Twitterフォロワー20万人超のラブホスタッフ上野さんによる「空想恋愛読本」。本連載では、マンガ・ドラマ・アニメ等の登場人物が現実にいたらモテるのか分析。
そこから女性にモテるためのアドバイスを導き出します。

2006年に放映され、大ヒットを記録した名作アニメ『コードギアス反逆のルルーシュ』

今回はこの作品の2大主人公である「ルルーシュ・ランペルージ」と「枢木スザク」の2人が、もし現代日本にいたらどちらの方がモテるかということを考えてみましょう。

ある意味でこの2人はどちらも「戦争」があるからこそ輝くキャラクターで御座います。平穏な現代日本において、彼らがどのようにモテていくのか是非お楽しみくださいませ。


人間がこの世で一番嫌いなものを持っているのは……


今回はルルーシュとスザクの二人の「モテ度」を比較するにあたって、人間がこの世で一番嫌いなものというテーマで少しお話をさせて頂きたいと思います。
「コードギアス」モテ度対決 鈍感キャラは現実では罪である【ラブホの上野さんの空想恋愛読本】
画像出典:Amazon.co.jp「コードギアス 反逆のルルーシュ 1

そもそも、ルルーシュもスザクも「有能」「スタイル抜群」「ルックスも良い」「俺がなんとかするという覚悟ある」というように、基本的には非常にモテる要素に満ち溢れた能力を持っております。

もちろん「正義感が強すぎて頭が硬い(スザク)」とか「目的のために手段を選ばなさすぎる(ルルーシュ)」のように欠点もあるのですが、戦争中という異常事態で、なおかつ2人とも世界のキーマンになってしまったからこそ、この欠点が極端に際立つに過ぎません。実際、コードギアスの学園生活では彼らのこういった欠点はあまり目立たず、現実世界においてもそこまで大きな欠点にはならないと想定されます。

しかし、この2人のうち片方が、私がこれからお話させて頂く「人間がこの世で一番嫌いなもの」に該当してしまう特徴を持っていると言わざるを得ません。この点こそが今回「ルルーシュ対スザク」のモテ度対決を決定付けたので、その特徴についてお話をさせて頂ければと思います。

さて、ルルーシュもスザクも「軍隊」に少なからず縁のある人間なので、軍を例にしたいと思います。私は大学時代に韓国人の留学生と仲良くしていたのですが、彼から聞いた「韓国の徴兵制」についてのお話がとても興味深かったのです。


韓国は徴兵制を敷いている国家のひとつですが、やはり韓国人の若者からすると結構な恐怖があるそうです。
まず韓国の男性は基本的に18歳になると徴兵に応じる義務が御座います。そこで色々と検査をされ、問題のない者は2年程度の徴兵に従事することになるのですが、兵役免除になる人の割合は約5%だそうです。私の友人だった留学生も大学3年に上がるときに、韓国へと戻り徴兵に参加しておりました。

しかし、5%が試験に落ちるということは、逆に言えば95%は試験に合格してしまうのです。韓国の人口は約5000万人と日本の半分。
正確な数字は調べても出てこなかったのですが、人口統計からざっくり計算すると、20万人くらいの男性が試験に合格して韓国軍へと配属されるのです。
「コードギアス」モテ度対決 鈍感キャラは現実では罪である【ラブホの上野さんの空想恋愛読本】
画像出典:Amazon.co.jp「コードギアス 反逆のルルーシュ 3

韓国軍全体で60万人に対して20万人もの採用をしているということ。
こうなってくると良くも悪くも一人一人を丁寧に育てるような教育は出来ません。ですので留学生の彼が言うには、ベテラン軍人が「こいつは(軍人として)優秀だ」と思った者にのみしっかりとした教育を行い、他の者に関しては結構適当な訓練をしているそうです。ただし「適当」と言っても「楽」というわけではないことは忘れてはいけません。

