近代麻雀連載中の『アカギ〜闇に降り立った天才〜』に、とうとう麻雀が帰ってきた。
ここ最近の『アカギ』は、「麻雀をしない麻雀漫画」だった。
主人公・赤木しげると15年以上対局している(※作中では一晩の出来事)闇の帝王・鷲巣巌。アカギとの心理戦に敗北し死に近付いた鷲巣は、ここ数ヶ月のあいだ地獄で鬼退治をしたり日本で巨人化してみたりと好き放題。「どうか麻雀をしてくれ」という読者の祈りが届いたのか、奇跡の生還、3月1日発売の「近代麻雀」でとうとう対局再開、南四局(オーラス)が始まった。いやー、長かった。たぶんこれからもっと長いけど。

アカギたちがやっている麻雀はふつうの麻雀ではない。
鷲巣が考案した「鷲巣麻雀」という特殊ルールだ。
・麻雀牌1種4枚のうち、3枚が透明(つまりどんな手なのかほとんど丸わかり)
・対戦者は6半荘すべて鷲巣の順位を上回らなければ(6回連続で勝利しなければ)ダメ
血液を賭ける
また、コンビ打ち(アカギは刑事の安岡、鷲巣は部下の鈴木と組んで打つ)という特徴もある。鷲巣麻雀は、運と心理戦とチームワーク勝負なのだ。

この鷲巣麻雀を再現したアプリがある。3月6日からauスマートパスで配信されているAndroidアプリ「アカギ鷲巣麻雀」。ストーリーに準拠していて、マンガに登場するキャラクターと対戦ができるが、なんといってもメインは最後の鷲巣戦。
鷲巣麻雀ルールで鷲巣と戦う。プレイヤーから血液を抜くのはさすがにできないため、「鷲巣に25000点以上振り込んではダメ」という縛りで再現。

アプリ配信に先がけて、ニコニコ生放送で麻雀プロが鷲巣に挑戦した。題して「アカギ鷲巣麻雀をクリアするまで帰れない件」。挑戦するのは日本プロ麻雀協会の渋川難波プロ(通称「魔神」)だ。得意なのは相手の手牌読みだが……手が見えている鷲巣麻雀ではその特技が活かせるのか!?
漫画家の羽生麻里、開発元のイマジニア井口、竹書房編集T橋も参戦。


鷲巣麻雀でポイントになるのは、「味方の安岡をいかに操るか」。アガリに向かうために、安岡に振り込んでもらったり必要な牌を出してもらったりしなければならない。そのために4つの指示を切り替えていく必要がある。

ボイス付き。アガるたびにアカギや鷲巣が喋る。「じじぃ…その牌だ」「ロンッ……!ロンッ……!ロンッ……!ロンッロンッ……!ロンッ……!ロンッ……! ロォンっ……!」か…かっこいい!
鷲巣様の役満を巧みな安岡操作で回避し、暫定トップで迎えたオーラス南四局0本場。
親番は安岡。ここで事件は起きた。

アカギがアガる、または安岡がノーテンで流局すれば初挑戦で初勝利……!という局面で響き渡る声。
安岡「ロン!」2000点。ドヤ顔。
ええええええー!? 叫ぶ4人。
そう、安岡のこのアガリによって、南四局1本場に突入、鷲巣に逆転のチャンスが舞い込んでしまったのだ。
好機を見逃す鷲巣様ではない。リーチ・ツモ・ドラ6の倍満で、見事にまくって終了。アカギ、敗北!

渋川「安岡、なんって使えない男……!」
羽生「犯人は安岡!」
渋川「このゲーム、2対2じゃない……1対3だったんだ!!」

これ以降、放送は「vs鷲巣」ではなく「vs安岡」の様相を呈していく。
アカギのリーチに振り込んでくれなかったり、鷲巣に要牌を鳴かせたり、安岡はなかなか思うように動いてくれない。
対して、鷲巣側の人間である鈴木は超有能。
鷲巣のリーチには的確にアタリ牌を出してくる。そういえば鈴木は、3月1日の「近代麻雀」でも、久しぶりに麻雀を始める鷲巣(と、久しぶりに麻雀漫画を読める読者)に勝利・敗北条件を細かく説明していた。めっちゃ優秀な人材だ……。

ひたすら安岡に「待ち、わかる?」「わかんないかー…」呼びかけながら打つ4人。コメント欄には「安岡は調教できないの?」「安岡、鷲巣に買収されてる」の言葉が並ぶ。どんどん追加されていくタグは「狂戦士安岡伝説」「安岡の成長を見守る対局」「安岡はやればできる子」「安岡の思考を読むゲーム」。
鷲巣麻雀じゃない。安岡麻雀だ。
安岡に対して不安感がつのるぶん、うまいこと安岡が動いてくれたときには「えらい!」「すごい!」「すばらしい!!」と大はしゃぎ。気分は「はじめてのおつかい」。

さて、生放送は午後11時から始まって、朝の5時半に終わった。
結果はこちら。

1回戦→安岡の逆ファインプレーにより敗北
2回戦→勝利!
3回戦→勝利!
4回戦→安岡謎のフリテンリーチ&鷲巣81400点の大トップで敗北
5回戦→勝利!
6回戦→鈴木の巧みな振り込みにより敗北
7回戦→鷲巣様、驚異の追い上げで175500点を記録、敗北
8回戦→勝利!
9回戦→勝利!
10回戦→鈴木の見事なツモアガリにより、敗北

10回やって勝敗は半々。6回連続で勝利するの、かなり難しいのでは!?
生放送の最後に行われたアンケート「今日のMVPは?」では、安岡が1位(45.5%)をとった。最下位はアカギ(2.9%)。主人公は安岡やったんや…。

結局、2月28日の生放送中に鷲巣麻雀をクリアすることはできなかった。しかし大丈夫(?)、今日3月7日の午後11時から、ふたたび生放送が行われることが決定している。挑戦するのは渋川プロに代わって最高位戦日本プロ麻雀協会の石橋伸洋プロ。
石橋プロは安岡を使いこなすことができるのか。勝利の鍵は安岡が握っている。

ニコニコ生放送「《アプリ登場!》アカギ鷲巣麻雀をクリアするまで帰れない件」(3月7日午後11時から放送)
アカギ鷲巣麻雀(facebook)

(青柳美帆子)