ロシア空軍の最新鋭戦闘機Su-35Sが、2025年6月7日ごろにロシア西部クルスク州方面で撃墜された事案を巡り、ウクライナ軍がミサイルを使い切ったパトリオット防空システムのレーダーを「センサー」として活用し、F-16戦闘機と連携して撃墜した可能性が軍事関係者の間で注目を集めている。ウクライナ、ロシアのいずれも詳細な戦術は公表していないが、ロシア側軍事ブロガーからも同様の分析が相次いでいる。
ウクライナ空軍は6月7日、クルスク方面でロシア軍のSu-35Sを撃墜したと発表し、炎上する残骸の映像も公開した。一方、ロシア側も機体損失そのものは否定しておらず、操縦士が脱出したとの情報が伝えられている。 注目されているのは、その撃墜方法だ。 ロシア側の軍事ブロガーなどによれば、ウクライナ軍は複数のF-16を出撃させ、このうち1機を囮として前線付近に進出させた。迎撃に向かったSu-35Sは、地上に展開していたパトリオットシステムの高性能レーダーに捕捉され、その情報がF-16へ共有されたという。 F-16は自らレーダーを積極的に照射することなく、外部から得た目標情報を基に長射程空対空ミサイル「AIM-120 AMRAAM」を発射し、Su-35Sを撃墜したとの見方が出ている。 仮にこの分析が事実であれば、興味深いのはパトリオットが「撃墜兵器」ではなく、「目」として使われた点だ。 ウクライナは慢性的な迎撃ミサイル不足に直面しており、パトリオットのPAC-2やPAC-3ミサイルは極めて貴重な戦力となっている。そのため、仮に発射弾を使い切った発射部隊であっても、高性能レーダーさえ稼働していれば、防空ネットワークのセンサーとして十分な価値を持つ。 F-16側から見れば、自機レーダーの照射時間を最小限に抑えられるうえ、Su-35S側も自らを追尾しているのが戦闘機なのか地対空ミサイルなのか判別しにくくなる。 Su-35Sは、探知距離400キロ級とされる「イルビスE」レーダーや高性能電子戦装置を備えたロシア空軍屈指の制空戦闘機である。従来はウクライナ空軍機に対して優位に立つ場面も多かったが、地上レーダーとF-16を一体運用する新たな戦術が確立されつつあるとすれば、ロシア空軍にとって新たな脅威となる可能性がある。
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