北朝鮮の金正恩総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党総務部長の”口撃”が止まらない。同氏は8月、相次いで発表した談話の中で、韓国の李在明大統領を名指しして激しく嘲笑。

さらに日本に対しては、先制核攻撃の示唆さえためらわなかった。

振り返れば、朝鮮半島情勢が緊張緩和に向かっていた2018年頃、彼女は「対話の担い手」と見られていた。それが「コワモテ」に転じたのは2019年の米朝首脳会談の決裂、そして2020年、韓国の脱北者団体による対北ビラ散布が活発化したことなどがきっかけだったと見られる。

金与正氏をはじめ北朝鮮の指導部が対北ビラを敵視するのは、そこに体制を揺さぶる様々な内容が書かれていたからだ。

脱北者団体・自由北韓運動連合が北に向けて飛ばしたビラは、金正恩氏には異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏がおり、同氏は「浮気者の金正日」が既婚者であるソン・ヘリム氏と不倫関係となって生まれたと説明。金正恩氏の母で日本生まれの高ヨンヒと金正日氏も正式な夫婦ではなく「不倫関係」だったとしている。

金正恩体制は、国父である金日成(キム・イルソン)主席の正統な継承者であることを前提に成り立ってきた。父・金正日総書記を経て血筋を継承していることは事実だとしても、上述したような事実は聞くに堪えない「雑音」なのだ。

しかし、韓国や日本のような自由主義社会は、そのようは情報発信を本質的に取り締まることはできない。金与正氏は、過去の対話、そしてその失敗の過程でそうした現実を学習し、接近するより敵対関係を維持する方が得策と判断したのかもしれない。

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