中国の各種ブログや掲示板ではこのところ、「韓国で、米人気歌手の故マイケル・ジャクソンさんは韓国人の血を引いているとの説が発表された」などの記載が急増し、注目を集めている。しかし、「マイケル韓国人説」は、中国新聞出版総署が今年4月に注意を促した、「孫文は韓国人」との虚偽報道と類似の記載で、信憑性の低い「捏造(ねつぞう)記事」に、中国人自らが踊らされている可能性も高い。


 多くのブログや掲示板には、「韓国紙『朝鮮日報』によると、韓国の成均館大学歴史学科の朴芬慶(パク・ブンギョン)教授はこのほど、米人気シンガーのマイケル・ジャクソンの家系を仔細に調べた結果、米国人だと思われていた“KING OF POP”が実は、韓国の血統を持つと明かした」との一致した内容が記載された。また、同教授による、マイケルさんの母方が、紀元前約1000年ごろに、朝鮮半島の最南端に居住していた孫氏の血を引くと思われる、などという主張も掲載され、一見すると「真っ当」な報道記事と見分けがつかない。

 しかし、これまでに出た「孫文は韓国人だった」との虚偽報道と同様、朝鮮日報には、マイケル・ジャクソンさんが韓国人の末裔だった、とする記事の掲載はなく、朴芬慶という教授も存在しないという。今回は中国の報道機関も一切取り上げていないことから、中国のネットユーザーらによる捏造(ねつぞう)の可能性が高いと見られる。

 しかし、ネットユーザーらが、なぜこのタイミングに、過去の虚偽報道と類似の手法を用いてマイケルさんを取り上げたのかは不明。

 中国では、中国新聞出版総署が今年4月、「孫文は韓国人」説を転載した報道機関6社を「ネット上の虚偽情報を検証せずに転載し、重大な社会的影響を引き起こした」などとして、名指しで非難している。

 今回の騒動の背景には、事実関係を確認しないまま報道するなど、報道手法の確立しない中国の体質にも、問題があると見られる。(編集担当:金田知子)

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