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「花燃ゆ」は、なぜ従来の大河ドラマらしくないのか

2015年1月18日 10時50分

ライター情報:木俣冬

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『NHK大河ドラマ・ストーリー 花燃ゆ 前編』NHK出版

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「星が降るように“なぜ”が降って来た」

なんてロマンチックなセリフでしょうか。
大河ドラマ「花燃ゆ」(日曜8時〜NHK)第1話、のちの吉田松蔭・寅次郎(伊勢谷友介)の1話でのセリフです。
「人はなぜ学ぶのか?」という命題に真面目に向き合う寅次郎を描くにしても、さすが、大河版『花より男子』(花つながり?)とまで言われている「花燃ゆ」。このセリフもちょっと女性を意識しているような印象です。

歴史的に無名な女性・文(井上真央)を主人公にして、“幕末男子の育て方”というキャッチコピーのごとく、女子が見つめた、激動の幕末を駆け抜けるイケメンたちを描くようで、確かにそれでは男子や年配の方には物足りないかもしれません。
ただ、冷静に見たらそれほど、スイーツでもないんですよ。
特に第1話(1月4日放送)は、後の吉田松蔭・寅次郎と伊之助が、現在の日本を憂いて、日本のために学ぶことを熱く語るなかなか硬派な内容でした。
寅次郎と伊之介が学ぶ明倫館に掲げてある「守破離」という言葉を見ると、幕末、新しい時代に向けて、これまでの価値観を覆していこうとする改革者たちの心意気と、大河ドラマのセオリーを破って離れてみようというテレビ局の心意気が重なったように思えます。

ただ、「破」から「離」にいきなり行き過ぎちゃったのが2話(1月11日放送)です。
文の姉・寿(優香)の結婚話がメインになったことで、夜の朝ドラみたいにしてしまいました。
NHKとしては、朝ドラ「マッサン」が、男を主人公にした、わりと男くさいストーリーな分、大河を女性っぽくしたのでしょうか。
もっとたくさんの知識を欲し、本にそれを求める先進性のある者の気持ちや、結婚によって人生が左右されてしまう女性の立場などは、「花子とアン」を思い出させ(これも、花つながり?)、ますます朝ドラ感が強調されてしまいました。

1月18日放送の第3回では、松下村塾四天王のひとりで、文の夫になる久坂玄瑞(東出昌大)との運命の出会いが描かれるので、朝ドラを超えて、ラブストーリーになってしまいそうですし、サブタイトルが「ついてない男」って、民放ドラマの「残念な夫」とか「結婚できない男」みたいで、破離ってますねえ。

さて、そんなチャレンジ精神に満ちた「花燃ゆ」のポスターは、井上真央を囲んでいる幕末男子たちを演じている4人──大沢たかお、伊勢谷友介、高良健吾、東出昌大という、井上真央ちゃんとイケメン4人、幕末4で、B4か? なんて思ってしまうわけです。

ライター情報

木俣冬

著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』、ノベライズ『リッチマン、プアウーマン』『デート~恋とはどんなものかしら~』

URL:Twitter:@kamitonami

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