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三谷幸喜は大河ドラマの大変さを楽しんでいるのか(怖ろしい)「真田丸」第8回

2016年3月6日 10時00分 ライター情報:木俣冬
NHK 大河ドラマ「真田丸」(作:作三谷幸喜/毎週日曜 総合テレビ午後8時 BS プレミアム 午後6時)
2月28日放送 第8回「調略」 演出:田中正

「おれは、あのひとたち(真田昌幸/草刈正雄、真田信尹/栗原英雄)がおそろしい・・・」と言ったのは真田信繁(堺雅人)。
それと同じく、「あのひと(三谷幸喜)がおそろしい・・・」。なにしろ、ものすごく上質なサスペンス回だったのに、締めに、徳川家康(内野聖陽)と鶯で、空気を和ませてしまうのだ。
面白いものが好きな視聴者は大喜びだが、ご高齢の視聴者はどう思ったのだろうと余計なお世話だが気になって気になって。
いや、最高に余韻のある終わり方だった。

家康「大名でもないくせにわしらを振り回しおって。やつ(昌幸)の狙いはなんじゃ」
いさましい音楽でシリアスな雰囲気。
ところが、そこに「ホーホケキョ ホーホケキョ」と鶯の声がかぶる。
家康「いや まさか・・・」
なにごとか考えを巡らす家康に、本多正信(近藤正臣)が甲冑を締める
家康「うわっ! きつい きつい きつい! きつい!」
正信「はい」
鶯「ホーホケキョ」
家康「ああっ!」

いまだかつてこんな終わり方をした大河ドラマはあっただろうか。
鶯出しとけば、お年寄りもナットクってこともないだろうし。というか、鶯終わりだったら、それこそおそろし過ぎる。家康の声(「ああっ!」だけど)が最後でよかった。

中盤、きりは「なんとか城」とか言っちゃうし、「真田丸」、ドラマづくりを楽しんでいる感じ。もちろん、相当ご苦労して書いているのはわかる。でも、これも、昌幸が「窮地を楽しんでいる」(内記/中原丈雄)と言われるのと同じで、三谷幸喜は、大河ドラマの大変さを楽しんでいる、のではないだろうか。

本筋は、じつに血なまぐさく、謀略が渦巻くディープなものだった。
信繁源次郎は、信濃の海津城へ行き、父・安房守昌幸の弟・信尹から「調略」を学ぼうとする。
「調略」とは政治的なはかりごと。
信尹はこれが得意で、第3回では「武田に仕えておきながら上杉にとりいり、さらに北条と通じるなどわしにしかできぬ仕事だ。ここまであやつらの動きを抑えてきたのはこのわしだ」と自負していた。
8回での彼の使命は、元・武田の家臣で、今、上杉の配下となって海津城の守りについている、春日信達(前川泰之)を調略することだ。
このやり口が実に鮮やか。
これは、昌幸の作戦で、信尹は自分の感情を押し殺し、徹底して作戦をやりきることのできる能力の持ち主として描かれる。

ライター情報

木俣冬

著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』、ノベライズ『リッチマン、プアウーマン』『デート~恋とはどんなものかしら~』

URL:Twitter:@kamitonami

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