北朝鮮の「経済成長」を伝える報道が相次いでいる。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、平壌で建設や消費が活発になり、オメガやシャネルなどの高級品、さらにはIKEA製品まで売られていると報じた。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)も北朝鮮を「世界で最も驚くべき経済的成功物語」として取り上げた。ブルームバーグ・エコノミクスは、2022~25年に北朝鮮が海外から得た収入を最大220億ドルと推計している。

韓国銀行によれば、北朝鮮の実質国内総生産(GDP)は2025年まで3年連続で3%を超えて成長した。ロシアへの兵器輸出や派兵、中国との貿易、サイバー攻撃による暗号資産窃取などで巨額の外貨が流れ込み、一部の人々が実際に豊かになっている可能性は高い。

しかし、そこには奇妙な循環構造がある。

核・ミサイル開発を続ける北朝鮮には厳しい経済制裁が科されている。米国の制裁や二次制裁を恐れる普通の外国企業は投資しない。平壌でIKEA製品が売られていても、IKEAそのものが進出しているわけではない。

そこで北朝鮮は中国とロシアへの依存を深める。とりわけウクライナ戦争後は、ロシアが北朝鮮の兵器や兵力を必要としたことで、軍需産業や国家間取引が成長の大きな原動力となった。中国向けの資源輸出も外貨をもたらす。

だが、こうした成長は外国企業の直接投資によって工場が増え、技術が移転され、雇用と所得が社会全体へ広がる通常の新興国型成長とは違う。

外貨を稼ぐ主体も、それを配分する主体も国家である。

その結果、軍需や対露貿易、サイバー攻撃など政権が重視する部門には資金と人材が集中し、国家の経済統制力はむしろ強くなる。そして潤沢になった資金は、住宅や地方工場だけでなく核・ミサイルや通常戦力の増強にも投入できる。

核開発が続けば制裁も続く。制裁が続けば普通の外国企業は来ず、中ロと国家主導部門への依存がさらに深まる――。独裁体制が主導する経済成長そのものが、北朝鮮を制裁から抜け出しにくい経済構造へと、さらに深く組み込んでいるように見える。

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