その中でも、韓国の若者が物凄く恐れる訓練が御座います。
それが「塹壕訓練」

塹壕というのは「掘り」みたいなもので、塹壕訓練というのは簡単に言えば「スコップで穴を掘る訓練」のことで御座います。朝一番に集合がかけられ「穴を掘れ」とだけ命令を受け、ひたすらに穴を掘る。軍の訓練は機密事項なところが大きいので本当かどうかは分かりませんが、友人の韓国人は口を揃えてそんな訓練があると言っておりました。多少誇張されているかもしれませんが、複数人が同じことを言うのですから、全くないと言うことはないでしょう。

しかし、もしこの訓練が本当に行われているとすれば、1つ重要な仕事が考えられます。
20万人もの男性がそこらかしこに穴を掘っていては、軍の敷地など一瞬で穴ぼこになってしまうことでしょう。ということはこの訓練は穴掘りだけではなく、穴を埋めるということもセットで行われているはずなのですが、これが、これこそが人の心を折る。

つまり「徒労」
自分がやってきたことが一瞬で無駄になる。

ロシアの文豪・ドストエフスキーは『死の家の記録』という作品の中で、この穴掘りこそが最も過酷な拷問であると述べました。もちろん韓国軍の訓練では拷問にならないように工夫がされていることでしょうが、人間は徒労が物凄く嫌いなのです。


さて、それでは今回の本題に戻りましょう。
もうお忘れの方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の本題は「ルルーシュ対スザク」どちらが現実にいたらどちらがモテるかで御座いました。

そう、先ほど長々とお話しさせて頂いたテーマである「徒労」。
これがルルーシュとスザクのうち、片方が持つ致命的な欠点で御座います。

みなさま、一体どちらが私の言う「徒労」という欠点を持っていることと思いますか?

ナナリーのための行動が物凄く遠回りになってしまったルルーシュ。
それとも「過程」に拘るあまり、結果を軽んじてしまうところがあったスザク。
さて、どちらでしょうか?

恋愛においての「徒労」とは?


恋愛においての「徒労」が何かと言えば、これは端的に言って「反応してくれない」で御座います。

今日では「肉食系女子」などという言葉も生まれているように、女性から恋愛を進めることも珍しくなくなりました。
しかし、断言させて頂きますが、それでもなお多くの女性が「男性主体で恋愛を進めてほしい」と思っているのは間違い御座いません。肉食系女子の方だって、その多くは「男性が主体的に進めてくれないから、仕方なく肉食系になっている」というのが本音でしょう。真性の肉食系女子は、良くも悪くもこの世界にほとんどいないと断言させて頂きます。

それでは、そんな女性にとって「好きな男性と付き合う」ためにどのような行動を取っているのかということを考えてみましょう。

例えばとある女性がとある男性のことを好きになったと致します。「この人、何を考えているんだろう?」と考えていたら好きになってしまった。そんな少女の片思いだったとしましょう。

すると、その女性はこちらから具体的に好意を伝えることこそしないものの、積極的にアクションを繰り返していくことになります。例えば学生であれば生徒会など同じ組織に入って一緒にいる時間を長くするとか。教室でも話しかけるとか。相手が自分にアクションを起こしやすいように、相手が自分に好意を持ってくれるように、アクションを重ね、相手からアクションを起こしてくれるのを待つのです。

さて、それではこのようにアクションを起こしている女性にとって一番の拷問は何なのでしょうか。

こちらのアクションに気がついて、それでも好きになれないと振られるのは確かに辛いことでは御座いますが、自分のアクションが伝わっていたということは間違いないので、その点に関しては救われております。

最大の拷問は「こちらのアクションが伝わっていない」ということ。
つまり、アニメや漫画の主人公にありがちな「鈍感」で御座います。

女性がアクションを起こしているにも関わらず、そのことに一切気がつかないというのは、非常に厳しい拷問を強いているのと変わりません。もちろん、そのことを責めるつもりは御座いませんが、通常の女性であればそんな拷問に耐えられず、次の男性を探しに行ってしまいます。漫画やアニメのように、何の反応もしていない男性に永遠にアプローチを続ける、などということは現実ではそうそう起こりえません。

スザクとルルーシュは、少なくともアニメの中ではどちらも恋愛に対して自分から行動を起こすというタイプではありません。
しかし、公式でも「女性の扱いが上手い」と言われ、天然キャラのくせにそれなりに女性の好意にも敏感なスザクと比較すれば、鈍感なのは完全にルルーシュのほうでしょう。
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画像出典:Amazon.co.jp「CODE GEASS COMPLETE BEST CD DVD, Limited Edition

