Twitterフォロワー20万人超のラブホスタッフ上野さんによる「空想恋愛読本」。本連載では、マンガ・ドラマ・アニメ等の登場人物が現実にいたらモテるのか分析。
そこから女性にモテるためのアドバイスを導き出します。
「シュタインズ・ゲート」岡部倫太郎は現実という世界線ではモテるのか【ラブホの上野さんの空想恋愛読本】
画像出典:Amazon.co.jp「STEINS;GATE

俺だ。

今回は「未来ガジェット研究所」の所長である「奴」の正体を調べたいと思う。

ふん、本当に因果なことだよ、まさかこうして俺がまたやつと相見えることになるとはな……。

ということで、今回はゲーム「STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)」から主人公のオカリンこと「岡部倫太郎」が現実にいたらという空想恋愛で、彼のモテ度を考察してみたいと思います。

それではみなさま、

エル・プサイ・コングルゥ


岡部倫太郎といえば中二病



おそらく、ゲームにしてもアニメにしても、最初にオカリンを見た感想の多くは、

「何この中二病、うぜえ」

だったのではないでしょうか?

牧瀬紅莉栖が真剣にしゃべっているのにも関わらず、中二病で対応するシーンなどはその典型で、作中で紅莉栖が「ふざけないで」と怒っていることからも分かるように、現実でもいちいちあの様な態度を取られていたら、多くの方は呆れるか怒るか諦めるか、のいずれかの対応をすることでしょう。

諸事情により話が噛み合ってしまうことの多い阿万音鈴羽、同じく中二病全開のフェイリス、相手の言っていることを何でも信じる系の漆原るか(ルカ子)が異常なだけで、現実にもしオカリンがいたらMr.ブラウンこと天王寺裕吾のように「あ、何言ってんだおめえ!?」という対応になるというもの。


とは言え、ゲームやアニメで「シュタインズ・ゲート」を一通りご覧になった方は、一体何故オカリンがこんな喋り方をしているのか、ということもお分かりのはず。その理由を知ればきっとオカリンのこのような「ウザさ」も、それどころかオカリンの「うざいところ」が好きになることでしょう。椎名まゆりが「オカリンはいい加減その喋り方をやめるべきなのです~」と言わないのもこのせいですから。

オカリンに学ぶ会話術



狂気のマッドサイエンティスト・鳳凰院凶真もとい岡部倫太郎の会話の特徴を説明するために、女性が「太っちゃって~」と言った時の会話の例を二つご用意させて頂きました。

皆様はどちらのパターンに近いか、ということをお考えくださいませ。

パターン1
女性「最近、太っちゃって~」

男性「え~全然見えないよ~」

女性「ほら~二の腕なんてこんなにプルプルだよ?」

男性「これくらい全然太ってるに入らないって」


パターン2
女性「最近、太っちゃって~」

男性「分かってるなら早く痩せろよ」

女性「え、でもダイエットって大変じゃん」

男性「そんなこと言ってたら永遠にデブのままじゃん」


さて、この2つのパターンを見て皆様はどのように感じましたか? おそらくは「パターン2は論外」、と思ったことと思います。

ですが、私の感覚では「どちらもモテないものの、どちらかと言えば“まだ”パターン2の方がモテる」と思います。

パターン1はおそらく誰からも嫌われることは無いものの、同時に「決して誰からも好かれることがない」会話の仕方。対してパターン2は「100人中99人からは物凄く嫌われるものの、1人からモテる」会話であると言えるでしょう。

確かに100人中99人から嫌われるというのは問題ですが、それでもパターン2は1人からモテることができるのです。
どちらがモテるかということは考え方によっても違うかもしれませんが、私の考え方ではパターン2の方がモテると言えます。

とは言え皆様ご安心くださいませ。よっぽどぶっ飛んだ人でなければ、パターン2のように会話をすることなど出来ません。
モテない方のほとんどはパターン1型のせいでモテていないのです。

それではパターン1のモテなさの原因は何かと言えば、端的に言って「無難」
相手に気を使いすぎて何一つ面白くも楽しくもない会話になっているので御座います。

さらに、この「相手に気を使いすぎて」というところが非常に問題で「本当に相手のことを思っている」のであればまだしも、ほとんどの場合においてただひたすらに「嫌われたくない」と思っているだけなのです。

嫌われたくない、と願えば嫌われることはないでしょうが、「愛情の反対は無関心」というマザー・テレサの言葉からも分かるように「嫌いではない=好き」では決して御座いません。「あーなんかそういやそんな奴もいたね」という無関心の対象になってしまうのです。

「シュタインズ・ゲート」岡部倫太郎は現実という世界線ではモテるのか【ラブホの上野さんの空想恋愛読本】
画像出典:Amazon.co.jp「STEINS;GATE Vol.1【初回限定版】

その点、オカリンの会話は違います。

中二病モードの時は「100人中99人に嫌われる」ような会話をしている彼ですが、たまに真面目モードになった時の彼は、普段とは違った意味でまた決して無難なことなど言いません。

