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「風立ちぬ」の帽子はその人が「いるべき場所」を示している

2013年8月16日 11時00分 ライター情報:小沢高広

『風立ちぬビジュアルガイド』スタジオジブリ監修/角川書店

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映画を観る楽しみの半分は、あーだこーだと感想を言い合うことなんじゃないかと思ってる。
ハードな締切をクリアした後の仕事場で「風立ちぬ」をネタバレを気にせず話せるなんて、ほんと至福のとき。妙にBLっぽかったよね、脚立のシーンとか駿の趣味とは思えない。きっと鈴木Pのゴリ押しだよ、なんて根拠レスな妄想ゴシップ話も楽しい。

そんななか、ウチのエーススタッフ・たきさんがふと言った。
「帽子…妙に気になりませんでした?」
うん、なったなった。
何とも飛ばされそうになってたねー、もっとちゃんと押さえないととか思ってた。
まあ結局、飛ばされたおかげであの二人が出会うんだけど。
「あのー。仮説なんですけど…、作中で帽子ってその人の『いるべき場所』をあらわしていたように思うんです」

へ? 帽子がいるべき場所?
ど、どゆことー!?

ここから始まるたきさんの<帽子=いるべき場所>説が、あんまりにもおもしろかった。
パズルがするすると完成していくような快感。
この気持ちよさをお裾分けしたくて、たきさんにお願いして文章にまとめてもらいました。
読むともっかい観たくなるよー。

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風立ちぬ、みてきました。面白かったです。

二郎が飛行機の事を考えてる時の没頭感、わくわく感は
なにかモノを作るのが好きな人なら「わかるわかる!」ってなる楽しさ。

見た後すぐ誰かに話したくなるような事はいっぱいあるんですが
中でも帽子の使い方が面白かったので、ちょっとそれについて書いてみます。

この映画で、帽子は三人目の主役と言ってもいいくらい目につきます。
ずっと風にはためいてるので、飛ばされないかハラハラしますし
飛ばされると、見てる私は「あっ!帽子!」ってなって気になります。
ダメ押しで、セリフでもちょくちょく触れてきます。

二郎と菜穂子が初めて会った列車の中で、お絹が
「お嬢様、帽子が飛びますよ」

二郎が初めて出社したとき、上司の黒川さんが二郎をデスクに案内しながら
「帽子はここ」

これは私の解釈ですが、帽子はその人の「いるべき場所」を示してるんだと思います。

カプローニさんと会ってる夢の中に、二郎は帽子を持っていきません。
持っていってもすぐ飛ばされて、二郎の頭にありません。
二郎がいるべきは現実の世界で、夢の世界(死後の世界と繋がってる)ではないから。

黒川さんが帽子の場所を指定したのは、ここが二郎の席で、これからずっと居る場所だから。
二郎は言われた後すぐ、指定の場所に帽子を掛け、デスクに座って仕事を始めます。

ライター情報

小沢高広

二人組漫画家「うめ」の片割れ。主に企画、原作、演出、料理を担当。『大東京トイボックス』『南国トムソーヤ』『スティーブズ』など。

URL:Twitter:@ume_nanminchamp

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