ゴルフのギア選びではクラブ選びが優先されがちだが、ボール選びもかなり重要だ。上級者ほどこだわるのがボールとも言われる。

ただ、メーカーの説明を聞いても、それが自分に合ったいいボールなのかはいまいち分かりにくい。そこで『ダイヤモンドQ』編集部では、売れ筋の16種類のボールをピックアップし、スイングロボットを使って、性能を徹底比較してみた。

「ボールはどれも一緒」などと思っている人も多いのではないだろうか。もしくは、「プロはスピン系で、アマはディスタンス系を選択しておけばいい」という程度の認識の人も多いだろう。どちらにせよ、クラブ選びにはこだわるのに、ボールにはこだわりのないアマが大半。

 だが実際には、ボールもクラブと同様、プレーヤーを選ぶ。

ゴルフ業界関係者が語る。

「ボールには“飛びの3要素”があります。打ち出し角度と初速、スピン量です。この三つは使用するクラブによっても変わってくるため、本来ならばクラブ選びとセットでボールを選ぶべきなのです」

 とはいえ、ボールの種類は無数にある。一体、どのボールを選べばいいのだろうか。

 今回は本間ゴルフの協力の下、同社酒田工場に隣接するテストセンターで、売れ筋、新発売、非公認ボールなど16種類(下図参照)をテストした。

スイングロボットを使用し、各球種につき最低5球以上のデータを機械で計測。その平均値を算出した上で、性能を比較した。

テストしたボール一覧

タイトリストPRO V1(スピン系)
タイトリストVG3(ディスタンス系)
タイトリストDT SOLO(低価格品)
スリクソンZ-STAR(スピン系)
スリクソンDISTANCE(低価格品)
ゼクシオAERO SPIN(ディスタンス系)
ブリヂストンゴルフTOUR B330RX(ディスタンス系)
ブリヂストン ファイズ(ディスタンス系)
キャロウェイSR2(スピン系)
ミズノJPX DE(ディスタンス系)
テーラーメイドTOUR PREFERRED(スピン系)
キャスコKIRA KLENOT(ディスタンス系)
ナイキ レジン・プラチナム(スピン系)
本間ゴルフTW-G1(スピン系)
トブンダDYNAPLUS332(非公認 、ディスタンス系)
ダイソーGOLF BALL(低価格品)

 なお、「飛距離テスト」ではドライバーを使用し、ヘッドスピード秒速38m(非力ゴルファー)、秒速43m(平均ゴルファー)、秒速48m(中上級ゴルファー)の三つの設定で計測。「止まる性能テスト」では、ロフト角52度のウエッジで、ヘッドスピード秒速38㍍でボールを打ち出したときのスピン量を計測した。

中上級者で断トツの性能
「ツアープリファード」

 こうしたテスト結果を受けて、ダイヤモンドQでは独自の「最適ボール診断」を作成した。自分のヘッドスピードと目的に合わせて、最適なボールを選ぼう。

 なお、中上級者であれば、「トブンダDYNAPLUS332(非公認玉)」の飛距離が269ヤードで、最も飛ばなかった「ダイソーGOLF BALL」よりも22ヤードも飛んだ。つまり、ボールを変更することで、飛距離を22ヤードアップすることができるのだ。

ダイヤモンドQが独自に作成!最適ボール診断

非力ゴルファー(ヘッドスピード38m/s)

平均ゴルファー(ヘッドスピード43m/s)

中上級ゴルファー(ヘッドスピード48m/s)

 テストから四つのことが分かった。

 一つ目は、「高価格だからいいとは限らない」。同じスリクソンでも、「Z-STAR」に比べて低価格な「DISTANCE」が好成績を残しているのだ。

 二つ目に、「ディスタンス系とスピン系の表記はいいかげん」であること。

同じタイトリストでも、ディスタンス系の「VG 3」とスピン系の「PRO V1」とでは、今回のテスト方法だと「VG 3」の方が止まる性能では優れていたのだ。

 三つ目に、「どんなヘッドスピードにも強いボールはない」ということ。ヘッドスピード秒速38㍍は、ディスタンス系の「タイトリストVG3」が最 も飛んだが、秒速43㍍はスピン系の「キャロウェイSR2」、秒速48㍍はスピン系の「テーラーメイドTOUR PREFERRED」だった(非公認球を除く)。

 この結果から分かる通り、ゴルファーのヘッドスピードによって、最適なボールはまったく異なる。

 四つ目に、「最適なヘッドスピードを表記していないボールが多い」ことだ。「ヘッドスピード:全領域」などと、全ゴルファーに対応したボールであると表示しているものも少なくないが、テスト結果から見る限り、そうしたボールは存在していない。

スコアアップなら
止まるボールを選べ

 では、具体的にはどんなボールを選べばいいのか。

 ボール選びの第一歩は、自身のヘッドスピードに合ったボールを選ぶこと。もし知らなければ、ゴルフショップの試打室などで計測してもらおう。

 その上で、飛距離を重視するのか、アプローチショット時の止まる性能(スピン性能)を重視するのか、価格の安さを重視するのか、非公認のボールでもいいかなど、目指すべき方向性を決定して、最適なボールを選ぼう。

 ここで注意したいのが、飛距離と止まりやすさをどう考えるかについて。初心者ほど、スピン性能よりも、飛距離を重視しがちだ。

でもそれは必ずしも正しくない。「スコアをつくるならスピンコントロールの利くボールを選ぶべきです。アプローチショットの止まりやすさに、確実に差が出るからです」と業界関係者は説明する。

 気になるボールが決まったら、あとはひたすら試打してみること。その上で、最も良い打感とアプローチ時にスピン量が多いボールを選択するのが、上級者への近道だ。

 より精緻にボールを選びたい場合は、『ダイヤモンドQ』に「ボール性能分布図」を掲載しているので、参考にしてほしい。