「曲やアーティストと関係ないのに、カラオケの映像に映っている美少女は誰なのか?」というXでの投稿がバズり、その映っている本人である俳優・田中梨瑚のところまで届いた。子役から芸能界にいて舞台や短い映像作品にも出演してきた23歳で、プロの役者でもある田中。
Xで時の人になった彼女に、カラオケの映像という意外な仕事の舞台裏や、これまでの人生を聞いた。(前後編の前編)

【写真】カラオケ映像でバズった俳優・田中梨瑚の撮り下ろし【10点】

――まさかの「カラオケの背景映像」からのバズが発生しました。その時のことは覚えていますか?

田中 フォロワーが激増しましたね。元のポストがバズっただけではまだ『誰?』だったところに、私のファンがリプライで名前とかも教えてくれて、どんどんバズりが大きくなって。通知がひっきりなしに来るので最初は『私何かした?』とびっくりだったんですが、皆さんの親切のおかげで輪が広がって私のところにも届いたので、ほっこりしました。

――そもそも、カラオケの映像に出たきっかけは?

田中 2年ほど前に、以前別の仕事でお世話になっていたキャスティング会社のプロデューサーさんが、『この案件、田中梨瑚がいいんじゃないか』と推薦してくださったのがきっかけでした。それでJOYSOUNDさんからオファーをいただいて。私もそんな仕事があると初めて知ったんですが、『あの映像に出られるって面白そう』と、すぐお受けしました。

――ご自身も知らなくて、そこから継続して、JOYSOUNDの映像に出演されるようになったと。

田中 実際に撮影に行ってみたら、現場の監督さんやディレクターさんが私のお芝居を気に入ってくださって。そこから一昨年に1回、去年に2回と、計3回ほど撮影に呼んでいただきました。だから映像も少しずつ追加されています。


――ちなみに、台本やセリフはあるんでしょうか?

田中 台本は全くないです。現場に行くと『ここで撮りましょう』となんとなくの場所が決まって、『悲しい恋愛系』とか『ハッピー』とか、大まかなお題をいただいて演じます。例えば『悲しい』というお題なら、スタッフさんがスピーカーで失恋ソングを流してくれて、私は自分の中で物語を作っていきます。架空の相手を想って遠くを眺めたり、悲しそうな表情を作ったりします。ほかにもアーティストさんのMVの映像に出たこともあったので、その時の感覚をベースにやってみたら楽しかったです。

――そういう短いお芝居で心がけていることは?

田中 セリフがない分、表情や体の動きだけで全てを伝えないといけないです。自分の意図した表現がちゃんと映像として成り立っているか、伝わっているかが一番大切なので、言葉に頼れない緊張感があります。

――現場ではどんなことを評価されますか。

田中 監督さんにはよく「OKが異常に早い」って驚かれます(笑)。自分でいうのも恥ずかしいんですが、だから即興のお芝居は得意だし、信頼されているのかなと思います。困ったことはないですね。

――どの曲を歌うと田中さんの映像が流れるか、決まっているのでしょうか。


田中 映像は複数ありますから、例えば西野カナさんのようなハッピーな曲なら『恋愛・ハッピー編』が、back numberさんのような切ない曲なら『悲しい編』で私の映像が流れるという仕組みらしいんですが、実際にはかなりランダムらしくて。だからハロプロさんの曲でも流れたし、何を入れたら確実に出るのかむしろ教えてほしいくらいです(笑)。だからファンの方が、私の映像が出るまで歌う『梨瑚ちゃんチャレンジ』をしてくれたりしています。

――ちなみに田中さんがカラオケに行って、ご自分の映像が出てきたことは?

田中 一度だけあります。友達と行ったときに私の映像が流れて、友達はこの仕事を知っていたので『出た!』って盛り上がったんですが、私は恥ずかしかったです(笑)。それ以来、JOYSOUNDに行くとドキドキしちゃいますね。

――突然出てくると、恥ずかしいものなんですね。

田中:舞台やドラマの映像は普通に見られますね。どこか『別人』を見ているような、もっと言えば自分という俳優を監督しているような感覚で、客観的にダメ出しをしながら見ることができています。

――ただ、こういう短い映像って、AIに代替されそうなジャンルにも思えますが……。

田中 確かに!でも繰り返し呼んでいただいているので、まだ私の方が勝っていると思います。人間にしか出せない味も追求していかないといけないですね。


――そして田中さんといえば、ほかにもミュージカルや2.5次元舞台、小劇場にもたくさん出演しています。カラオケの映像とまたイメージも違ってきますが、ご自身を分析すると?

田中 女の子らしさは全然なくて、むしろ『おじさんっぽい』って言われます(笑)。高校時代も、普通に過ごしているつもりだったんですが、女子からの人気の方があったかも。当時からTikTokをやっていたんですが、動画を見て『梨瑚マジ可愛い!』とか女子の方からストレートに言ってくれるのでうれしかったです(笑)。女子にモテていたのかな。

――アー写と今日の印象もちょっと違いますし、声もクールというか、ハスキーで低い声ですね。

田中 でもこの声が好きではなかった時期もありましたね。ずっとこの低い声で、周りの女子のような、可愛らしい声に憧れていました。声優やナレーターの仕事もいただいてはいましたが、『私の声ってそんなにいいのかな?』と自信は持てずにいました。

――いつ頃から、その意識が変わったのでしょうか。

田中 舞台にたくさん出るようになったら、演出家さんや共演者の皆さんが、会うなり私の声を褒めてくれるようになって。『セリフに深みが増して、説得力が出てくる』とか『お芝居に深みが出る』って。
歌でも独特の味が出るって評価してもらえて、自信がついてきました。

――今年は今後、舞台「『ダンダダン』~Occultic Stage~」への出演も控えています。そんな俳優業で大切にしていることは?

田中 ナチュラルなお芝居が一番かなと思います。お客様に違和感なく作品の世界に入ってもらいたいので、息遣いや会話のテンポもリアルさというか、日常と違和感ない表現にしています。でも2.5次元ではキャラクターもリスペクトしますし、思い切り楽しんでいきます。アドリブやユーモアも得意なので、いろんな役に応えていきたいですね。

【プロフィール】
田中梨瑚 たなか・りこ 2003年2月27日、東京都生まれ。6歳から芸能活動を始める。CM・ドラマ・映画・舞台など幅広く出演し、フジテレビ「爆笑!ヒットパレード」、テレビ朝日「仮面ライダーガヴ」、ミュージカル「美少女戦士セーラームーン かぐや姫の恋人」などに出演。今年は8~9月に上演の舞台「『ダンダダン』~Occultic Stage~」にアイラ役で出演する。
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【後編】カラオケ映像で大バズ・田中梨瑚、モットーは“自信と謙遜”「誰かに見つけてもらって続いてきた」
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