上海ディズニーランドが、開園からまもなく1年を迎える。これまで、たびたび低調ぶりが指摘されているが、来場者数は当初目標の「初年度1,000万人」をなんとか達成する見込みだ。



 しかし一方で、同ランドが訴訟トラブルを抱えていることが明らかとなった。

 東京ディズニーランド内には、「クラブ33」という一般客には開放されていないレストランが存在する。利用できるのは、法人会員や、一部のクレジットカード上級会員などだ。 

 そして上海ディズニーランドにも「33倶楽部」の名で同様の飲食店が存在するのだが、その飲食店に出入りできる資格をめぐり、法人会員と訴訟合戦になっているのだ。

「中国新聞網」(4月25日付)によると、上海市内のある投資会社は、上海ディズニーランドの法人会員として、年会費318万元(約5,000万円)を支払い、10枚の会員カードを所有していた。

 ところが、会員カードを購入して5カ月経過した今月、ディズニー側から突然、会員登録の解約を通告されたという。
投資会社側は解約の取り消しを求め、上海市の裁判所へ提訴したのだ。

 強制退会の理由について、同ランドは「投資会社が法人会員カードを不正転売しており、会員規約に抵触したため」と主張。

 昨年10月、ディズニーファンが多く集まるSNSのグループチャット上で、ある人物が会員カードの転売を行っていることを確認。調査のために一般ユーザー を装い、この人物に購入の意思があることを伝えると、「会員カードを使用すれば、園内にある会員限定のレストランやバーなどが利用できる」などと話したため、規約に反し、会員カードを転売していると断定。その後も調査を続けたところ、この人物が問題の投資会社の関係者であることを突き止めたのだという。

 投資会社側は、転売の事実については反論していないものの「転売に使用された会員カードは1枚だけであったにもかかわらず、ほかの9枚まで使用不可なのは納得できない」と主張。
逆に、ユーザー 提訴するなど、両者の法廷闘争は泥沼化しているのだ。

「金と現実の国」である中国で「夢と魔法の国」を運営するのは、かくも困難なようである……。
(文=青山大樹)