遊助 シングル『サヨナラマタナ』を発表 「伝えていない想いは伝えていこう」/インタビュー

■New Single『サヨナラマタナ』インタビュー

静かなる決意を感じさせるマーチングドラムに、哀しみを秘めたトランペットが高らかに鳴り響く。そんなイントロで始まる遊助の新曲「サヨナラマタナ」は、大切な人に想いを伝えられなかった後悔の念がテーマ。だからこそ、まだ伝えてない想いは伝えていこうとメッセージする、遊助らしい前向きさが滲む曲だ。今回はシングルに収録された4曲すべてについて深掘り。ミュージック・ビデオの知りたくないエピソード(!?)やスペシャル映像「ひまわり荘」の見どころ、さらにジャケットの間違い探しのヒントもゲットしてきました!
(取材・文/猪又 孝[Do The Monkey])

今いる身近な人に想いを伝えられることの喜び、大切さに気づいてほしい

――新曲「サヨナラマタナ」はシリアスなムードの曲ですね。タイアップがないこともあって、遊助さんが「書きたい、歌いたい!」と強く思って作った曲なのかなと思いました。

遊助:うん、そうだね。もともとこういうボレロ調の曲に興味があって、やりたいなと思っていたんです。でも、そこで何を書きたいのかなと思っていて……。で、トラックを発注して出来上がったものをもらったときに、病室の悲しい絵が浮かんだの。誰かが寝ていて、何を言っても返事をしてくれないっていう映画みたいな映像が頭に流れて、じゃあ、この物語を書いていこうって。

――自分が病室にお見舞いに行ってるの?

遊助:俺じゃないんだ。ある人が病室に見舞いに行って、ベッドに寝てる人に語りかけてるんだけど、その人の後ろ姿が浮かんで来て。じゃ、この人が思ってることを書いてみようと。

――作詞するにあたって気をつけていたことや大切にしたことは?

遊助:そのベッドにいた人は亡くなってたんだよ、たぶん。目をつむってたから。でも、別れちゃったとか亡くなっちゃったとか、そういう言葉を書くのは絶対やめておこうと思った。そうするとリアルに(状況を)決め過ぎちゃうから。あと、ただただ悲しい物語にするんじゃなくて、“陽”の部分も入れたいなと思ったから、「さよなら」だけじゃなくて「またな」と付けたの。「サヨナラマタナ」って、マイナスとプラスの言葉を繋げたら素敵な言葉になったと思ったんだよね。

――悲しくて悲しくて、辛くて泣いて、っていう曲じゃないんですよね。そこがいつも前向きな遊助さんらしいと思いました。

遊助:そう。そういう曲にはしたくなかった。

――僕はこの曲を聴いたとき、どこまでも広がるよく晴れた青空に向かって、日中、一人でトランペットを吹いているような絵が浮かんで来たんです。空が開放的なぶん、虚しさや切なさが浮かび上がってきて、でも清々しさもあるっていう。

遊助:うんうん。いいね。素敵。素敵な感想。

――ありがとうございます。遊助さんは仕上がった曲に対してどんな絵を浮かべました?

遊助:その病院から出たときの帰り道を想像したかな。

――夜ですか?

遊助:いや、夕方。河川敷でトランペットを吹いている感じだった。

遊助 シングル『サヨナラマタナ』を発表 「伝えていない想いは伝えていこう」/インタビュー
サヨナラマタナ【初回生産限定盤A】

――レコーディングではどんな気持ちを込めて歌いましたか?

遊助:この物語を自分と照らし合わせて聴いてもらえたらなって。きっと想いを伝えられていない人もいるだろうし、もう想いを伝えられない別れをしちゃった人もいっぱいいるだろうし。だからこそ、その後悔を持ちながら、今いる身近な人に想いを伝えられることの喜びとか、今いる人の大切さに気づいてもらえたらなって。今伝えたいと思っていることをその人に伝えてほしいなっていう気持ちを込めて歌いました。

――テーマがテーマだけに、いつも以上に時間をかけてテイク数を重ねていった感じですか? それとも歌う前に感情を高めて一発勝負みたいな感じだった?

遊助:後者に近いかも。1回1回大事にゆっくり録ったけどテイクは重ねてないから。自分で作った物語に飛び込んでいって歌ってるから、新鮮味がなくなったら嫌だなと思って、そのとき浮かんだ感情に素直に従って歌ったの。

――なるほど。

遊助:あと、こういうテーマだし、ちょっと芝居しているというか。芝居は嘘っちゃあ嘘の世界かもしれないけど、でもその役に命を吹き込んでいるわけだから、遊助から出てくる何かをいつもやるようにしてるんだ。この曲はそういう感じに近かったかも。歌詞の物語の主人公になってる気分もあるし、遊助としての気持ちもあるし。その物語に自分も入っていこうと思って作ったから、最後のラララの前の<その想いを…>っていうところはすごく気にして歌ったな。

俺の曲というよりも、みんなの曲にしたかった

――ミュージック・ビデオは影絵が印象的な作品でした。なぜ影絵を使おうと思ったんですか?

