今注目のアプリ、書籍をレビュー

0

やっぱりドット! おっさん一人で作った名作「forget me not」は進化する「パックマン」

2011年6月15日 11時00分 ライター情報:香山哲

なんだかごちゃごちゃと色んなことが勝手に繰り広げられるゲーム画面。キャラクター自体はどれもかわいく、そこまで難しくないのが良い

[拡大写真]

任天堂WiiやソニーPSPの次世代ハード発表など、世界最大のゲーム見本市E3からの最新ニュースが届く中、様々な別のベクトルにもゲームは日々進化を続けている。

「forget me not(ワスレナグサ)」と題されたiPhone/iPad向けのゲームも、ド派手な技術満載の最新ゲームの逆をゆく、地味にオルタナティブ進化を遂げたゲームだと思う。

一見して「レトロゲーム愛好家向けのパックマンコピー」と思われがちなこのゲーム、たしかにジャンルはパックマンなどに代表される古風な「ドットイート」だ。迷路画面に満たされたドット(点)を、敵に倒されずに全て獲得すれば次のステージにすすむというルール。しかしこのゲームはそのドットイートというジャンルから逸脱せず、きちんと新しい感覚や面白さを提供してくれている。

各ステージのマップの迷路は毎回ランダムに生み出される。自由度の高いゲームではこういう機能は案外意味がそこまで無かったりするのだが、原始的なゲームに導入されたときの効果は大きく、マップの形によってとるべき行動がきちんと変化する。ステージが始まった瞬間に「やばい! この面、超狭い!」とか、スリルが持続しやすい。

また、パックマンなどとは異なって、主人公や一部の敵はシューティングゲームのように弾を撃ち、敵同士でも攻撃しあう。敵キャラクターにはかなりの種類がおり、こちらを執拗に追いかけてくるもの、刺激を受けると自爆するもの、なんかヘビみたいに長いやつ、色々だ。誰彼かまわず撃つ敵Aが、刺激を受けると分裂する敵Bを勝手に延々無限増殖させる……みたいな感じで、それぞれのキャラクターが生まれては撃ち合ったりアイテムを拾ったり勝手に動き回るのが生態系を覗いているようで楽しい。

怖そうな敵がいかにも強そうに点滅するルックスだったり、自爆するキャラクターが点火すると大げさな音を鳴らしてカウントダウンのように音程を上げたり、コンピューターゲームが今までに何十回何百回も使ってきた、直感に訴える音と光のパターンが、きちんと効果的に使われているのも遊んでいて気持ちが良い。

このゲーム、調べたらオーストラリアの何歳か分からないが結構いい感じの中年男性が、ほとんど一人で作っているといった感じ。僕はゲーム好きのおっさんが家で一人で組み上げたゲームが好きだ。大好きだ。そこには愛があるし、哀愁があるし、強いこだわりがあることが多いからだ。

ライター情報

香山哲

漫画やゲームを制作するチーム「ドグマ出版」主催。著作に『ランチパックの本』や『香山哲のファウスト1』(文化庁メディア芸術祭推薦作品)など。

URL:Twitter:@kayamatetsu

コメントするニャ!
※絵文字使えないニャ!

注目の商品