元フジテレビで現在はフリーの渡邊渚アナが9月2日、自身のInstagramを更新。自身や仕事関係者に対する悪質な誹謗中傷、虚偽情報の拡散などについて、発信者情報開示請求をはじめとする法的措置を進めていることを明かした。


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かつて芸能人への中傷は「有名税」のひと言で片付けられることも少なくなかった。だが近年は、タレント本人だけでなく芸能事務所も「黙って耐える」ことをやめ、民事・刑事の両面で責任を追及する姿勢を鮮明にしている。

渡邊アナは投稿で、これまでの書き込みについて「馬鹿馬鹿しいので相手にしていませんでした」としたうえで、事実に基づかない内容を事実のように書くことや、憶測で作り上げた話の拡散、自身の文章を切り取って本来の意図と異なる形で広める行為が続いていると説明。さらに仕事関係者への暴言、脅迫、業務妨害も続いているとし、「存在しない事実を作り、貶める行為は許せません」と訴えた。

その一方で、「私について何を思うか、好き嫌いは、それぞれの自由です」「批判的な意見を持つことまでやめてほしいと言っているわけではありません」とも記しつつ、誹謗中傷や虚偽情報の投稿・拡散、権利侵害などについては「記録・保存を行い、必要に応じて発信者情報開示請求をはじめ、法的措置を行なっています」と公表。「投稿する前に今一度立ち止まり、考えてください」と強く呼びかけた。

渡邊アナはフリー転身後、テレビ業界の体質や性犯罪をめぐる社会問題、ハラスメントなどについて踏み込んだ発言を続け、たびたび議論を呼んできた。発言に反論したり、批評したりする自由は当然ある。しかし、事実ではない話を拡散する、人格を攻撃する、本人や周囲を脅すとなれば話は別だ。今回の声明は、その境界線を示したものともいえる。

こうした毅然とした姿勢は渡邊アナに限らない。大手事務所アミューズは8月、所属アーティストや同社をネット上で誹謗中傷し、有料コンテンツの内容を無断投稿していたアカウントに対して、法的措置を取ったと公表。
BE:FIRSTらが所属するBMSGは2025年7月、所属アーティストへの複数の権利侵害投稿に対して法的措置を実施し、裁判所から発信者情報の開示命令が出たと発表した。

実際に有罪判決や書類送検に至ったケースもある。堀ちえみのブログに約1万6000件の中傷を投稿した40代の女は、偽計業務妨害罪で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受け、2025年12月に判決が確定した。2021年には、中川翔子をネット掲示板で脅迫・侮辱した疑いで、20代の男が書類送検された。川崎希とその家族をネット掲示板で中傷した女2人も、2020年に侮辱罪の容疑で書類送検された。

また、STARTO ENTERTAINMENTは2024年以降、契約タレントへの中傷に民事・刑事の両面で対応。今年6月には、事実無根の情報が広く流布された事例をめぐって警察の捜査が進み、2025年末に書類送検されたと明らかにした。

では、なぜ誹謗中傷は止まらないのか。

一つのヒントは川崎希のケースにある。川崎は当時、書類送検された女が警察の取り調べに「他の人も書いているし大丈夫だろう、バレないだろうと思った」と話していたと明かしている。匿名掲示板なら身元が分からず、自分は責任を問われないーー。そんな感覚が中傷投稿のハードルを下げた面があったのだろう。
しかし、近年は発信者の特定を求める手続きが法改正で簡略化され、匿名の投稿でも情報開示が以前より容易になっている。

制度も変わっている。2025年4月に情報流通プラットフォーム対処法が施行され、大規模プラットフォーム事業者に削除対応の迅速化などが義務付けられた。今年8月31日には、総務省が「pixiv」「note」「ガールズちゃんねる」「好き嫌い.com」の4サイトの運営者を新たに指定している。

だが、投稿者が「自分は正義」であると思い込み、使命感に駆られて誤った情報を拡散するケースなどもあり、被害は後を絶たない。

2020年には、フジテレビ系『テラスハウス』への出演をめぐってSNSで激しい中傷を受けていた女子プロレスラーの木村花さんが22歳で亡くなった。ネット上の言葉が現実の人間の心に深刻な傷を負わせる以上、もはや「有名税」では済まされない。

もちろん、著名人への論評や好き嫌いの話まで封じられる社会は健全ではないが、うそを事実のように広めたり、相手の名誉を傷つけたり、脅迫したりする行為は許されない。タレントが黙って耐える時代が終わりつつあるなら、投稿する側も「匿名なら何を書いても許される」という時代の終わりを十分に自覚する必要があるだろう。

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