者(参列者)の参加人数で決まりますが、時代の流れとともに高齢化で近所付き合いが希薄化し、ご近所へのお声がけを敬遠される方も少なくありません。
また、核家族化で葬儀にかけられる予算が減少し、大規模な葬儀が消費者の負担になっているのが現状です。近年までは、予期せぬ死に対し、残された遺族の心に整理をつけるための役割が大きかったと考えますが、現在は、医療・介護の進歩により、死を迎えるまでに心の整理をつける方が増えてきて、葬儀に対する考え方が変化したことも、小規模化の要因に挙げられると思います」

通常、規模にもよるが葬儀や葬式は、寺院の僧侶を招き、通夜と告別式を行い、2日で約100万円以上を費やすという。同社の「小さなお葬式」は、「高齢者だし家族だけでゆっくり故人を送りたい」「介護や看護にお金がかかったので、葬儀に金額をかける余裕がない」など、たくさんの家族の声から生まれたサービスで、追加費用が一切ないのが特徴だ。

中でも、依頼者数が一番多いのは通夜式・告別式を行わない、総額17万8千円の「小さな火葬式」だという。僧侶が必要な人には寺院へ支払うお布施を定額化し、これ以上、費用が加算されないという安心感に加え、24時間対応のコールセンターを運用するなど、サービスが充実している。

――消費者に支持されている理由について
「通常、葬儀は価格も不明瞭で、相場はあいまいです。
消費者にとって提示された金額が高いのか、安いのかの判断がつきにくいという声をたくさんいただき、そんな声に徹底的にお答えするために始めたのが『小さなお葬式』です。『費用は抑えたいが、葬儀らしいことをしっかりと行いたい』という意向に応え、残された遺族に故人との最後の時間を持って頂くために、十分な内容の葬儀・葬式を行っていただけるのも支持される理由のひとつだと思います」

――利用者について
「当社の葬儀は全国対応。メディアなどで、葬儀は地域によって文化に差があり、全国で均一化することは難しいと言われますが、当社は可能だと結論付けております。実際に、町村のような人口の極めて少ないエリアでのパッケージサービスを提供し、全国からご依頼をいただきます」

――葬儀社、葬儀プランを選ぶ際に、気をつけることは?
「葬儀社から『本体価格』『別途(追加)料金』という2 種類を提示される場合、ここでいう『別途料金』とは、火葬料金や搬送(距離別)料金、式場料金などがあります。ホームページや、パンフレットなどに記載されているプラン内料金には、含まれていないことも多いので、注意が必要です。弊社にお問い合わせ頂くタイミングは、事前相談が61.6%に対し、事前相談なしが38.4%で、多くの方にあらかじめご相談をいただきます。
事前に問い合わせすることで、適正な業者、価格の見極めができ、突然の支出に備えることができます」

――「ウェブ集客型葬儀サービス」の依頼件数第一位(富士経済調べ)について
「インターネットによる、情報の流通による恩恵を受けることができないカテゴリは多々ありますが、本来は、あらゆる情報が開示され、それに伴う競走が生まれ、ユーザーが比較・判断をすべきです。しかし、葬儀業界は相場を形成するには至っていません。『不透明』なサービスを、インターネットを活用することで、次々と『透明』にすべく、価格を明瞭化することに力を注ぎ、新たな価値を創造したいと考えています」


2009年10月にスタートした「小さなお葬式」は、ここ2年で年間1万件の受注があるなど、消費者からの反響を呼んでいる。葬儀社の考える葬儀ではなく、家族が真に求める「お葬式」を提供していることが支持されている理由なのかもしれない。
(エキサイトニュース編集部)