シャーリー、ミレイ、カレン、ユフィ、皇、そして恐らくはC.C.と、登場するほぼ全ての主要女性キャラから好意を寄せられておきながら、その好意に気がつく時にはその女性が死んでいる、という鈍感どころの騒ぎではないルルーシュ。

ルルーシュが、相手の好意を察した上で、それでも自分はその思いに応えることが出来ない、と断っているのであれば、女性は自分のアクションが「無駄」だとは感じません。もちろん断られれば女性は落ち込みますが「そもそも伝わっていない」と感じるよりはマシなのです。
しかし、彼の場合は作中のほとんどの時間において、単純に気がついていないだけ。この鈍感さは「恋はパワーなの!」でお馴染みのシャーリー並みの愛情がなければ、早々に心が折れてしまいます。

ですのでルルーシュがもし現実に存在した場合、おそらく見た目や性格などから多くの女性を引きつけることでしょうが、そのほとんどの女性が非常に短い期間の片思いの後にルルーシュへの恋を諦めてしまうことが想像されます。ルルーシュのような「異常に鈍感」な男を愛するというのは女性にとっては酷く辛い拷問に他なりません。

長い期間、片思いを続けることができる女性とは


現実には、片思いを長い期間続けている方が男女問わずたくさんいらっしゃいます。

しかし、人間は徒労が何よりも嫌いなので、非常に高い確率で徒労になってしまう片思いをそう何年も続けることなど出来るはずないのです。にも関わらず一体なぜ、現実には長期間片思いをしている方がいらっしゃるのでしょうか?

1つ目の可能性は、相手が非常に“うまい”という場合。
分かりやすい例が、ホストやキャバ嬢などでしょう。

彼らは、相手からの片思いをいかにして長期間引っ張るか、ということが勝負といっても過言ではない仕事をしております。ですので、相手の好意に気がついていながら、決して本命にせず、それでいて相手に「徒労だ」と思わせない立ち振る舞いを熟知しているのです。
簡単に言ってしまえば「このまま片思いを続けてくれていれば“もうすぐ”付き合えるかもよ」という行動なのですが、この行動をしていれば「もう少しで付き合えるかも!」と相手は徒労を感じることが御座いません。

もちろんホストやキャバ嬢ほどのスキルではないにしても、意識的無意識的に「もう少しで付き合えるかも」と思わせることが上手な方はたくさんいらっしゃいます。

例えば、いわゆる「オタサーの姫」などはこの典型ですし、良くも悪くも「夢見がちなバンドマン」などもこの才能を持っていることが多いでしょう。

また、上手いというのは何も「もう少しで付き合えるかも」と思わせることだけではなく、相手の好意に気がついて「きちんと断る」というのもまた含まれるのです。皆様の周りにも「断られてもなお片思いを続けている」という方がいらっしゃることでしょうが、「断る」ということは間違いなく「アクションが伝わってはいる」のです。ですのでこの場合もまた徒労だと思わせないという意味では優れた対応の一つで御座います。

2つ目の可能性は、別に大して好きではないという場合。

これは私にも経験が御座います。別にその子のことが好きなわけではないのですが「好きな人がいない」というのも寂しいので、なんとなく「その人が好きということにしている」というような感じといえば分かりやすいでしょう。

この場合は、そもそも「好きになる」という労力を払っていないので、徒労と感じることが御座いません。

そして3つ目の可能性ですが、これは「好きだけど、付き合いたいというわけではない」という場合で御座います。

これはやや理解しにくいかもしれませんが「相手のことは好きだけど、振り向かれても困る」という感情は確かにこの世界に存在致します。「その人を好きなのに、その人には振り向かれない」という状況が望みなので、「徒労」どころか、完全に成果が出ているので長い期間、片思いを続けることができるのでしょう。アイドルのファン(特に女性)にはこのきらいがある方が少なくありません。


