キムタクは今でこそ「人気が落ちた」「演技が同じ」などとネットで叩かれてしまうことが多くなったが、全盛期といえる90年代~20年代前半の人気は凄まじいものがあった。今回はそんなキムタクの異常ともいえる人気を振り返っていこう。


【ドラマ視聴率が異常な高さ】


当時の人気を図るには出演していたドラマの平均視聴率を見るのが一番良いだろう。キムタクはドラマで輝かしい実績を残している。

「あすなろ白書」 27.0%
1993年フジテレビ系列。女子大生を中心にした男女5人を描いた作品。恋愛と友情の狭間に揺れる若者たちを描いている。キムタクは主演ではなかったが、黒ぶちメガネの取手役を熱演して役者としての転機となった。また、後ろから抱きしめる「あすなろ抱き」がブームに。

「人生は上々だ」 20.1%
1995年TBS系列。ダウンタウンの浜田雅功とともに主要人物を演じる。キムタクはギャンブルに明け暮れ借金に追われる若者の役どころ。

「ロングバケーション」 29.6%
1996年フジテレビ系列。山口智子とのW主演でピアニスト役を演じる。(劇中の演奏シーンはキムタク自身が弾いている)窓からスーパーボールを投げてキャッチするシーンが多くの人の印象に残った。
「月曜日の夜はOLが街から消える」と言われるほどの社会現象になる。

「ラブジェネレーション」 30.8%
1997年フジテレビ系列。広告代理店で働く役で、松たか子演じるOLとの恋を描いている。キムタクはこのドラマの台本を初めて見たときに「すごい普通じゃん」と感じたそうだが、視聴率は好調。第一話でのキムタク演じる片桐のロン毛が松たか子演じるOLによってバッサリ切られてしまうシーンが話題に。

「眠れる森」 25.2%
1998年フジテレビ系列。中山美穂とのW主演。中山美穂演じる実那子の過去から現在までの全てを知る謎の男を熱演した。

「ビューティフルライフ」 32.3%
全盛期のキムタク伝説が凄すぎる! みんながロン毛に憧れた?

2000年TBS系列。キムタク演じる売れない美容師と、常盤貴子演じる難病に侵され車椅子の女性とのラブストーリーを描いている。最終回の視聴率は脅威の41.3%を記録した。(1980年以降のドラマでは「積木くずし」「半沢直樹」に続き歴代3位)

「HERO」 34.3%
2001年フジテレビ系列(後に続編化)。
型破りであるが正義感の強い検事役。脇を固める出演者たちも豪華であり、第一シーズンでは全話で視聴率30%超えという史上初の快挙を達成。

「GOOD LUCK!!」 30.6%
2003年TBS系列。若手のANA旅客機パイロットを演じ、上司との確執や柴咲コウ演じる整備士との恋を描いている。

また、ドラマの中でも「花形」といえる"月9"はまさにキムタクの独壇場。月9の平均視聴率ランキングを見ると上位ベスト3をキムタク主演作品が独占していることが分かる。(1.「HERO」2.「ラブジェネレーション」3. 「ロングバケーション」)

【キムタクはブームを生み出す「現象男」】


また、このような大ヒットドラマを通してキムタクはさまざまなブームを作りだしてきた。

ロン毛ブーム
90年代のキムタクの髪型といえばロン毛だった。その影響もあり、「ロン毛ブーム」が若者たちの間で巻き起こる。

男性がピアノ教室に殺到
「ロングバケーション」でのキムタク演じるピアニストに感化され、ピアノ教室に通う男性が殺到する。これらの現象は「ロンバケ現象」ともいわれた。

就職にも影響?
就職にも影響を及ぼすのがキムタクの凄さ。「ビューティフルライフ」の年には美容師志望率が例年より2割ほど上がり、「GOOD LUCK!!」の放送後にはANAなど航空業界への就職希望者が急増する現象が起きた。


身につけたアイテムが流行
ドラマ内でキムタクが身につけたものは例外なくヒットしている。「ラブジェネレーション」の放送時には、ロレックス エクスプローラーやポータータンカーがブームに。特にロレックスは定価の倍近い値段まで高騰した。
全盛期のキムタク伝説が凄すぎる! みんながロン毛に憧れた?

「ビューティフルライフ」でキムタクが乗っていたヤマハ・TWも人気が出て、納車まで数カ月待ちとなる販売店が続出した。そして「HERO」のときもキムタク演じる久利生の代名詞ともいえるa bathing apeレザーダウンジャケットが大ヒットとなる。

【抱かれたい男ランキングなどの栄誉】


また、人気のキムタクには多くの栄誉が与えられている。雑誌「anan」の抱かれたい男ランキングでは福山雅治や小栗旬などの競合を抑えて、1994年から2008年まで15年連続1位に輝いている。また、ベストジーニスト賞でも1994年から1998年までの5年連続で1位になり、早々に殿堂入りを果たしている。

【話題になったキムタクのCM】


ドラマの他にCMでも多くの話題を集めていた。例えば、1996年のカネボウ口紅のCM。当時、男性タレントが女性コスメのCMに出るのはとても異例であり大きな話題に。本来口紅は50万本のセールスでヒットといえるのだが、この商品はキムタク効果のおかげで2カ月で300万本を売り上げた。
そして1999年のJRA(競馬)のCM。
このCMはキムタクが「いいじゃない」と踊り狂う姿がとても印象的だった。このキムタクをモデルとしたJRAのポスターが大人気となり、盗みに備えて通常の10倍も印刷したのに貼った翌日には盗まれるという事態が続いた。

ここまで見てきたようにキムタクはかなりの人気であったことが分かる。確かに現在は全盛期ほどの勢いがないが、それでも出るドラマではある程度の視聴率を獲得し、なにかと言動がニュースになるという点でまだまだ影響力は健在だといえるのではないか。
(さのゆう90)
『ビューティフルライフ~ふたりでいた日々~ DVD-BOX』
『HERO 特別限定版(3枚組) [DVD]』
編集部おすすめ