Twitterフォロワー20万人超のラブホスタッフ上野さんによる「空想恋愛読本」。本連載では、マンガ・ドラマ・アニメ等の登場人物が現実にいたらモテるのか分析。
そこから女性にモテるためのアドバイスを導き出します。

1979年に第1作『機動戦士ガンダム』が放映され、未だに根強い人気を誇る「ガンダム」シリーズ。

今回はそんなガンダム作品のなかから、宿命のライバル同士「アムロ・レイ」と「シャア・アズナブル」の2人がもし現実にいたらどちらの方がモテるか、ということを考えてみたいと思います。
なおシリーズが非常に長く、派生作品も多いため、原則としていわゆる“正史”であるTVアニメ『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』と、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の内容で判断させて頂きます。


ジオンの英雄、赤い彗星「シャア・アズナブル」



パイロット、政治家、軍人のいずれの点から見ても非常に高い能力であるシャアですが、彼のことを考えるうえで外せない要素として「とんでもないトラブルメーカー」ということは外せません。

『機動戦士ガンダム』で描かれている一年戦争を起こしたのはザビ家であるものの、シャアのザビ家に対する復讐心から起こした行動が戦局に影響を及ぼすこともありました。

ザビ家の人間を2人も殺すわ、一年戦争終了後は死んだかと思えば7年後にまた違う偽名でガンダムを奪うわ、議会は占拠するわ、しまいには地球に隕石は落とすわと次々にトラブルを起こし続けます。
恐らく良い意味でも悪い意味でも、シャアのような人間は死ぬまで「止まることがない」タイプの人間なのでしょう。

もちろん、これらのトラブルを起こす理由の根本には「幼い頃に芽生えた復讐心」というものがあるため、シャアが現実世界に生まれ、普通の家庭に育っていればここまで多くの人間を殺すこともなかったでしょう。ですが、それならば彼のこれほどまでのエネルギーはどこに向かうのか。

恐らくは仕事に向かうことでしょう。若くして起業をし、古い価値観に囚われた地球人たちを、力で圧倒していく、そんなベンチャー企業の社長のような姿が想像されます。


連邦の白い悪魔「アムロ・レイ」



ガンダムの開発に関わっていたテム・レイの息子にして、地球連邦軍のエースパイロットであるアムロ・レイ。
基本的には「技術者」よりの人間であった彼ですが、モビルスーツと出会ってしまったばっかりに、あれよあれよという間にエースパイロットになってしまった彼ですが、彼は「シャアと比較すると」比較的穏健でトラブルを起こさない傾向に御座います。
あくまでも「シャアと比較すれば」で御座いますが。

また、シャアと比較すると明確に「信念」が薄いのも特徴で、彼は生き残りたい、負けたくないという理由で戦っているのです。

これは悪いことではありません。むしろシャアのように「何かしらの信念」に囚われている人間の方がずっと異常で、素直に「死にたくない」と思って戦っているアムロの方がまともでしょう。
ですので、もしアムロが現実にいた場合はシャアと違い、よほどのことがない限り「平穏な技術者」で生涯を終えた可能性が高いことと思います。

モテるためには2つの要素が必要


さて、それではアムロとシャアの2人がもし現代日本に生まれていたら、どちらの方がモテるかというお話をさせて頂きます。

ところで、そもそも論になりますがモテる要素は大きく分けて2つに分かれるのですが、それがなんなのかというお話をさせて頂きましょう。


1つ目の要素は「本人の魅力」
性格や見た目、年収や社会的地位などもこれに該当します。
一般的に「モテる」と言えば、たいていの場合、この要素が比較されます。「あの人は性格が良いからモテる」とか「あの人は見た目が良いからモテる」というように、その人間がどれだけ「魅力的か」ということで人はその人の「モテ度」を判断する傾向にあると言えるでしょう。

しかし、特に今回のコラムを語る上では「モテるためのもう一つの要素」も忘れてはいけません。

その要素とは「知名度」

もっと具体的に言えば「その人間をどれだけの人が知っているか」ということで御座います。

考えてみれば当然なのですが、物凄い魅力の塊である人間が存在したとしても、その人が山に篭り、社会との関係を絶っていればモテることは決して御座いません。
逆に言えば「人間的魅力」がそこまで高くなくても、何かしらの理由で「知名度」が物凄く高ければそれなりにモテてしまうもの。

よく「人の好みはバラバラ」と言いますが、これは非常に重要な点で御座います。
例えばAさんの「人間的魅力」が好きな人が日本に500人いたとしましょう。するとAさんは最大で500人の女性から好意を寄せられることになるのですが、それはその500人全員がAさんのことを知っていた場合に限ります。
もし500人のうち1人しかAさんのことを知らないのであれば“最大でも”1人の女性からしか好意を寄せられることは御座いません。

もちろん、そもそもにその人の人間的魅力を好きになる人が1人もいなければどれだけ知名度を増やしても全く意味は御座いませんが、そうでないのならば知名度を増やすというのは間違いなく重要な要素なので御座います。

アムロ対シャア“現実にいたら”モテるのはどちらだ!?



