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衝撃の人喰い小説『ブラック・ドッグ』どっちがケダモノだよ!

2016年6月17日 10時00分 ライター情報:とみさわ昭仁

犬のごはん


犬に与えてはいけない食べ物は意外に多い。
『ブラック・ドッグ』葉真中顕(講談社/2016年6月15日発売)

牛肉や豚肉などは加熱すればOKだが、生肉には寄生虫や病原菌が含まれている場合が多いのでダメ。鶏肉はサルモネラ菌がいるし、鳥の骨は犬が噛み砕くと鋭利な割れ方をするので注意が必要。
魚にだって寄生虫はいる。十分に加熱するのはもちろんのこと、魚は種類によっては消化できない骨もあるので、丁寧に骨を取り除いてやらなければならない。貝類などは消化が悪く、海藻には毒素が含まれているものもあり、皮膚病を引き起こす可能性がある。
玉ねぎがダメなのは常識だし、果物類は糖質が高いので与えすぎには注意しなければならない。

……と、愛犬のことを気遣えば気遣うほど食べさせられるものは限定されてくるのだが、フィクションの世界では、そんなことおかまいなしに犬は豪快に物を喰う。たとえば人間さえも!

葉真中顕の最新作


老人介護を題材にとった『ロスト・ケア』(2013年)で一躍注目を集めた葉真中顕は、続く『絶叫』(2014年)で「貧困」や「ブラック企業」といった社会問題と人間との関わりを抉り出して見せた。いま、もっとも注目すべき社会派ミステリーの書き手だと言っていいだろう。

そんな彼の3作目『ブラック・ドッグ』は、まさかの人喰い犬小説だった! 

ある年のクリスマスイブ。東京湾に面した埋立地のイベント会場では、ECOフェスタという催しが開かれようとしていた。

ペット流通の大手アヌビスが、話題の商品──品種改良によって生後4週程度の姿のまま成犬となる愛玩犬エンジェル・テリア──の即売会を企画している一方で、動物愛護団体のウィズは保健所から救い出した犬たちに新たな飼い主を募る譲渡会を実施する予定でいた。

他にも、動物の言葉がわかるという触れ込みで人気のタレントや、会場で歌を唄うために駆り出された中学生など、様々な人々が集まりつつあった。まもなくオープニングセレモニーが始まるというそのとき。ゆっくりと会場の防火シャッターが閉まりはじめた。そして──。


巨大な黒い犬。いや、犬と言うにはあまりにも大きな獣、だった。
それが一頭のみならず何頭も、ぞろぞろと扉から出てきた。
最初に誰かが悲鳴をあげるより早く、黒い獣たちは扉の前にいた数人に襲いかかった。無造作に跳びかかり、押し倒し、噛みつく。首に、腹に、腕に。そして肉を噛みちぎる。
血しぶきが舞い、悲鳴があがり、扉の前にいた人々の一部は逃げ出し、一部は呆然とした。

ライター情報

とみさわ昭仁

1961年生まれ。ゲーム開発、映画評論、コレクター研究、古本屋店主、スカジャン制作、DJなど。神保町特殊古書店マニタ書房は、不定休で週のうち半分くらい営業。

URL:akihito tomisawa index

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