女医と一般男性をマッチングする「女医コン」 参加条件は収入よりも“健康”?
「女医コン」を主宰している循環器内科医・薬師寺忠幸さん

2015年の国勢調査の結果、50歳までに一度も結婚したことがない人の割合を占める「生涯未婚率」が男性で23.37%、女性で14.06%と過去最高を記録した。なかでも、女性医師の生涯未婚率は約36%と、世間的に見てもかなり高い水準にある(※舞田敏彦氏サイト「データえっせい」より)。
男性医師の未婚率の約3%と比べると、約10倍にも上がるのだ。そんな状況を“社会的損失”と考え、一般男性との出会いの場を設ける「女医コン」を主宰しているのが、循環器内科医・薬師寺忠幸さんだ。自身で活動している取り組みについて話を伺った。

始まりは同僚女医からの“合コン依頼”


――まず、女医さんの未婚率の高さに驚きました。

「職種別にみても、女医の未婚率は圧倒的に高いんですよ。仕事が楽しいと感じる人も多いし、給与が比較的高いので1人でも快適に過ごせるんです。あとは医学部卒業後、研修を経て、半人前で30歳前半、一人前になるのが35歳以降なので、気づいたら自分だけ結婚していないという人も多いのが現状です。35歳過ぎても未婚の方はエリアや専門によっては半数を超えますね」


――そんななかで、女医コンを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

「以前僕が在籍していた大学病院で、いろんな専門科の女医さん3人くらいから同時期に『合コンセッティングしてください』と相談があって。“そんなにニーズがあるのか”と思い、女医コンを始めたのがきっかけです。そうして続けていくうちに全国からそういった声があることに気がついて。今では医療系メディアを中心に取り上げてもらったこともあり、全国的にも結構認知されるようになりましたね」

――なるほど。

「あとは僕が担当していた循環器内科外来は大体60代以上の方がメインなのですが、問診中に家族構成を聞くと夫婦で2人よりも、子ども含めた3人暮らしをしている方が多いことに気が付いたんです。“高齢息子“が結婚せず、超高齢の親とともに暮らしているパターンが少なくありません。
これでは日本の人口は増えていきません。そんな事態を改善するひとつの手段となれば、と思ったのも理由にあります」

参加条件は“健康体かどうか”


女医と一般男性をマッチングする「女医コン」 参加条件は収入よりも“健康”?
「女医コン」Facebookページ

――どんな参加条件があるんですか。

「当初は男女ともに45歳までにしていました。参加者の平均年齢は20代後半~30代前半ですが、最近は学生や20代前半など、若い人も増えてきています。ただ、女医コンをやっているうちに、女医は若い人が多くなってきて比較的年上の女医が参加しづらい雰囲気になってきました。そのため、女性を35歳以上に限定した『オトナの女医コン』も開催しはじめました。こちらは人生を歩むパートナーを見つけることを一番の目的としているので、男性に関して年齢制限は設けていません」

――年齢以外に、何か条件はあるんでしょうか。

「僕が循環器内科医ということもあるので、健康に関することは線引きしています。まずは、タバコを吸わないこと。これは大前提です。ただし、喫煙者でも“禁煙外来を受診する気がある方”は初回はOKとしています。女医さんは人の体を診るのが仕事なので、相手の男性の健康状態に関してはおおよそ一目でわかるんですよね。そんな方に不健康な男性を会わせるわけにもいかないでしょう」

――収入面はあまり重視されていないんですね。


「収入に関してアンケートは行いますが、基本的に定職があればOK。健康状態が第一なんです。実は、肥満にも基準があって、BMI(体重kg/身長m2)で30を超えている人はNGとしています。とはいうものの、BMI30を切ってから再度連絡をいただければ参加可とお返事しています。あとは程度にもよりますが病院で定期的に治療を受けているような人もNGです。これは一般の出会いで病気を持っていないことは当然重要なポイントですし、主催者である自分が医師なので、できれば健康な男性と女医さんを巡り合わせたいと思い、このような基準を設けました」

――今まで参加した男性の職業は、やはり医師が多いのでしょうか。

「男性医師は全体の20%と、生涯未婚率の値(3%)を考えると結構居ます。医師以外で女医コンに参加される男性は会社員が最も多く、次に公務員(役所、教師、消防士、警察官)ほかには経営者や士業、稀な例としてはミュージシャンやパイロット候補生もいますね」

――そうなると、参加される女医さんが気になるのは、参加男性の年収や社会的地位だったりするのでしょうか?

「医者家系・良家の方は相手を選ぶ傾向にありますが、地位や年収は気にしていない人の方が多いです。一人前になってくれば相手の収入は当然気にする必要は無くなってきますよね。収入や地位よりも相性や柔軟性、家族のための時間を確保できるかどうかが重要です。自分の道、相手の道を割り切れる男性であれば女医さんとフィットすると思います。体のメンテナンスに関してはプロですし、賢い女性と結婚することはその人の人生を豊かにする一つの方法だと思いますよ。
反対に、女医さんの年収やスペックを自分と比べちゃう男性だと難しいですね。留学や駐在等で海外に暮らしていた人は多様な価値観に慣れている事が多いのでうまくいくのではないかと思っています」


女医に対する意外な印象


女医と一般男性をマッチングする「女医コン」 参加条件は収入よりも“健康”?
「女医コン」主宰者の薬師寺忠幸さん

――実際に女医コンに参加された男性は、どんな印象を持ったのでしょうか。

「大半の男性はいい意味で驚いています。“女医さんってあんまり怖くないんだ……”と。当然、仕事中は厳しい目をしていますが、プライベートだと気さくで笑顔で話している姿を見ると、絵に描いたような女医像が崩れて、ふつうの女の子なんですねという声があるんです。逆に女医サイドからは、今まで医療系以外の男性のと知り合ったことがなかったので色々な話が聞けて勉強になった、とよく言われます。また、今まで病院中心であった自分の生活を見直すきっかけとなっているようです。」

――実際のカップル成立率は?

「毎回1、2組は付き合うまたは定期的に食事行くような関係になると聞いていますが、結婚に関してはまだ実績はこれからといったところ。2014年3月に第1回を開催し、これまで約30回実施した中だと僕に伝わっているうちで女医5名は結婚しています。そのなかで直接結婚のお礼を言いに来てくれたカップルもいました。今後もこのような成功例を増やすべく東京・大阪など大都市をベースに、新しい会場として仙台や大分、熊本など開催会場を増やしていきたいと考えています」

――最後に、女医さんと結婚するメリットとは。

「年収も比較的高いですし、独り立ちしているのでしっかりした方が多いですね。あとは自分や家族が病気になったときに当然頼りになります。
相手を選ぶ際にお互いに理性的で健康な人であれば、これからの長い人生を楽しく豊かに送れるのではないかと思います。『女医コン』は現在、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌で定期開催中です。さらに、女性参加者を35才以上に限定した『オトナの女医コン』も今月東京で開催予定で、大阪も来年から開始します。気になった方はぜひ、女医コンFacebookページをご覧ください」

(日野綾)
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