ガンダムの世界において、アムロとシャアの知名度はそこまで大差はないでしょう。

ジオンからは「連邦の白いやつ」「白い悪魔」と恐れられ、連邦からは英雄として崇められていたアムロ・レイ。
逆に連邦から「赤い彗星」と恐れられ、ジオン内では色々な意味で超有名人であったシャア・アズナブル。

恐らくはシャアの方が有名だったことと思いますが、その差はほとんど考えなくて良いレベルであったでしょう。
ですが、この2人の知名度が宇宙規模で有名になった経緯を考えると、2人の間に決定的な差が生まれます。


シャアが「自ら行動して有名になった」のに対してアムロは「偶然、巻き込まれて有名になった」ので御座います。
これは別にどちらが優れているという問題では御座いませんが、この2人が現代日本に生を受けていた場合、その知名度には大きな差が生まれることが想定されます。

シャアは誰が止めても勝手に前へ前へと進み、起業でもして、良くも悪くも世間に名を轟かせるタイプであるのに対して、アムロは余程の偶然でも重ならない限り表舞台に立つことはないでしょう。
ですので「知名度」という面では圧倒的にシャアに軍配が上がります。

続いて「人間的魅力」に関してですが、これはやや好みが分れるところでしょう。
戦争中にもかかわらず「なぜ戦うのか」などと言う哲学的な悩みを語り出したり、「親父にもぶたれたことないのに!」というセリフが有名なばっかりになんとなく「子供っぽい」印象が大きいアムロですが、この時の彼はまだ思春期真っ只中の10代。ストーリーが進むに連れて彼は「極めて大人な人間」へと成長していきます。

特に「Zガンダム」で、自分とよく似た境遇にあったカミーユ・ビダンの兄貴分として登場する頃には、昔の自分のように「何故戦うのか」と思い悩むカミーユに対して、「意味なんてない」「でも戦いは必要」と極めて大人の対応。物語の中でも「社会人なのだから仕方がない」というような行動、発言が目立つようになり、良い意味でも悪い意味でも「自分は組織の中の1人に過ぎない」ということを強く意識する傾向に御座います。

一方で、「どう見ても20歳じゃないだろ」と思ってしまうほど最初から大人っぽいシャアですが、自分の信念や復讐心がいつまでも消えないと言う意味ではアムロよりずっと子供でしょう。もちろんシャアも「社会人としてのマナー」などはしっかりと把握しているのですが「夢見がちな子供」と言ってしまえなくもない危うさがあると言えます。

現実にいたらモテるのは間違いなくシャアであるものの……



このコラムは「現実にいたらどちらがモテるか」というコラムで御座います。その観点から言えば、おそらく現実に存在しても非常に高い知名度を誇り、高いカリスマ性を持ったシャアの方がモテることは間違いないでしょう。

しかし、これが結婚となると話は異なります。
どう考えてもロクに家に帰って来ることもなく、連日ニュースを騒がせていつ人生が破綻するかも分からないシャアよりも、極めて「大人な男性」であるアムロの方が平穏な結婚生活を送れることは間違い御座いません。

また、シャアの致命的な欠点として「自分のタイプの女性」からモテないということも挙げられます。

ガンダムファンの間では常識かと思いますが、「ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ」というセリフからも判るように、シャアは基本的に極度の「マザコン」のきらいが御座います。別にそのこと自体は問題ないのですが、カリスマ性があり、一見すると大人な男性に見える彼に好意を寄せる女性の多くは、年齢的にも精神的にも彼より幼い女性が多いでしょう。

作中ではララァとナナイという「シャアの母親になれる器の女性」が幸運にも彼に好意を寄せてくれましたが、現実では彼ほどの「トラブルメーカー」を全て受け止められる女性などまず存在致しません。

ですので、シャアはやたらとモテるくせに「私のことを全て受け止めてくれるような女性は1人もいない」と永遠に理想の女性に出会えないタイプ。
その点、アムロは人間的にも大人ですので、良い意味で「妥協」ができるタイプでしょう。


アムロとシャアに学ぶ恋愛観


端的に言って、現実にいてモテるのはシャアで間違いございません。
ですが、それが幸せかと言えば話は全く別問題。幸せな恋愛ができるのはどちらか、と聞かれれば間違いなくアムロであると断言できます。

このあたりのさじ加減は、皆様自身で考えなければなりません。1人からしか好かれなくても物凄く幸せな恋愛ができるかもしれない。
モテるに越したことはない、というのも正しい価値観だとは思いますが、高すぎる理想は自らを幸せから遠ざけるということを御理解頂ければと思います。

それでももし「不特定多数からでも良いからモテたい」とお考えの方がいらっしゃるのであれば、今回の件からは是非「知名度」について学んで頂ければと思います。
もちろん人間的魅力が基本なのは間違いございませんし、人間的魅力が上がれば知名度も比例して上がるのも間違い御座いませんが、このことを意識するかしないかでモテ度には大きな差が出ることでしょう。

商品で言えば「広告」。
良いものを作れば売れるわけではない、というのは恋愛市場においても同じことが言えるので御座います。
(上野)