●消費税減税を機に考えたい、消費税の正体
消費税は、買い物の際に消費者が負担する税金などと説明されるが、法律上の納税義務者は事業者である。事業者は売上に係る消費税から、仕入れに係る消費税を差し引き、その差額を納める。つまり、消費税は法人税のように利益に対してかかる税ではなく、事業が赤字であっても納税しなければならない場合もある。
資金繰りに苦しむ事業者にとっては、賃上げや設備投資の原資にも大きな影響がある。実際、消費税は滞納額の大きい税目として知られている。これは単なる納税意識で片付けられない問題である。また、消費税率は導入時の3%から5%、8%へと段階的に引き上げられ、現在は標準税率10%となっているため、負担感は以前より大きくなっている。
いま議論されている食料品だけの減税案にも、別の論点がある。家庭で買う食品の負担が減れば、消費者には恩恵がある。しかし、外食が対象外となれば、飲食業は大きな影響を受けるだろう。仕入れと販売で税率が異なれば、仕入税額控除や価格設定、事務処理も複雑になる。
さらに、輸出企業への還付をめぐる議論もある。輸出取引は国内で消費されないため、制度上は消費税が免除される。その結果、仕入れに含まれる消費税相当分が還付される場合がある。制度上の理屈はあるとしても、国内で事業を行う中小事業者が赤字でも納税に苦しむ一方で、輸出比率の高い企業には還付が生じる。この構造に不公平感を持つ人もいる。
もちろん、論点はこれだけではない。レジや会計システムの改修、2年限定とした場合の反動や価格転嫁の難しさ、インボイス制度との関係、逆進性、社会保障財源として何に使われているのかなど、消費税にはまだまだ多くの論点がある。
今ある制度だからといって、すべてが正しいとは限らない。だからこそ、消費税という税の特性と、それが何に使われているのかという事実に目を向けたい。一人ひとりが、消費税について考え、本質を知るいい機会だといえるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
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