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30代の女性3人が東京で奮闘する姿を描いた作品といえば、2017年に放送された吉高由里子主演『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)を思い浮かべる人が多いだろう。鎌田倫子(吉高由里子)、山川香(榮倉奈々)、鳥居小雪(大島優子)の3人が「~したら」「~すれば」と後悔を繰り返しながら奮闘するヒューマンドラマである。
先行き不透明な中で奮闘する倫子の姿や、「20歳の頃は、30歳すぎた自分に彼氏すらいないなんて思ってなかった」という倫子の台詞に多くの女性視聴者が共感した。
また、KEY(坂口健太郎)の言葉も視聴者に何度も大きなインパクトを与えた。特に「女子でもないのに女子会だの、現れてもいないのにいい男と結婚だの、なんの根拠もないタラレバ話でよくそんなに盛り上がれますね」という台詞は、多くの視聴者の胸に深く刺さった。
放送当時はコロナ禍前であり、物価も安定しており、今と比べれば夢や希望もあり、KEYの厳しい言葉も笑って受け止められるゆとりがあったと思う。
一方、現在放送中の『Tokyo middle 30』は、佐倉麻紀(仲里依紗)、山地遥(のん)、永野薫子(深川麻衣)の3人を中心に物語が展開する。
高校生の頃は、スターを獲得したスーパーマリオのマリオのように無敵だと思い、大きな夢を抱いていた彼女たち。35歳になった今、それぞれが現実と向き合っている。
美容外科医の夫と結婚し、経済的な不安はない麻紀であるが、息子の発達障害の疑いや、専業主婦であり続けることに悩んでいる。
しかし一方で、3人の姿を見て「現実がつらいのに、ドラマでも直視させられるのはしんどい」といった声もある。また、3人とも経済基盤があることから、「非正規雇用で彼氏もいない自分には関係ない話だった」と受け止める視聴者も見られた。
かつて東京を舞台にしたドラマは、ロマンチックな作品が主流だった。1990年代初頭に放送された『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)や『やまとなでしこ』(フジテレビ系)は、その代表格である。東京の煌びやかなスポットや東京タワー周辺で、男女が思いを通わせる場面は、今なおドラマ史に残る名シーンだ。
しかし、令和の東京を舞台にした作品では、夢や恋愛だけでなく、生活の厳しさに焦点を当てたものが目立つ。また、『やまとなでしこ』のように、ヒロインのファッションが社会現象になるケースもほとんど見られなくなった。
『東京タラレバ娘』から『Tokyo middle 30』までの約10年間には、東京で暮らす女性の苦境を社会に訴えるような作品がいくつも制作された。
特に、『燕は戻ってこない』で大石理紀(石橋静河)と河辺照代(伊藤万理華)がコンビニで「サラダよりも炭水化物の方がコスパがよい」とカップラーメンを選ぶ場面は、SNSでも大きな反響を呼んだ。
また、地上波で再放送中の『団地のふたり』(NHK BSほか)や、8月にスペシャル版放送を控える『しあわせは食べて寝て待て』(NHK総合ほか)も、東京の片隅で悩みを抱えながら、マイペースに生きる女性を描いた作品だ。どちらもテーマは「持病」「定職なし」といった重めのテーマを扱いながら、温かみのある雰囲気で、観る者の心を和ませてくれる。
社会に疲弊している人が多いからなのか、自分らしい幸せを見つけ穏やかに生きる主人公や、ほっとできる世界観をもつ作品が近年は支持される傾向にある。
そうした中、東京の夜景から始まり、35歳のシビアな現実を真正面から描いた『Tokyo middle 30』は今後、視聴者の心をつかんでいけるだろうか。
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