チャレンジャーがモンスターに挑戦して勝ち抜けば賞金100万円の即興のラップバトル番組。
呂布カルマは、漢a.k.a.GAMIとT-PABLOWを破り、今回は3人目のモンスターDOTAMAとの対戦。
3rd seasonからチーム戦になったのだが、「個人戦なら出てもいいよ」という呂布カルマの要望により1対1のバトルなのだ。
DOTAMAさんも事前のインタビューで、「1対1のほうが言葉もシンプルになりますからね」と嬉しそう。

DOTAMA「ぶったおします」
呂布カルマ「やれるもんならやってみろ」
対戦前からバチバチ火花散るヤバイ状況。
ROUND1。
DOTAMA「頑張ってください 言葉のウェイトおじさん」
と「言葉の重み」を茶化すのに対して、
呂布カルマ「俺の株があがっただけで あとはお客さんへの演説か?」
DOTAMAが、対戦相手と対峙せず、客席に向いていたことをディスる。
このとき呂布カルマが「【コンプラ】野郎」とDOTAMAをディスったのは、
それだけでは何だったか判らなかったが、
DOTAMAが「確かに俺は【コンプラ】野郎 それ褒め言葉 僕サイコーだよー」
と返したので、コンプラはおそらく「サイコ」だろう。
DOTAMA「34歳32歳おっさんラッパーが罵り合ってまーーす」
と、あくまでも軽妙さを重視して、だがストレートに攻めるDOTAMAさん。
呂布カルマ「34とか32ぐらいでおっさんとか言ってっからダメになってんじゃねぇの」
と、呂布カルマもストレートに、だが重く返す。
しっかりとした対話になっていて、しかも自分のスタイルを曲げずにやり合う凄さ。
事前インタビューで、DOTAMAが、こう言っている。
「呂布さんはあの見た目でみんな誤魔化されるんですけど。
表出するときは、軽妙なDOTAMAに対し、重みの呂布カルマ。
だが、根底では似ている、と。
DOTAMA「ものすごく言葉を重くみせてはいるけど言ってることはシンプルだったりするので、ぼくもそう(シンプル)なんですけど、そこの駆け引きを上手くやれたら面白い仕合になるんじゃないかな」
まさにDOTAMAさんが語っていたように、凄い試合になってきた。
呂布カルマ「お前はペラペラの早口」と言えば、
DOTAMA「早口で喋れるの何が悪いのかな。この人ゆっくりただ喋ってるだけで頭の回転が遅いだけのラッパーなんだよ」
と返す。
ROUND2。
言葉の重み論争は続く。
DOTAMA「言葉の重みってあんたっ戦極12章で言ってたから引き合いに出しただけ」
呂布カルマ「“言葉の重み”って言葉ダセェから俺は“ウエイト”って言い換えたんだよ
わざわざダサく翻訳してんじゃねぇ お前らダサい日本人黙ってください」
表現方法にこだわりがあることがストレートに伝わってくる返し。
だが、DOTAMAは、これも打ち砕く。
DOTAMA「重みをウエイトって言い換えるのカッコイイ?
英語に言い換えればかっこいいと思ってる典型的な日本人のパターンですよ」
両者譲らず、がんがん打ち合う戦いだ。
新興宗教だとディスられた呂布カルマは、そうだHIPHOPは宗教だ、と返し
呂布カルマ「悩んだり迷ったりしたときにHIPHOPが自分を導いてくれてる」
と宣言して、返す刀で、
呂布カルマ「とっくにHIPHOP捨てちまったお前には分かんねぇか
なぁPOPS野郎がよ」
DOTAMAをディスる。
それに対して、DOTAMAさんはブレることなく
DOTAMA「新興宗教じゃないHIPHOPは楽しい音楽だ」
と高らかに歌うのだ。
ROUND3。
ROUND1からずっと、呂布カルマは、何度も指をクイクイとさせて「こちらを向け」とDOTAMAを挑発する。
が、DOTAMAは呂布カルマの方を向かず、客席に向かって言葉を吐き出す。
ROUND2で、呂布カルマはこうディスっていた。
呂布カルマ「なるほど俺相手に向き合えないから
お客さんのほう向いてるわけね
そんなやり方 ペテン覚えたね
上手くなったなお前テレビ出て随分よ」
最終のROUND3でDOTAMAは自分のスタイルをこう宣言する。
DOTAMA「確かに立場があべこべかもしれねぇけど
混ぜこぜしてく俺のセッションだぜ
お客さんを高くアゲてく」
My style is the best。
DOTAMA「SKY-HIくんよりイケメンじゃないけど俺の方がラップ上手い」
って言ったあたりから、SKY-HIさんにとばっちりが!
呂布カルマ「いやSKY-HIよりラップも下手だし
顔もイケてないし 俺はお前に憧れない
何から何まで俺に伝わらない
HIPHOPってのは片想い そりゃ仕方がない」
と見事なまでの全部焼き尽くすディス。
DOTAMAさんは、SKY-HIくんより上手いってことにこだわって、
わざわざKEN THE 390さんとフィーチャリングしてた「Turn Up」を持ち出してくる。
「僕のほうが判りやすいでしょ」と繰り返す。
このあたりから、KEN THE 390にもとばっちり(審査員席にいるのに!)。
呂布カルマ「いやその曲ごと知らねぇわ
ごめんマニアックな話されてもしょうがねぇ」
これまた、呂布カルマ、審査員も焼き尽くすディス。
呂布カルマ「KENさんには悪いけど聴いてない
俺はカッコいいHIPHOPしか聴かない
ダセェHIPHOP聴いて勝手に耳が腐っちまったら
それはそいつの責任だから俺は知らない」
バトル終わった時のDOTAMAさん、白い歯を見せて大きく笑って楽しそうである。
お互いのスタイルを貫き通して戦う対話は、片想いじゃなくて最高の両思いの裏返しのように見えた。
ROUND3にまでもつれたバトルの最後は、クリティカルでチャレンジャー呂布カルマの勝利。
盛大にディスられたKEN THE 390さんもチャレンジャーに票を投じていました。リスペクト!(テキスト/米光一成 イラスト/小西りえこ)