スザクと比べてルルーシュに凄まじく少ないもの


ルルーシュもスザクも、見た目、性格などから、間違いなく現実に存在してもそれなりにモテることでしょう。この2人のどちらを好きになるのかというのは、ほとんど好みの問題なのですが、スザクと比べて、ルルーシュは「好きになった時のご褒美」が凄まじく少ないのです。

「ご褒美」というのは「自分のアクションに対する相手の反応」のこと。
もっと分かりやすく言えば「自分のことを異性としてみてくれる」ということで御座います。

それが少な過ぎるルルーシュを好きになるのは女性にとってあまりにも疲れてしまうと言えるでしょう。ですので、2人とも「きっかけとなる好意を持たれる」という意味ではそこまで差はないものの、その好意がどれだけ成長し、維持されるかという面で圧倒的にスザクに軍配が上がります。

ルルーシュのような鈍感な男性にならないために


鈍感な男性に好意を寄せるというのは、ジグソーパズルを何度作ってもすぐにバラバラにされてしまうような絶望感が御座います。1度や2度なら「もう一回作ろう」と思うかもしれませんが、何度作ってもバラバラにされてしまうジグソーパズルを作りづつけることなど、通常の人間には決してできません。

それでは男性目線で考えて、鈍感な男にならないためにはどうすれば良いのでしょうか。

もちろん一番良い方法は「相手の好意に対して敏感になる」ということで御座います。ですがそんなことが出来るのならば誰も苦労は致しません。

ですので私は、おそらく女性の方から批判があがることでしょうが、多少の「うぬぼれ」もモテる男性になるためには必要な能力だと思っております。

「あれ? あの子、もしかして俺のこと好きなんじゃね?」という「うぬぼれ」。

女性はうぬぼれをあまり好みません。今、フジテレビ「ノイタミナ」ほかで放送されている『クズの本懐』というアニメの言葉を借りるならば「興味のない人から向けられる好意ほど気持ちの悪いものってないでしょう?」と言ったところでしょうか。

ちなみに『クズの本懐』はドラマもとても面白いのでぜひご視聴くださいませ。さらに『クズの本懐』をご覧いただくと、そのあとに『ラブホの上野さん』というこれまたとても面白いドラマが放送されますので、合わせてご覧になることをオススメさせて頂きます。
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画像出典:Amazon.co.jp「MUTUALITY:CLAMP works in CODE GEASS

しかし、女性がうぬぼれを好まないことを理解した上で、私は「うぬぼれる」ということをオススメさせて頂きたく思います。
確かに自分に興味がない男性からの好意は、女性からすれば不快かもしれませんが、私は何も「好意を持て」と言っているのでは御座いません。
「もしかしてあの人は俺のことが好きなのでは?」といううぬぼれを持て、とだけお伝えしているので御座います。

うぬぼれを持たずに「あの子は俺のことなんか好きになるはずがない」と思い込むのは簡単ですし、楽でしょう。
ですが、その謙虚さは、決して異性としての好意を集められず、そして自分のことを好きになった相手への最大限の失礼でもあるのです。

アニメや漫画の世界であれば、主人公に「鈍感」という特徴があるのは仕方がない側面もあるでしょう。

きちんとすぐに好意に気がつく主人公であればラブコメは出来ません。我々は女の子が何度も必死に好意を伝えているのに上手くいかない歯がゆさ可愛らしさを楽しんでいるのです。最初のアクションで主人公が好意にしっかりと気がついてしまっていたら、ラブコメは1巻で全部終わってしまいます。

ですが、「鈍感」な主人公に対して、めげずに何度もアクションを繰り返すことができる女の子は、やはり漫画やアニメの中にしか存在致しません。自分がどれだけ努力をしても一切状況が変わらない。永遠に徒労を強いられる拷問に耐えることなど人間には到底不可能なのです。

そんな女性が、別の男性になびいたとしても、私はそれを否定するつもりは全くない。
それだけ酷いことをしておいて、後々になって「俺のことが好きだったのに、あいつと付き合いやがって」という男の方がどれだけ人間性に欠けるか、とすら思います。

現実世界において「鈍感」は罪である。

そんな罪を背負ったルルーシュは、現実でのモテ度を考えるとスザクには決して勝てないことでしょう。
(上野)