問屋さん教えて!無理を言う人への断り方


「ノー」と言える人ですか?
無理なお願いをされたとき、断わるも断らないも頼まれた側の自由。しかし「今後の人間関係に響きそう」、「私も無理だけど、頼んできたあの人も困っているのだし…」と悩んだりで断り方がわからなければ選択肢はひとつ。
自分にとって無理でも「やる」しかなくなってしまうので、「断り方」は身につけておきたいです。

問屋さん教えて!無理を言う人への断り方


お店を経営している方や、お店を任されている立場の方々が仕入れに来る問屋。「そうは問屋が卸さない」ということわざからして、問屋って「商業ヒエラルキー」の上位にいる気がしていたのですが、そこで働いている知人の話を聞くと、お客さん達がけっこう無理を言う方もいることを知りました。今回は、勤続約20年の女性ベテラン問屋さんに教えてもらいます。
「無理を言う人への断り方を教えてください!」

「丁寧」が大前提


まず大前提として、丁寧に受け答えすることを意識しています。理由も、納得してもらうためにはきちんと説明しないといけません。

丁寧な言葉と、あと丁寧な理由や説明も加えて断れば、「ちゃんと考えて断っている」という気持ちが伝わり、後腐れなくやり取りを終えられそうです。

ここからは実例を元に、断り方のコツを教えてもらいました。


「そんな数では値引きなんか出来ないんだよ!」価値観の違いから「嘘」をつく


問屋さん教えて!無理を言う人への断り方


問屋として働く中で無理を言われる事の多くは、
「たくさん買うからまけてほしい」
「返品を受け付けて欲しい」
この2点がほとんどです。


問屋さん教えて!無理を言う人への断り方


本当にたくさん買っていただけるのなら割引も致しますが、お客様の「たくさん」と、問屋の「たくさん」が合致しない場合が多く、お断りしなければならない場面は多々あります。
「ねえ、この靴下50足買うから少し安くならない?」
低単価品で、日に2~300は売れている靴下は、その数では安くできません。
「誠に恐れ入りますが、利益率の低い商品ですので値引きは致しておりません、申し訳ありません」
「そんな数では値引きなんか出来ないんだよ!」というのが本音ですが、「値引きの出来ない商品」ということにしてお断りします。



「たくさん」に対する価値観の違い。それを正直に言うと、ちょっと話がややこしくなりそうですね。
相手を不快にさせないため、嘘も方便なのでしょう。
日常生活で言うと、相手が「それだけのことで断るの?」と思うかもしれないことは、予防線を張って、誰もが「それなら仕方ない」と思うような内容に変えた方が無難なことも…。


「悪人」になっても断り続ける!


返品の場合。
「不良品以外の返品はご容赦ください」と、お買い上げの納品書に明記してあるにもかかわらず、「値段間違えて仕入れちゃった、返品お願い」とか、「一度着ただけでほつれたよ。返品ね」とか、いつ買ったものか解らないくらい古い商品を平気で返品として送りつけたり…。こういったお客様の対応に苦慮しています。


問屋さん教えて!無理を言う人への断り方


値段を間違えたというお客様には、基本返品を受け付けますが、「本来でしたら良品ですので、返品は受けられませんが、今回のみ返品にいたします。
次回からは受け付けられませんので、よろしくお願いいたします」と釘を刺します。



どうしても断れず無理なお願いを引き受けた場合、よく聞きますよね、「一度引き受けると次もその次も…」という負の連鎖。あれを起こさないために、最初のうちに「次は断るよ」と釘を刺しておくのがいいようです。

問屋さん教えて!無理を言う人への断り方


使用してほつれたというお客様には、「恐れ入りますが、着用した時点で返品は不可能になります。メーカーも着用後は受けとりませんので、ご了解頂きたいと思います」
これで納得される方もいますが、大抵、お客様は引きません。

問屋さん教えて!無理を言う人への断り方


「一回着ただけでほつれたんだから不良品でしょう!私はお客様に怒られたんだからね!しかも返金しちゃったんだから返品処理してよね。」
そして、「あなたじゃ話にならない、上の人出して」となります。

そうなると返品が通ってしまうので、断り続けた私達はまるで悪人です。



わからないですけど「マニュアル人間」とか言われてしまうのでしょうか…。無理なお願いをされたときって、断らない方がその場は楽なのですよね。その「楽」を選ばずに怒るお客様に耐えたのに、最終的に「悪人」呼ばわり…。理不尽極まりないのですが、問屋さんはこう続けます。


たとえ「悪人」になっても、私達は断り続けます。

でないと正直にお買い物をしてくださる他のお客様達に申し訳ないからです


「お客様には対等に」を貫いたプロ根性。問屋さんは他のお客様のために、日常生活では自分のために、「強気になる」ということも断わる上でのポイントのようですね。
それにしても、頑張って強気に断り続ける問屋さんをよそに、世の中は「そうは問屋が…卸しまくり」な現状でした。


自分のことを一番に


「無理をしちゃいけないことをあなたには無理をしてから知ってほしくない」という短歌を以前作りました。無理なお願いに答え続けていると、きっと自分が潰れてしまいます。お願いをした側も、自分のことを一番に考えているのです。
された側だって、自分のことを一番に考える権利はあるのです。
(武井怜)