「もう父さんのことなんて諦めちゃおうかな」と言う鈴羽に対しては、「ふざけるな!」と大激怒。

「男だか女だかわかんね奴が!」とルカが絡まれている時も、またやっぱり大激怒。

お婆ちゃんが死んで、まゆりが消えてしまいそうだと思った時は「お前は俺の人質」などというとんでもなく無難ではない発言。

「青森にいるパパに嫌われている」と言う紅莉栖に対しての態度は特に分かりやすく、無難を取る男性なら「それは大変だね」とか「紅莉栖が悪いわけじゃないよ」みたいな無難なことを言いそうなものですが、オカリンの場合はそうではありません。


「和解に行く」と勝手に断言してしまうのです。

この時のオカリンの対応は、結果としては紅莉栖を喜ばせることとなりましたが、無難ではないこともまた間違い御座いません。紅莉栖が「人の家庭の話に首を突っ込まないで!」と怒り出す可能性も決しては0ではないのです。もちろん状況を考えれば99%成功して、紅莉栖が怒り出す可能性など1%もなかったことでしょう。

ですが、無難なことしか言えない男性というのは、このわずか「1%」のリスクすら取ることが出来ないのです。1%でも嫌われる怒らせる可能性があると思えば、決して無難ではないことが言えない。


極めて分かりやすく言えば、会話をしている時に「自分が相手から嫌われないこと」というただ一点にのみ意識が集中し、相手のことなど少しも考えていないのです。
モテるためにはそういった「嫌われない」会話だけではなく、少なからず嫌われる可能性もある「踏み込んだ会話」が必要になってくる。このことをどうかご理解くださいませ。

それではオカリンは現実世界ではモテるのか!?


極めて友人思いで、誰かのために命を投げ捨てることも厭わない。そんなオカリンの人間的魅力は極めて高いことでしょう。
ですので、彼の身近にいる女性からは極めてモテることが推測されます。
「シュタインズ・ゲート」岡部倫太郎は現実という世界線ではモテるのか【ラブホの上野さんの空想恋愛読本】
画像出典:Amazon.co.jp「STEINS;GATE VOCAL BEST





しかし!

ここで「シュタインズ・ゲート」主要な女性キャラクターたちが、一体なぜ彼の周りにいるのかということを考えてみましょう。
「シュタインズ・ゲート」岡部倫太郎は現実という世界線ではモテるのか【ラブホの上野さんの空想恋愛読本】
画像出典:Amazon.co.jp「STEINS;GATE ダブルパック

・まゆり……幼馴染。現実的にもあり得る。
・紅莉栖……いきなり「お前は死んでいる!」と言ってきた男を探しに来る。現実的にはまずあり得ない。無視をするか警察に連絡するかの二択である。
・鈴羽……ネタバレ回避のために曖昧に言えば「仕事の事情」で彼の近くにいた。観察対象。現実ではまず有り得ない。
・萌郁……ネタバレ回避のために曖昧に言えば「仕事の事情」で彼の近くにいた。観察対象。現実ではまず有り得ない。
・フェイリス……諸事情により(現実ではまず有り得ない)オカリンの本質を知っていた。
・ルカ子(だが男だ)……マユリの友人。かつ不良に絡まれているところを救われた。現実でもギリギリ有り得る。

つまり、オカリンの周りにいる女性というのはまゆりを除けば、仕事のためにいる人や現実ではまず有り得ない理由で彼の近くにいる人ばかり。

そう、彼は現実にいた場合「極めて」女性との出会いに乏しい人間であると言わざるを得ません。

我々はアニメやゲームでオカリンが「ただの中二病」ではなく、極めてまともな「人格者」であることを知っています。しかし、もしその事前知識がなければ、いきなり「フゥーハハハ!」と笑い出したり、唐突に携帯を取り出して電話をするふりをして「エル・プサイ・コングルゥ」と言い出すような男と一緒にいたいと思うことがあるでしょうか?

私は決してそうは思いません。まず間違いなく誰も彼の近くに寄ったりはしないことでしょう。

オカリンの人間的魅力が高いことは私も認めますが、残念ながら彼が現実にいた場合、その素晴らしい人間的魅力を知る女性が“極めて少ない”と言わざるを得ません。

同じ学校や職場であれば、という意見は分かりますが、作中の事実として高校時代の彼は異性はおろか同性にすら友達がほとんどいなかった(ダル談)ですし、男女比率が極端に偏っている東京電機大学とは言え、大学の女性が誰一人として作中で登場しないことからも「学校程度の付き合いではオカリンの魅力は伝わらない」ということが分かります。

彼が社会人になり、職場でものすごく長い時間を一緒に過ごせば、彼の人間的魅力に気がつく女性も現れるかもしれませんが、会社での付き合いというのは時間こそ長いものの、学校と比較して希薄なのも事実。彼の人間的魅力に気がつく女性がどれほど現れるかは、やや疑問が残るところでしょう。
(上野)