コインパーキングで近年、「ロック板」を廃止した方式が増えています。どのように不正利用を防止し、そしてなぜそれが広がりつつあるのでしょうか。
近年、ロック板(フラップ)を廃したコインパーキングが少しずつ増えています。もちろん、出入口のゲートもありません。
ロック板を採用したコインパーキングのイメージ。駐車すると、車両の下からロック板が跳ね上がる(画像:photolibrary)。無防備すぎるように思えますが、不正に利用されるおそれはないのでしょうか。駐車場のシステムを手掛けるアイテック(東京都文京区)に、誕生の背景を聞きました。
――コインパーキングのロック板は、そもそもどういうものなのでしょう。
駐車するとそのロック板が跳ね上がり、料金を精算すると下がって出庫できるようになるというものです。それまでは駐車場の入口で駐車券が発券され、出口で精算する「ゲート式」が主流でしたが、処理に時間がかかりクルマが詰まりやすいことから、1台1台出入りを管理できる「ロック板式」が広まっていきました。
――ロック板をなくして、不正に利用されるおそれはないのでしょうか。
確かに、料金を払わずに出庫することは容易です。しかし、駐車マスに埋設されたセンサーで車両を認識し、マスの奥に立つポールに取り付けられたカメラで車両のナンバーを記録することで、出入りを管理しています。
――仮に不正するとどうなるのでしょうか。
不正に出庫したクルマを、すぐ捕まえて料金を請求するわけではありません。ナンバーや不正の証拠は把握しているので、そのクルマが全国にある同方式の駐車場に再び入庫した際に、警備員が未払いぶんの支払いを促す紙をクルマに貼ります。紙を貼られた人は、その場の精算機で支払うこともできますが、請求書の発行を申し出て後日、支払い手続きを行うことも可能で、実際には後者のケースが多いです。
――なぜこうしたシステムを開発したのでしょうか。
最大の目的は、ロック板による事故やトラブルを避けることです。ロック板は、精算から一定の時間内に出庫しないと再び跳ね上がりますが、たとえば、料金の精算後に車内で電話していて、それに気づかず発車し、クルマが破損してトラブルになるケースがあります。また、乗降の際にロック板でケガをしたという人も多く、当社が実施したロック板式駐車場に関するアンケート調査では、20パーセント以上の人がなんらかのトラブルを経験していました。
――「ロック板なし」は増えているのでしょうか。
当社はこの方式を2009(平成21)年に業界で初めて開発し、現在、全国2300弱の駐車場に導入されています。
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ロック板のない駐車場には、不正利用を防止するよりも、まずトラブルを避けるという意図がありました。一面では、利用者との信頼関係で成立している方式ともいえそうです。
【画像】「ロック板なし」駐車場のしくみ