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インタビュー

絢香

アヤカ

絢香

インタービュー

Excite: まず、タイトルの『Sing to the Sky』という言葉に込めた気持ちを聞かせて頂けますか?
絢香: スタッフに言われるまで気付いていなくて、無意識だったんですが、私の曲には“空”という言葉がすごく沢山散りばめられているんです。“空”という言葉を書く時は、希望や答えを求めて、ポジティヴな方に向かいたい時なんですね。空は自分にとってすごく大きな存在で、何もかも受け入れるパワーがある……その憧れもあって。空を通して繋がっている人達に「届いて欲しい!」っていう意味もあります。あと、空をふと見上げたりしてちょっと一息つく時間って、私もそうなんですけど、作れるようで意外と作れないと思うんです。そういう時間ってすごく大事で、それで見え方が変わったりすると思うので、このアルバムをそんな時に聴いてもらえたら嬉しいです。
Excite: 絢香さんが“空に向かって歌う”という感覚と、主催イベント【POWER OF MUSIC】に象徴されるような、ライヴでお客さんの前で歌ってパワーをもらうという感覚とは、違うものなんですか?
絢香: イコールですね。届かないし聞こえるわけないんだけど、空に届くぐらいのパワーでステージでも常に歌っていたいなぁという、イメージとしてですね。
Excite: なるほど。絢香さんがテーマにされている“心を伝え届けたい”ということを実現するためには、そのくらいのパワーで、ということですね。今回のアルバムは、沢山の人が絢香さんの音楽を聴くようになった今だからこそ、改めてご自分にとって“歌うことの意味”を考えて生まれた歌詞が多いのかな?と感じました。
絢香: それはありますね。1st(アルバム『First Message』)の頃は、自分を知っている人がいない、デビュー前に作った曲の方が多かったんですね。だから、自分の中での葛藤とか、夢に向かっていく途中での悩みを書いた曲が多かったんです。でも、デビューというスタート地点に立って、今度はゴールのない道に入って一歩一歩進んでいく中で、もちろん先の夢はすごく大事だけど、そこに向かうための「今」という時間を一個一個重ねていかないと、行きたい未来にも行けないのかな?って思うようになったんです。忘れがちな幸せとか、当たり前のことを幸せだと思える視点、見方を持っていたいと思うようになりました。
Excite: 「これからもそうして行きたい」という覚悟みたいなものも込めているんでしょうか?
絢香: 覚悟というほど重いものではないんですけど、それを大事に出来たら毎日が素敵かなって。私も常にそう思えているわけじゃないので、そう思えている時に書きたいというか。見落としているものを拾って曲にしたいというのは、2ndでやっと出てきたものかもしれないですね。幸せとか愛っていっぱい形があるけれど、最近はすごく、幸せって“思えること”が幸せな気がしてて。“思いよう”で救われることって、いっぱいあると思うんですよね。この一枚のアルバムが、ちょっと見方の角度を変えるようなきっかけになったり、背中を押すような存在になったら嬉しいですね。
Excite: 確かに、色んな形の“感謝”の気持ちが出ていますよね。5曲目の「グンナイベイビー」では、ご両親に向けての感謝が表現されていたり……。「今の幸せは、当たり前のことじゃないんだな」という感覚が出ていますよね。
絢香: 出てますね。そういうことを考えることが増えましたね。「おかえり」という曲では、大阪を離れて3年ぐらい経って、久しぶりに地元に帰ると何にも変わらない場所と人が待ってくれてて、「おかえり」って言ってくれることに対しての、「あ、こんなに特別な言葉だったかな?」って改めて思ったことを書いたり。離れて初めて気付いたり、遅いかもしれないけど、いなくなって気付いたりすることはよくあって。色んな人との出会いがそうさせてくれるっていうのもありますね。自分と同じぐらいの年齢で、すごい大きな病気と闘ってて、やりたいこともいっぱいあるだろうに泣き言も言わずに病気に立ち向かってる姿を見たり、お話ししたりすると、小さなことで悩んでる自分が馬鹿らしくなったりとか。
