演出家でタレントのテリー伊藤(65)が、コメンテーターとしてレギュラー出演している朝の情報番組『スッキリ!!』(日本テレビ系)を卒業することが分かった。テリーが16日の生放送中に「私事なんですけど、3月で番組を卒業させてもらいたい」と発表した。



 番組卒業は昨年末ごろから考えており、テリー側から申し出たという。今年の年明けに日本テレビ側が了承したことで決定したとのこと。その理由については「65になってちょっと違うことをしてみたい」と明かしており、年齢的に新たなチャレンジをする最後のチャンスであることが大きかったとアピールしている。

 2006年の番組スタート以来、司会の加藤浩次(45)とのコンビで病欠などを除けば約9年にわたって毎週出演してきたテリー。名実ともに番組の顔だったが、近年は"問題発言"が批判にさらされることが増えていた。

 昨年12月には総選挙に絡んで「若い人が選挙に来ないというけど、若い人が実は賢くて政治を端から冷めた目で見ている部分もある」などと発言。
国民の権利を放棄することを容認するかのような言葉だったために「いい年した大人の意見とは思えない」「冷めた目で見てれば賢いという発想が時代遅れ」などと批判を呼んだ。また、白人ナンパ師が「白人なら日本人女と簡単にヤレる」などとナンパ講座を開いていたというニュースに対して「彼らが全部悪いのか」「日本人がフィリピンに女性を買いに行くこともある」「尻軽の女の子だって実際いるわけだから」などとナンパ師を擁護し、女性蔑視的ではないかと物議をかもしたこともあった。

 ほかにもエボラ出血熱の騒動に関して「日本のエボラ出血熱に関する知識は全部海外の映像をもらっただけのもの」「日本のスタッフがリベリアとかギニアに行って取材するべき」などと感染経路を増やしかねない思慮の浅い持論を展開するなど、疑問符がつくような発言が目立っている。今回の降板についてネット上では「残念」という声が少なく、テリーの放言にうんざりしていた視聴者にとっては「スッキリ」したという意見が多いようだ。

 テリーが暴言をまき散らしていた影響なのか、近年は好調だった『スッキリ!!』の視聴率に陰りが見えており、同時に局に対する視聴者からの苦情も増加傾向にあった。だが、テリーは『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)、『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(同)、『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)などの名番組を手掛けてきた"伝説のプロデューサー"であり、局内には彼の門下生といえるスタッフが数多くいる。
また、テリーは有力な番組制作会社の代表取締役でもあるため、そのしがらみもあって簡単には降板させられないと思われていた。

「局内に数多くの"弟子"がおり、局幹部とのパイプも強いテリーさんですが、恨みを抱いているスタッフも少なくない。演出家時代のテリーさんは気性が荒いことで知られ、エキサイトすると芸人やスタッフに手や脚を出すことで有名でした。特に演出家として全盛期だった『元気が出るテレビ』などを放送していた日テレ内部には理不尽な扱いを受けた者が多い。近年は『スッキリ!!』での暴言がたびたび問題になり、視聴率低下も相まって『そろそろテリーを切るべき』との動きが昨年から局内の反テリー派の間で生まれていた。それに同調する局幹部も現れたため、クビ切りの動きを敏感に察知したテリーさんが自ら降板を申し出たようです。
『番組を卒業して新しいことをしたい』という思いがあるのは間違いないでしょうが、自分から番組を去ることでメンツを保ちたいという気持ちも大きかったのでしょう」(芸能関係者)

 テリーは夕刊紙のコラムで「先はもう長くないんだから、最後にやりたいことやったらいいんじゃないか」などと綴り、新たな挑戦をしたいという気持ちを表明していたが、そのウラには現状維持ができなくなったという事情もあったようだ。

 テリーといえば、前述したように業界内でも伝説とうたわれる数々の人気番組を担当し、長年にわたって表舞台も裏方も経験してきた大ベテラン。そんな世渡り上手の「ザ・業界人」が、このような窮地に至ったのはなぜなのか。

「一昨年の秋に『第二夫人発覚』などと週刊誌で不倫問題が報じられ、それを境にテリーさんのコメントの歯切れが非常に悪くなった。保身のために大手芸能プロや有力者にこびるかのような発言が増加し、その反動で自分の損得に関係ないニュースには行き過ぎた暴言を吐くようになった。年齢的な影響なのか、以前のような冴えたコメントを出せるような機転もなくなり、ただただ暴言やトンチンカンな発言が目立つようになってしまいました。
これが反テリー派に付け入られるスキになってしまったようです」(前同)

 日テレから追い落とされるような格好になったテリー。今後はレギュラー出演している『サンデージャポン』『爆報!THE フライデー』を放送しているTBSや、演出を手掛けたドキュメントバラエティー『給与明細』シリーズを放送していたテレビ東京との関係が頼みの綱になりそうだ。果たして、テリーのいう「新しいチャレンジ」で逆襲となるか、このまま勢いが急速にしぼんでしまうのか。老いてなお盛んな伝説の演出家がどのように立ち回るか注目したい。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)