朝ドラ『カムカムエヴリバディ』第21週「1994-2001」
第102回〈3月25日(金)放送 作:藤本有紀、演出:橋爪紳一朗〉
※本文にネタバレを含みます
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アニー・ヒラカワと五十嵐
ハリウッドの視察団のなかで一際目を引く人物がいた。アニー・ヒラカワ(森山良子)。日系アメリカ人らしい。【レビュー一覧】朝ドラ『カムカムエヴリバディ』のあらすじ・感想(レビュー)を毎話更新(第1回〜102回掲載中)
でもまあそれより、やっぱりこの人物、安子なのではないかというムードがぷんぷん。小柄でおしゃれが大好きそうなところ。アニーは、あんこ→安子 を連想するし、ヒラカワは平川唯一からとって付けたのではないか、とか。日本は初めてと言いながら、神棚やラジオ体操に反応すること。英語が「きっとあなたを思いもよらないところに連れて行ってくれますよ」とひなたに言うことなど。
『カムカム』を見てきた視聴者にはひとつひとつ引っかかることがてんこもりである。これほどサービスフラグを立てているのだから、安子か、それとももうひとつ、大どんでん返しがあるか。ふたつにひとつであろう。
これ以上は考えても仕方ないことなので来週を待つことにして。
森山さんは世界中でライブをされていて国際的なコミュニケーションの感覚も豊かですし、森山さんの歌われるジャズはどれも素晴らしいので、英語の発音もきっと大丈夫なんじゃないかと思いました。
キャスティングのご相談の際、聞けば、お父さまはジャズトランぺッターで、ルイ・アームストロングとも親交があり、来日したときは通訳もしていたそうで、これはご縁と感じました。森山さん自身もお父さまのご縁も含めてやってみたいと熱意をこめて快諾してくださったんです。
ジャズトランペッターのお父さん、森山良子、森山直太朗と森山家も3代続く音楽家ということで、これほど『カムカム』にふさわしい人物もいないであろう。だからアニーはキーマンであることには間違いないだろう。
『カムカム』の“持ってる”感は、ドラマの年代とその年の朝ドラがうまいことドラマの内容に合うようになっていることにもある。今回は京都映画村の話『オードリー』が出てきて、ひなたがヒロインに自分を重ねているという描写まで出てきた。
もうひとり、モヤモヤさせる人物が……。五十嵐(本郷奏多)の再登場である。カッコいいスーツを着て現れた五十嵐。ちょうど、ひなたは彼にもらった風鈴を押入れから出してきてまた飾っている。これは10年越しの恋の再燃くるか? 「お嫁さんになるかならないかは人それぞれやさかい」と小夜吉(中川聖一朗)がおませな口調で言っているので、静かに見守りたい。あと2週!
それにしてもハリウッド大作が『サムライベースボール』って……。現実には『サムライマラソン』という映画があったが、タイトルからして喜劇かと思ったらシリアスだった。『サムライベースボール』は喜劇かシリアスかどっちだろうか。
(木俣冬)
【前期の朝ドラ】清原果耶主演『おかえりモネ』の全レビューを見る
番組情報
連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
2021年11月1日(月)~<毎週月曜~土曜>
●総合 午前8時00分~8時15分
●BSプレミアム・BS4K 午前7時30分~7時45分
●総合 午後0時45分~1時00分(再放送)
※土曜は一週間の振り返り
<毎週月曜~金曜>
●BSプレミアム・BS4K 午後11時00分~11時15分(再放送)
<毎週土曜>
●BSプレミアム・BS4K 午前9時45分~11時00分(再放送)
※(月)~(金)を一挙放送
<毎週日曜>
●総合 午前11時00分~11時15分
●BS4K 午前8時45分~9時00分
※土曜の再放送
制作統括:堀之内礼二郎 櫻井賢
作:藤本有紀
プロデューサー:葛西勇也 橋本果奈 齋藤明日香
演出:安達もじり 橋爪紳一朗 深川貴志 松岡一史
音楽:金子隆博
主演:上白石萌音 深津絵里 川栄李奈
語り:城田優
主題歌:AI「アルデバラン」
木俣冬
取材、インタビュー、評論を中心に活動。ノベライズも手がける。主な著書『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズルポルタージュ』、構成した本『蜷川幸雄 身体的物語論』『庵野秀明のフタリシバイ』、インタビュー担当した『斎藤工 写真集JORNEY』など。ヤフーニュース個人オーサー。
@kamitonami