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【「少年サンデー」が事件になっている。必見「月光条例」】

2013年3月14日 11時00分

ライター情報:杉村啓

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月光条例(小学館 藤田和日郎著)
何十年かに一度青く輝く月の光を浴びておかしくなった「おとぎばなし」の登場人物を正気に戻すべく「月光条例」の極印を授かった月光が戦っていきます。基本的には「おとぎばなし」ごとの連作の体裁になっています。現在21巻まで発売中。

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悪いことは言いません。月光条例を単行本で読んでいる人は今すぐ! 週刊少年サンデー2013年15号を買いに走らないと! ただでさえサンデーはすぐに売り切れちゃうので!!

月光条例は週刊少年サンデーで連載されている藤田和日郎の漫画です。読んだことが無い人のために簡単にストーリーを説明しましょう。

何十年かに一度月が青く輝き、その光「月打」を浴びた「おとぎばなし」の世界がおかしくなります。物語の主人公が狂ったまま現実の世界に飛び出し、町を破壊したり大騒ぎを引き起こすのです。しかも、登場人物が飛び出したままの物語は「消滅」してしまうため、早急に元に戻さなければなりません。登場人物を正気に戻せるのは「月光条例」の極印が刻まれた「執行者」だけ。偶然執行者になった「岩崎月光」はおかしくなったおとぎばなしを正すため、戦うことになるのでした……

さて、このお話の今週分がどう凄いのか。残念ながら、若干のネタばらしをしなければ説明することができません。なので、どうしても読みたく無い単行本派の人はここで記事を読むのをやめ、今すぐサンデーを買いに行きましょう。ネタばらしされてもいいよという人は、若干の改行の後記事の続きを読んでください。
























いいですか?

物語はいよいよ大詰め。月の向こうの世界から、オオイミ王が全ての「おとぎばなし」の登場人物を「消滅」させるため攻めてきます。登場人物を隠し、迎え撃つ月光。「おとぎばなし」の登場人物がいないことをいぶかしがるオオイミ王の軍勢ですが、次の瞬間、あらゆる「物語」に攻め込み、その物語を「消滅」させていきます。

ゲーム、小説、漫画……ありとあらゆる物語を消滅させるのですね。そして、世界から「物語」が消え……テレビや本、雑誌が真っ白になっていきます。そう、それは「サンデー本誌」も例外ではありません。作中には絵が消えて文字だけとなった「週刊少年サンデー2013年15号」が描かれています。このお話が載っている掲載誌ですね。

サンデーが真っ白になったということはどういうことか。次のページの見開きは完全に真っ白となります。柱部分も「藤田和日郎先生にはげましのおたよりを出そう! 『     』の感想と似顔絵も待ってます。」となっており、物語が完全に消えている徹底ぶり。作中と現実が見事にリンクした演出と言えるでしょう。さらには雑誌末の作者コメントまで。是非サンデー本誌を買って、チェックしてください。
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ライター情報

杉村啓

醤油と日本酒と料理漫画とその他諸々をこよなく愛するライター。なんでも超丁寧に解説します。近著に『白熱日本酒教室』(星海社)、『醤油手帖』(河出書房新社)ほか。

URL:醤油手帖

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