Excite: そういった感謝の気持ちとも繋がっていると思うんですが、「相手が自分をどう思うか?」「何をしてくれるか?」ではなくて、「自分が人を愛する気持ちを持つこと」そのものが大事、という想いも伝わってくるアルバムでした。
絢香: 曲が生まれたり、歌が生まれたりするのって、人と人とが繋がって生まれるものがほとんどなので。歌と愛って、切り離せない気がしますね。
Excite: 以前は内面の葛藤を歌うことが多かったのが、コミュニケーションとしての歌という方向に変化してきているんでしょうか?
絢香: そうですね。デビューしたての時とかは、東京という場所も全く分からなくて、大事な人達もみんな大阪にいて、「どうしよう?一人ぼっち……」みたいな気持ちがすごく強かったんです。自分自身が必要以上にバリアを張ってた気もするんですよね。でも、東京でも大事な仲間が出来たり、自分の居場所と思える場所が出来たりすることで、そういうバリアがなくなってきました。
Excite: どうやって心を解き放っていったんですか?何か意識的に働きかけをしたんですか?
絢香: 「よし、明日話し掛けよう!」とか、そういう意識してはいないんですけど(笑)。ある時「損してるなぁ」と思ったんですよね、そういうバリアを無駄に作っていることで。「もっとみんなと繋がっていった方が良いんじゃないかな?」と思ってからですかね。
Excite: そういう気持ちの変化によって、生まれてくる曲も豊かになっているんでしょうね。
絢香: 「ゴールドスター」に出ている怒りだったりとか、憎しみにも似た悲しみだとか、(そういう感情を表現することに)抵抗がなくなりましたね、人として自然かなって。怒りや悲しみ、弱さがあるのは、すごく普通なことだし。それをアルバムに普通に入れることで、幸せな時のこととか、本当に大事なことがよりリアルに感じられるのかな?って思うになって。その時のリアルな感情を書くのが一番大事だなと。
Excite: 逆に、以前は抵抗があったんですか?
絢香: そうですね、「書いて良いのかな?」とか、そういう気持ちを書いて結局、「何を伝えよう?」とか考えたり……。でも、感情をバッとぶつけることも一つの(表現の)方法なのかなと。温かい、柔らかいものばかりが並んでいたら綺麗ごとみたいに逆に聴こえちゃうのかな?とも思いましたし。さらけ出しちゃって、全部見せた方が人間っぽいのかなって思うようになりましたね。
Excite: 一面だけじゃなくて、絢香さんが日々どう感じて生きているのかをそのまま出すことに抵抗がなくなって、素直でストレートな表現に変わってきているんですね。
絢香: そうですね。1stよりもさらに音楽、歌の存在が身近になったんだと思います。
Excite: 歌声の幅も一層豊かで、バリエーションに富んだものになりましたね。
絢香: 今回は制作する上で1stよりちょっと余裕が出てきたのもありますし、色んな人との出会いがある中でスムースになったんですね。1stの頃は、もちろん全部が初めてなので手探りだったんですけど、今回は楽しめるようになりました。それぞれの曲にとってのベストな声色、強さなどを客観的に見られるようになったし、一枚を通してのバランスというのもすごく考えましたね。レコーディングも、アレンジを詰めていくのも、全部楽しかったです。
Excite: 今回のリリースに当たって、プレッシャーはなかったんでしょうか?
絢香: なかったですね、全然。
Excite: 本当に、絢香さんはとても落ち着いていますよね。
絢香: そうですか?
Excite: それは、揺るぎない「歌いたい」という気持ちがあるからなんでしょうね。「CLAP&LOVE」の歌詞の、<何度探しても答えは一緒>というフレーズにも繋がっているように思います。
絢香: そう、行き着くところは一緒なんですよね。プレッシャーを感じる時ももちろんいっぱいあるんですけど、それを考え過ぎて根本にある大事なことを忘れてしまうこともあって……。「なんで歌ってるの?」って考えた時に、やっぱり歌が好きで歌いたいからやっているのに、そこを忘れて、しょうもないことで悩んでたら全く意味がないなと気付いたり。結局すごくシンプルで、何回探しても一緒なんですよね。