連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第16週「『あなたの暮し』誕生す。」第96話 7月23日(土)放送より。 
脚本:西田征史 演出:藤並英樹
さすがに花山の言動に疑問をもった「とと姉ちゃん」96話
先週の「とと姉ちゃん」から
イラスト/小西りえこ

直線断ちの洋服を着た女性が街に溢れるようになった。

お金が儲かってきた常子はさらに攻めに出る。裁縫の講座を開くことを花山(唐沢寿明)に提案。
「講座を開く」と聞いて「口座を開く」かと思ってしまったではないか。実際、その後「お金と話題のためです」って言うし。
新聞社へ講座の営業に出向いた常子が、ワンピースの下にブラウスを重ね着しているのがかわいかったが、そんなかわいい装いと似ても似つかぬ、銭ゲバちっくな常子。
一方、鞠子(相楽樹)は恋をしはじめているらしい。
相手は水田(伊藤淳史)。彼を見ているといらいらする、まるで子供を観ているお母さんみたいな気持ちだと、かか(木村多江)に相談。
講座の日、鞠子が着ていた赤いワンピースは、とてもほっそりした相楽が優雅に着こなしていた。恋する鞠子、ひとりだけ女性らしさが際立ってきている。
美子(杉咲花)は、工夫して新しい形の服をつくってみて、花山に認めてもらって嬉しそう。
金、恋、承認願望・・・と三者三様の目的でがんばる三姉妹。

だが講座は、小山内節子(ふせえり)による妨害で、失敗に終わる。

ああ、また、「とと姉ちゃん」によくある、わかりやすい意地悪がはじまった・・・。
花山は「食うに困ればなんにでもなる。恨むならこの時代を恨め」「社長として今後の糧にしなさい」「欲をかいては足もとを掬われるぞ」と常子に厳しく言う。
常子の提案とはいえ、花山も止めなかったんだから、こんなふうに自分は関係ないふうにするのはいただけない。はじめてちょっと【黒山】って気持ちになった。
気を取り直して、モチーフになっている「暮しの手帖」で花森安治が決めていたという十訓が、花森の著書「逆立ちの世の中」の解説に載っていて印象的だったので、それを引用して、16週レビューを締めたいと思う。

(1)やさしい言葉で書く。
(2)外来語を避ける。
(3)目に見えるように表現する。
(4) 短く書く。
(5) 余韻を残す。

(6) 大事なことは繰り返す。
(7) 頭でなく、心に訴える。
(8) 説得しようとしない(理詰めで話をすすめない)。
(9) 自己満足しない。
(10)一人のために書く。
(木俣冬)