年末年始の特番を観ているとき、なんとなく違和感を覚えたのは、数々の番組で登場した「○○さんは次の仕事があるので、ここで退席(退場)となります」といった感じのフレーズ。
 
 108組の芸人が108のネタを披露する『お笑いDynamite!09』(12月29放送/TBS系)などは、審査員が途中退場&前半・後半入れ替わるのが恒例となっており、途中退席した岡江久美子の代わりに夫・大和田獏が来るという珍事(?)があった。

これはちゃんと笑いになっていたけれど、同番組に限らず、ひな壇のゲストや手の芸人などが途中退席してしまうという番組は、最近あちこちで見られるような気がする。

 かつては「番組途中で帰る人」というと、『NHK紅白歌合戦』やTBS『ザ・ベストテン』などの生放送において、労働基準法の関係で早退せざるを得なかった歌手のケースを思い出す程度。

 一体いつから、なぜ、「番組の早退」がOKになったんだろうか。

 「テレビ業界も不況ですから、どうしてもタレントさんのほうが強くなっているというのはあるかもしれません。もちろん局や番組、スタッフによって、また、事務所との付き合いによっても違うと思いますが」と話すのは、ある民放社員。

 また、バラエティー関係の放送作家は、近年、途中退席が増えている理由として、間接的ではあるが「特番の長時間化があるのでは?」と指摘する。

 「かつては特番というと、2時間程度が普通で、今のように4~5時間もの番組はありませんでしたよね。生放送であれば、2つの番組分拘束することにもなってしまいますから」

 制作サイドとしては、「あまり人気がなく長い時間使える人」よりも「旬で人気のある人を短い時間でも使いたい」という判断になるのも、当然なのだろうか。

 「たとえば、単にひな壇にいる場合や、順番にチャレンジしていくような番組では、長時間いても意味がない人もたくさんいます。ひな壇などでは、(話を)振られて答えるのも、せいぜい2~3回程度。ショートネタの時代ならではで、制作側にとっては『ワンフレーズ言ってくれるだけで良い芸人』もいるし、逆にタレント側にとっては『短いほうがインパクトを残して帰れる芸人』もいます。制作側にとってもタレント側にとっても、双方のメリットになっている可能性はありますね」

 「新しい人をなるべくたくさん出したい」「旬の人を使いたい」という思いは、どこの番組でもあること。

旬のサイクルがどんどん早くなっている今、自然と「あちこちで早退する売れっ子」が増えてしまうのだろうか。

 たとえば、会社の飲み会などであれば、上司・先輩などが帰らないのに、若手のほうが先に帰るというのは、気まずいもの。でも、テレビの世界において、ましてや今の「旬の人たちをどんどん使い捨てる」時代であれば、途中退席してでも露出を増やすのは、1つの方法なのかもしれない。
(「サイゾー裏チャンネル」より)



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