打席で「結果」を出せていない一方で、マウンド上で異彩を放つ大谷(C)Getty Images

 大谷翔平(ドジャース)が、ふたたびマウンド上で異彩を放った。

 現地時間5月13日に本拠地で行われたジャイアンツ戦に先発登板した大谷翔平は、7回(105球)を投げ、被安打4、無失点、8奪三振と快投。

今季3勝目を挙げるとともに、開幕からの7登板で「防御率0.85以下&50奪三振以上」を記録したMLB史上6人目の投手となった。

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 ここまでの「投手・大谷」の凄みは、何よりも数字が物語る。「投げ心地は今のところ良い」という今季は、計7先発(44.0イニング)を消化して3勝。さらに防御率0.82、WHIP0.79、奪三振率10.32、被打率.161と相手打線を寄せ付けていない。加えて登板した全試合でQS(先発投手が6回以上を自責点3以内に抑えた場合に記録される指標)を達成する貢献度の高さを誇っている。

 リーグ屈指と呼べる水準のパフォーマンスだ。当然ながら、「投手版MVP」と評されるサイ・ヤング賞の獲得に対する期待も膨らむ。しかし、打者としての彼はややスランプ状態にある。この5月は、打率.196、1本塁打、出塁率.261、長打率.250、OPS .511と数字も低迷。投打二刀流の真価を発揮しているとは言い難い。

 当人は現地時間13日のジャイアンツ戦後に「バッティングが悪くてもマウンドの方で貢献したいという気持ちでいる」と淡々と語ったが、「極端に打てない大谷」という異変は、米メディアでも議論の的となる。そうした中で「納得はできない」と論じたのは、元マリナーズのハロルド・レイノルズ氏だ。

 MLB公式のネット局『MLB Network』の討論番組内で「MVP、そしてサイ・ヤング賞も獲れるなら素晴らしい。彼自身がそれを望むのはいい。だが、代償として、『ショウヘイ・オオタニ』という選手の本来の魅力が削られるなら、私はそんなものはいらない」と指摘するレイノルズ氏は、「今の彼は『MVP級の打者』ではない」と断じている。

「彼がピッチングに集中するというのは、全162試合のうちの、だいたい30試合に“全力”を注いでいるということにならないか? 私は162試合すべてで彼を見たいんだ。たった30日のために何らかの犠牲を背負わないといけないというのなら御免だ。サイ・ヤング賞を獲るのは確かに偉業だ。話題にもなるだろう。だが、そのために打率が2割にまで落ちるなら、それは納得ができない」

 投手としてマウンド上での内容に重きをおくことで、打撃がおろそかになっていないか――。そう指摘するレジェンドは、「もしも、ポール・スキーンズがサイ・ヤング賞を獲って、オオタニが獲れなかったら? 彼が週に2回の登板準備に固執したせいで、打者としての可能性を無駄にした『失敗の年』だったと言われるんじゃないか?」とも吐露。そして、シビアな意見を向けている。

「彼が投手に比重を置くなら、それはマイケル・ジョーダンが『今年は守備に集中する』と言い出したようなものだ。私が言いたいのは、オオタニの良さが減るならサイ・ヤング賞は望まないって話だ。

本人が投手6割、打者4割ぐらいのパワーバランスでやりたいならそれでいい。だが、その結果として『ショウヘイ・オオタニ』という怪物的な選手の出力が下がるなら、私は良くないと思う」

 今年7月に32歳となる。当然ながら加齢とともに身体的な負担は増え、二刀流の継続方法もさまざまに模索する必要はあるだろう。

 今は調整の過程とも言える。そのなかで投打のどちらかが欠けただけで、「それじゃダメだ」と言わんばかりの意見を頂戴するのは、大谷の凄みを物語っているとも言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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