橋本治氏は思いのままに文体を操る。24色のクレヨンのようだ。
本書は単著に未収録の短編を集めた。「異邦人」はカミュ原作を落語に脚色。長屋の隠居に急(せ)かされ、ムル三(そう)が大森駅前からモロッコ行きバスに乗るドタバタ劇だ。「歌姫」は寂れたスナックで元歌手と常連客たちが過ぎた時間を回想する。「対話型対戦ゲーム『ネゴシエーター』」は近隣の迷惑住民を説得するおバカゲームの実況。「輝ける星の下に」は≪人生にいいことはなにもなかった≫中年の主人公が、自殺未遂の中学生を救い自分も救われる話。独特の空気感の橋本ワールド全開だ。
編者の千木良悠子氏は仕事で橋本氏の作品を読み進むうち、未読の短編を多くみつけて本書を企画した。
【書き手】
橋爪 大三郎
社会学者。1948年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。執筆活動を経て、1989年より東工大に勤務。現在、東京工業大学名誉教授。著書に『仏教の言説戦略』(勁草書房)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)、『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『社会の不思議』(朝日出版社)など多数。近著に『裁判員の教科書』(ミネルヴァ書房)、『はじめての言語ゲーム』(講談社)がある。
【書誌情報】
輝ける星の下に著者:橋本 治
出版社:河出書房新社
装丁:単行本(300ページ)
発売日:2026-05-22
ISBN-10:4309032699
ISBN-13:978-4309032696