遊助:影絵も前から興味があったのと、影絵って表情がないから余計に切ないし、哀愁を感じるのかなと思って。あと、表情がないから観た人が自由に表情を想像してくれるといいなと思って。

――反対に、リップシーンは開放感のある緑地で撮っていますが、そのコントラストは敢えて打ち出そうと?

遊助:壮大なところでリップシーンを撮りたかったの。幻想的っていうのかな。俺の曲っていうよりも、みんなの曲にしたかったんだよね。どういう別れがあるかわからないし、聴く人それぞれに、大事な人を思う気持ちやそのときの表情があるから。俺のどアップというより、聴いてる人にこの曲の表情を作ってもらいたいなと思って。あまりリアルな映像にしたくなかった。

――撮影現場はどうでしたか? あれは富士山の裾野ですよね。

遊助:気持ちよかったです。ああいう開放的なところはこういう機会がないと行かないから。ただ若干、フンくさかったけど(笑)。すっごいウンコ落ちてんの、いろんな動物の。

――センチメンタルな曲に似つかわしくないエピソードだなぁ、それ(笑)。

遊助:あはは。けど、あれ、なんのフンだろ? ウサギとかかな。でもホント、結構落ちてたんだよね。草むらのところにボコボコ落ちてたから(笑)。

遊助 シングル『サヨナラマタナ』を発表 「伝えていない想いは伝えていこう」/インタビュー
サヨナラマタナ【初回生産限定盤B】

――今回はジャケットも面白いアイデアですね。2種類の初回盤を見比べて間違い探しをしましょうっていう。

遊助:ありがとうございます。

――ヒントが欲しいんですが、間違いは全部でいくつあるんですか?

遊助:5個あります。

――え、5個もあるの?

遊助:さあ、探して探して(笑)。4つまではすぐわかると思うんだよなぁ。少なくとも3つはわかるはず。最後の1個は難しいかもね。

――カップリング曲の「青春」はどんなキッカケで書いたんですか?

遊助:せっかく芝居をやってるんだから、芝居にまつわることで書けないかなと思って。たまにとんでもないアドリブをカマしてくる役者さんがいるけど、それってみんなにもきっとあるはずで。相手が何を言うかわからないでしょ。ありがたい言葉をもらえるかもしれないし、ひどい言葉を浴びせられるかもしれない。人生、何が起きるかわからない中で、1日1日を仕上げていくから。それって芝居と似てるなと思って、曲にしてみようと。

――人生は筋書きのないドラマと言いますしね。その舞台にみんな立っていると。

遊助:そう。みんなにそういう大事なステージがあると思うんです。いくつになっても、どんな立場でも、あなたはそこでスポットライトを浴びてるし、いま生活している場所自体があなたしか立てないステージなんだよっていうことを言いたかったの。だって、俺はサラリーマンできないし、誰かさんの息子になれないし、誰かのママになれないし。その人しかいれない場所っていうのはきっとあるはずで、いろいろなものを積み重ねてきて今の場所があるはずだから、その場所で今日も筋書きのないストーリーをあなた自身が歩んで仕上げてください、みたいな。そのストーリーのタイトルは「青春」でございますっていうことなんだよね。

――「青春」のミュージック・ビデオは、初回盤Bに収録されている「ひまわり荘」とリンクしていて、その「ひまわり荘」では中尾明慶さんと共演していますね。

遊助:アイツは昔から知り合いで、ずっとミュージック・ビデオに出たいと言ってくれてたの。この直前にdTVの『Z アイランド~関東極道炎上篇~』で兄弟役をやったときもそう言ってくれていて、そんなに言ってくれるんだったら「ぜひ」っていうことで。

――あいにく出たかったミュージック・ビデオは、「ひまわり荘」のメイキング映像になっちゃいましたけど(笑)。

遊助:そう(笑)。でもね、こういう(笑福亭鶴瓶の)『スジナシ!』みたいなヤツを一回やってみたかったの。

――脚本はあったんですか?

遊助:あるような、ないような。ベースはあるよ。あるけど、ちょこちょこアドリブを挟んでる。

――遊助さんから仕掛けていったんですか?

遊助:自分から仕掛けていってる。でも、仕掛けると仕掛け返してくるから(笑)。

――じゃあ、どこがアドリブかな?と考えながら見るのも一興だと。

遊助:そこが見どころ。だから、撮影もライヴ感があって面白かった。ただ、オチは台本通りだからね、あの強引なオチは(笑)。

遊助 シングル『サヨナラマタナ』を発表 「伝えていない想いは伝えていこう」/インタビュー
サヨナラマタナ【通常盤】

本当の愛はなんなのか?

