――日本企業の中国進出で、なにかエピソードはありますか。
海部:地元だった中京工業地帯はせんい産業が盛んな土地です。ご存知のように、産業として決して楽な状態ではない。かつての繁栄を取り戻そうと、中国への進出を希望する企業も、かなり出ました。上海市長だった黄菊さんにお願いして、世話してもらったこともあります。もちろん、成功例も、失敗例もあります。いずれにせよ、各界が力を合わせて積み重ねることが大切ですね。
経済面での中国の発展はすざましい。
――日本と中国で、今後はどのような結びつきが出てくるでしょう
海部:日本にとって、福祉や健康は大きな問題。中国にとっても大きな課題だから、あるいは、中国でうまくいったやり方を、日本が参考にすることがあるかもしれない。
ただ、中国は広い。地方によって、状況が違う。文部大臣が終わってからだったから、1980年代後半かな。新疆ウイグル自治区を旅行したことがある。日中友好協会のお世話になり、ウルムチやトルファンを訪れました。
日中では、若い世代の交流も大切な取り組みです。私は日本の青年海外協力隊を作ったメンバーのひとりでもあります。
青年海外協力隊は、途上国に対してのお手伝いを念頭にある団体です。ところが、中国側が、「ぜひ、わが国にも来ていただきたい」と言う。
それで、中国側に言ったのです。日本は歴史的に、中国は学問でも文化でも兄貴分と思っていた。
そうしたら王毅大使が2007年に離任する際、中国から帰ってきた協力隊メンバーを招待して、個人的にパーティーを開催された。王大使の自費だったそうです。感謝の心をきちんと形にする義理堅い人だなあと、あらためて感じ入った次第です。
王毅大使には、この事務所にも、よくおいでいただいきました。そんな折には、互いに、不必要に刺激する話はしないようにしました。双方にとってのいい話もするようにしました。互いに素直、正直になることが、友好と親善を促進するうえでの第一の関門だと思います。
――5月1日に、上海万博が始まりました。
海部:成功させてほしいですね。開催前に、担当者に会って話を聞きました。7000万人を動員する過去最大規模の大会になるとのことです。私も招待されました。実際に行けるかどうかは、まだ分かりませんが。
中国の実情を世界に知らせる発信、アジア近隣国への刺激にもなる。成功させて欲しいですね。(編集担当:如月隼人 聞き手:有田直矢 サーチナ常務取締役 共同制作:人民網日本株式会社)
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