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豊田商事事件、忠臣蔵…ビートたけしはなぜ実在人物を演じるのか

2015年12月26日 10時00分

ライター情報:近藤正高

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今夜(12月26日)9時からTBSテレビ60周年特別企画として『たけし&安住が贈る!「伝説の芸能60年史」』が放送される。司会はタイトルにあるとおりビートたけしと安住紳一郎TBSアナウンサー。

きょうはちょうどその前の時間帯(夜7時半~9時)にも、NHKのBSプレミアムでたけし司会による『ザ・プレミアム「たけしのこれがホントのニッポン芸能史」4』(テーマは紅白歌合戦)が放送される。いずれの番組も、たけしファンや芸能史に興味のある向きには見逃せまい。

TBSの「伝説の芸能60年史」では、たけしが1986年12月に、弟子のたけし軍団の面々を引き連れて講談社の写真週刊誌「フライデー」編集部を襲撃した事件についても振り返る。事件直前、たけしと軍団のメンバーにはどんなやりとりがあり、講談社側はどう対応したのか? 事件を振り返ったたけしの「いま、自分が芸能界にいるのはおかしい」という発言も気になるところだ。

たけし、悪徳商法の会長宅に乱入する


たけしが事件を起こしたのは、写真週刊誌を含むマスコミの過熱報道が問題化していた時期である。その前年、1985年8月に起こった日航ジャンボ機墜落事故の生存者に対し常軌を逸した取材が行なわれたことは、以前エキレビ!でも触れた。これと前後して、「週刊文春」での報道をきっかけに米ロサンゼルスでの殺人事件が「ロス疑惑」として注目され、容疑者と見なされた三浦和義社長は連日大勢の取材陣に追われた。

こうした状況を劇映画として描いたのが、1986年2月に公開された「コミック雑誌なんかいらない!」である。監督はのち2008年に「おくりびと」で米アカデミー賞の外国語映画賞を受賞する滝田洋二郎。成人映画でデビューした滝田にとって、これが一般映画における監督第1作だった。主人公のテレビの突撃レポーター・キナメリにはミュージシャンの内田裕也が扮し、脚本も手がけている(高木功との共作)。
内田裕也主演・滝田洋二郎監督「コミック雑誌なんかいらない!」

劇中では、1985年に起こった事件や社会現象が数多くとりあげられている。たとえばキナメリは、三浦和義の経営する店へアポなしで単独インタビューに乗り込み、三浦(映画に出てくるのも本人)から非難されたあげくコーヒーをかけられ追い出されてしまう。ほかにも松田聖子と神田正輝の結婚式、おニャン子クラブ、神戸での暴力団の抗争、前出の日航ジャンボ機墜落事故などが登場する。

しかし、本作の山場は何といっても、豊田商事事件をとりあげたくだりだ。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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