――「チャンピオン」は、ミドルテンポのソカ調で、夏っぽい曲ですね。

遊助:最近ソカ調の曲をやってないなと思って。これも俺にイメージがあって、トラックを発注して作ってもらったんです。ライブを意識して作ったの。

――途中でコール&レスポンスを煽るパートがありますしね。

遊助:そこをわかりやすく作りました。あとね、これもトラックを聴いたときに映像が浮かんできて、そこからインスピレーションをもらって作ったの。これは聴いたときにボクシングとか格闘技でリングに向かっている人が浮かんできたんだよね。で、会場の人も一緒に歌えるような曲がいいなと思って。

――時期的に、パッキャオVSメイウェザー戦の影響もあったり?

遊助:たぶん、それもあったと思う。その対戦の前に作ってたけど、対戦するのは知ってたから。(ラス)ヴェガス行きたかったんだけどなー。

――通常盤のみ収録の「僕の魔法使い」は、「チャンピオン」とは違う趣の夏ソング。こちらはジャワイアンですね。

遊助:イエス。これは本当の愛はなんなのか?って考えて作ったの。もし惚れ薬を持ってるとしたら、俺に片思いの人がいたとしてその人を俺に振り向かせるのか、またはその片思いの人が好意を抱いてる男性に薬を飲ませてその子のことを好きにさせるのか。もし魔法をかけるなら、どっちにするんだろうなぁと思って。

――サウンドはチルできるゆったりした曲調だけど、描かれている心情は穏やかじゃないっていう。そのミスマッチも面白かったです。

遊助:結局この物語では、片思いしている人が好意を抱いてる男性に魔法をかけてるんだけどね。

――そう。自分が好きになった人の幸せを願うというオチで。

遊助:そこは、そんな自分でいたいなっていう希望も入ってます(笑)。

――さて、7月からツアーが始まりますが、今回はどんなものをやりたいと思っていますか?

遊助:今回も新しいことというか、見たことのないようなパフォーマンスを作りたいなと思ってます。これからリハーサルだし、途中で何かアイデアが思い浮かぶんじゃないかと考えると、ギリギリまで楽しみだし、不安も増えてくるんだけど(笑)。

――昨年はサーカスをコンセプトにしていて楽しい仕掛けがいっぱいでした。

遊助:毎回そうなんだけど、まったく俺の曲を聴いたことのない人でも楽しんでほしいんだよね。そのためにはどんなことをするのがいいんだろうって考えているときがいちばん楽しくて。今はその最中だから、どんなことをやるかは言えないけど、でも、今ぼんやりと頭にあるものだけでも新しいことにチャレンジしていて。それは俺だけのチャレンジじゃなくて、パフォーマンス全体としてもチャレンジになるから、それだけでも見に来る価値はあると思っています。

――インタビュー2へ

≪動画コメント≫


≪リリース情報≫
New Single
『サヨナラマタナ』
2015.07.01リリース

【初回生産限定盤A】
SRCL-8819~20 / ¥1,850(税込)
※間違い探し仕様
[収録曲]
1.サヨナラマタナ
2.青春
3.チャンピオン
4.サヨナラマタナ-Instrumental-
<DVD>
1.「サヨナラマタナ」Music Video
2.「サヨナラマタナ」Music Videoメイキング映像

【初回生産限定盤B】
SRCL-8821~22 / ¥1,850(税込)
※間違い探し仕様
[収録曲]
1.サヨナラマタナ
2.青春
3.チャンピオン
4.サヨナラマタナ-Instrumental-
<DVD>
1.ひまわり荘
2.「青春」Music Video

【通常盤初回仕様】
SRCL-8823 / ¥1,300(税込)
※トレーディングカード(4種のうち1種ランダム封入) 
[収録曲]
1.サヨナラマタナ
2.青春
3.チャンピオン
4.僕の魔法使い

≪ツアー情報≫
【遊助 コンサートツアー2015】
2015年7月13日(月)神奈川・よこすか芸術劇場
2015年7月14日(火)神奈川・よこすか芸術劇場
2015年7月19日(日)大阪・グランキューブ大阪
2015年7月20日(月)大阪・グランキューブ大阪
2015年7月25日(土)福井・福井フェニックスプラザ
2015年7月30日(木)東京・国際フォーラムホールA
2015年8月1日(土)神奈川・神奈川県民ホール
2015年8月2日(日)神奈川・神奈川県民ホール
2015年8月15日(土)愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール
2015年8月16日(日)愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール
2015年8月22日(土)福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
2015年8月23日(日)福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
2015年8月28日(金)宮城・仙台サンプラザ
2015年8月30日(日)愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
2015年9月4日(金)広島・広島文化学園HBGホール
2015年9月6日(日)岡山・倉敷市民会館
2015年9月11日(金)大阪・グランキューブ大阪
2015年9月12日(土)大阪・グランキューブ大阪
2015年9月19日(土)埼玉・大宮ソニックシティ大ホール
2015年9月20日(日)埼玉・大宮ソニックシティ大ホール
2015年9月23日(水)東京・NHKホール
2015年9月24日(木)東京・NHKホール
2015年9月26日(土)兵庫・神戸国際会館こくさいホール
2015年9月27日(日)兵庫・神戸国際会館こくさいホール

≪関連リンク≫
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