
映画『わたしを離さないで』公式サイトより
作家のカズオ・イシグロさんが、「ノーベル文学賞」を受賞した。国内の各メディアが沸いているが、イシグロさんは日本出身といえど国籍としてはイギリス人。
世間の盛り上がりに“日本人の快挙”的なニュアンスを感じて、モヤモヤした気持ちを抱える人々も多いようだ。
小倉智昭さんは「日本人にカウントしていいのかな?」
スウェーデン・アカデミーは10月5日、今年のノーベル文学賞を『日の名残り』や『わたしを離さないで』などの作品で知られるイシグロさんに授与することを発表した。国内のテレビや新聞ではイシグロさん特集が大々的に組まれており、しばらく“カズオ・イシグロ”ブームが続きそうだ。
名前だけ聞くと日本人だが、イシグロさんは日系イギリス人。日本人の両親のもと長崎県で生まれて、5歳のときにイギリスに移住し、その後同国の戸籍を取得した。作品も英語で発表してきている。普段なら日本人以外のノーベル賞受賞者はあっさり報じられがちなものだが、多くの国内メディアがイシグロさんのノーベル文学賞受賞に関しては、これまでの日本人受賞者に負けず劣らずの盛り上がりを見せている。
彼が日本生まれなのは事実としても、今回の受賞を“日本人の快挙”や“日本の誇り”として受け止めることはいかがなものか――。そのような違和感を覚える人々は多いらしく、ネット上では、「取り上げ方が気持ち悪い」「本当に恥ずかしい」「みっともなく思える」といった声が上がっている。
また、フリーアナウンサーの小倉智昭さんも10月6日放送のフジテレビ系「とくダネ!」で、「日本人にカウントしていいのかな?」と苦笑い。2008年にノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎さんもアメリカ国籍の持ち主だったと引き合いに出した。
宮本エリアナさん、蓮舫さん、水原希子さんの場合は……
しかし、こういった“日本人カウント”への違和感を表明する人々に対して「日本にもルーツがあるのだから喜ぶのは自然なこと」といった反論も上がっている。また、イシグロさん自身も受賞後のインタビューで、「私の一部は日本人」「自分の世界の見方や芸術的なアプローチは、日本からの影響が大きい」とコメントしたと報じられている。
とはいえ、違和感を表明する人々も、けっして排除するつもりで「イシグロさんは日本人ではない!」と訴えたいわけではないだろう。ただ、「あくまで国籍はイギリス人なんだから、はしゃぎすぎても恥ずかしい」と感じているのだ。
ところで、2015年の「ミス・ユニバース」日本代表だった宮本エリアナさんが「日本代表がハーフなのはおかしい」と批判された件や、参議院議員である蓮舫さんの二重国籍騒動、女優の水原希子さんに「日本人ではないのに日本人のような芸名を使っている」と批判が殺到した件はまだ記憶に新しい。
そういったバッシングに疑問を感じていた人々にとっては、イシグロさんが日本人として称賛されているような光景は、一層釈然としないものだろう。ネット上では、「ダブスタ」という指摘も上がっており、議論が巻き起こっている。
(HEW)
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