「月9から恋愛ドラマが消えた」と言われるようになってから、およそ10年。今や月9に限らずドラマ界全体で王道の恋愛作品は減少傾向にある。
2026年夏ドラマのラインナップを見渡しても、並ぶのはサスペンスや復讐劇、社会派作品ばかり。恋愛ドラマが減ったと言われる背景には、一体どのような変化があったのか……。

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かつての恋愛ドラマといえば、テレビドラマを代表する人気ジャンルだった。とりわけ1990年代は"黄金期"と呼ぶにふさわしく、『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』『ロングバケーション』といった月9の名作が次々に誕生し、"月曜日の夜は街からOLが消える" とまで言われていた。

まさに"テレビ界の花形"だった恋愛ドラマは、2000年代に入っても根強い人気を見せる。多くの人が『オレンジデイズ』でキャンパスライフに憧れ、『花より男子』で「道明寺派か、花沢類派か」を語り合い、『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~』では山下智久北川景子の恋模様に胸をときめかせた。もはや恋愛ドラマは、その時代の若者文化の中心にあったといっても過言ではないだろう。

ところが現在、その勢いは見る影もない。もちろん恋愛ドラマそのものが完全に消滅したわけではないが、今は月9枠で恋愛ドラマが放送されると、「久々の復活!」とニュースになる時代。また月9に限らず、民放各局のドラマ枠を見渡しても、純粋な男女の恋愛を主軸に据えた作品はすっかり少数派となっている。

その理由としてよく挙げられるのが、若者のテレビ離れだ。かつて恋愛ドラマの主要な視聴者だった若年層はテレビから離れ、NetflixやYouTube、TikTokなど多様な娯楽に時間を使うようになった。
テレビ局側も、限られた視聴者層に向けた青春恋愛ドラマより、幅広い世代に訴求できる医療ドラマやサスペンス、お仕事ドラマを優先する傾向が強まっている。

さらに最近では、元TOKIO松岡昌宏の恋愛ドラマにまつわる鋭い指摘も大きな話題になった。注目を集めたのは、6月17日に配信されたYouTube動画での発言。松岡は「恋愛ドラマが面白くなくなったのは、ぜんぶ携帯電話」が原因と持論を展開し、その理由として、かつて恋愛ドラマの定番だった"すれ違い"が生まれにくくなったことを挙げていた。

極端な話、ひと昔前ならドラマになるような行き違いも、今ではスマートフォンひとつで解決してしまう。恋愛ドラマを取り巻く環境が変化していることを示す興味深い指摘といえるだろう。

もっとも近年は、視聴者が恋愛ドラマに求めるもの自体も大きく変化しているように思える。

かつての恋愛ドラマは、「恋の行方」が最大の見どころだった。『花より男子』では、主人公の牧野つくし(井上真央)が道明寺司(松本潤)と花沢類(小栗旬)のどちらを選ぶか、『オレンジデイズ』では結城櫂(妻夫木聡)と萩尾沙絵(柴咲コウ)の関係がどのような結末を迎えるのかが物語の軸となる。視聴者はそんな恋の行方に一喜一憂しながら、毎週の放送を楽しんでいたのだ。

一方、近年のドラマは少し様子が違う。物語に恋愛要素こそ盛り込まれているものの、中心にあるのは仕事や人生、価値観といったテーマ。
「恋愛」を主軸とした作品から、「人生の一要素として恋愛を描く作品」へと変化しているように思える。

例えば2026年夏ドラマの中で最も恋愛色が強いのは、内田有紀×寺西拓人主演の木曜劇場『ラストノート』(フジテレビ系)だろう。本作は"年の差恋愛"を描いた作品だが、物語の焦点は単純な恋の成就だけではない。

年齢差ゆえの価値観の違いや将来への不安、周囲との関係など、現実的な問題とも向き合っていく内容となっている。かつての恋愛ドラマが「恋の行方を追いかける物語」だったとすれば、『ラストノート』は恋愛そのものよりも、その先にある人生や価値観の問題に目を向けた作品といえそうだ。

現在の恋愛ドラマでは、付き合うまでのときめきだけでなく、ジェンダー観や結婚観、仕事との両立といった現実的な問題も求められるようになっている。こうした傾向は、"逃げ恥"ブームを巻き起こした『逃げるは恥だが役に立つ』のヒット以降、特に強まった印象だ。

そのぶん描くべきテーマは増え、作品に求められるリアリティの水準も上がった。それは裏を返せば、制作の難易度が上がっているとも言えるだろう。

かつてのトレンディドラマのような"恋愛一直線"の作品が減った背景には、若者のテレビ離れだけでなく、こうした事情も大きく関係しているのかもしれない。

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