「この商品は本当に売れているのか」「適正価格はいくらなのか」。ビジネスや投資で最も知りたい本音ほど、相手に直接尋ねてもなかなか見えてこないものです。
杉村太蔵さんは証券マン時代、外堀を埋めるように周辺情報を積み重ねて核心に近づく、プロの情報収集術を学んだといいます。

『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』では、元国会議員やコメンテーターを経て投資家としても活動する杉村さんが、自らの経験をもとに独自の投資哲学を語っています。

今回は本書から、自動車の販売状況の裏付け方や芸能界での交渉術を例に、「直接聞かずに真実を探る」ための太蔵流・情報インテリジェンスを紹介します。

■聞きたい話を直接聞かず周辺情報から探り当てるワザ
自動車が売れているかどうかを見極める証券マンならではの情報収集のノウハウもおもしろかったですね。まず、適当に3カ所くらいの同じ会社のディーラーに行って、「この車、人気ですか? 売れていますか? 」って聞け、というわけです。そうすると販売員は全員、例外なく「売れています」と答えます。そこで、「在庫ありますか?」と聞けというんです。「在庫たくさんあります」と言われたら、本当に売れているのかどうか疑えというわけです。

なるほどなぁー、と思いましたね。さらに在庫がないと言われた時、「納車にどのくらいかかりますか?」と聞けと。そしたら「そうですね、1カ月以内にはご提供できます」と言われたらかなりよい感じです。ところが、「納車は半年先です」と言われたら、人気はあるかもしれませんが、生産が需要に追いついていない可能性があります。
ということは、会社の売上にはならないわけです。こういう会社もダメだというんです。

このように本来、聞きたい話を直接は聞かず「周辺情報から本当に知りたい情報を探り当てる」といったような技術。これは本当に学校では絶対に教えてくれない、現場の生きる知恵みたいなものですので、本当に貴重なご助言をいただいたと感謝しています。

■「芸能人のギャラ事情」を推測する裏ワザ
少し横道に逸れますが、じつはこのテクニックは私が芸能界に入ってから非常に役立ちました。みなさん、芸能人の番組出演のギャラ事情って、ご存じですか? ときどきネットの噂話のたぐいとして、いろいろ出ますが、どれもこれも参考になりません。

なぜならば、芸能人というのは絶対に口が裂けても自分のギャラは他人には言いません。私が出会った芸能人で自分のギャラを言う人はひとりもいませんでした。それは本番中だろうが、控室だろうが、芸能人にとって自分のギャラを言うのは御法度なのです。

それで困ったのは、私のギャラはいったいいくらが適切なのか? ということです。つまり、相場がわからないわけです。芸能人といっても商売ですので、自分という商品をできるだけ高く売りたいですよね。
しかし、高すぎても使われない、安すぎて損はしたくない。しかしながら、相場がわからない。

こんなとき、共演者がいくらもらっているかを知りたくないですか? でもこの話は御法度でいくら仲良くなってもだれも教えてくれません。そこで私は証券会社時代に培った、本当に知りたい情報を周辺情報から推測するというテクニックを使って自分のギャラを交渉し、確定させることに成功しました。

さて、どうやったでしょうか? まず、大前提として極秘情報はみんな知りたい、という大原則があります。そこで、私から、「私、この番組のギャラ、1本、100万円もらってるんです」といきなり吹くわけです。そしたら、スタジオの共演者がみんな、「えーーーっ!」っといっせいに驚愕の声をあげます。これで「あー、1本100万円は絶対にありえない数字なんだな」とわかるわけです。

次に、別の番組で今度は「私、この番組のギャラ、1本、5万円なんです」と告白すると、全員、「ふーん」というなんだか勝ち誇ったような顔をします。そうしたら、1本5万円というのは安すぎるということがわかります。こんなことを繰り返しているうちに、だいたいの相場が見えてきて、今ではその相場の1.5倍をテレビ局側の交渉のスタートラインにしています。

■利益を最大化する契約交渉の鉄則
ここで私から読者の皆様にお伝えしたい、秘伝の鉄則があります。
商売は相場の2倍を要求すると強欲に見られて関係性悪化につながりますし、そもそも契約の成立は非常に難しいですが、1.5倍だったら成立する可能性は十分あります。

落とし所として1.3倍くらいで落とせるように、最高のサービスと信頼、実績、愛される力、他社にはない技術、それらを積み上げることが、非常に重要だと考えています。

著者:杉村 太蔵(元政治家、投資家)
1979年8月13日、北海道旭川市出身。2004年3月筑波大学中退。派遣社員から外資系証券会社勤務を経て、2005年9月衆議院議員選挙当選。現在、テレビ・ラジオ・雑誌などメディアで活動する一方、派遣社員から国会議員、落選して無職からタレントに転身するなど、自身の経験を交えながら語る政治・経済をテーマとした講演活動を全国で行う。
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