イタリアで開催中の第83回ベネチア国際映画祭(12日まで)で現地時間4日、映画「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」(9月11日公開)の塚本晋也監督、主演のロドニー・ヒックス、ジェフリー・ラッシュがレッドカーペット・ワールドプレミア上映に登場した。

 同映画祭の最高賞である金獅子賞を競うコンペティション部門に選出された同作。

本編上映が終わり、エンドロールが始まると観客からは約8分間のスタンディングオベーションが起こった。温かな拍手に塚本監督とジェフリーは感動の面持ちで観客を見渡し、ロドニーは感激のあまり涙を流した。

 その後の囲み取材で、塚本監督は「企画自体がチャレンジングで、上映までどのようなリアクションがあるのかわかりませんでした。今の世界に必要な映画だという確信はありましたが、加害者の視点から描いた本作がどこまで受け入れてもらえるのか未知数でした。だから今日、実際に上映して、お客様に伝わったという感触を得られたので、本当に良かったなと思います」としみじみ語った。

 今作の制作過程を振り返り、「僕は戦争を止めようというくらいの気持ちでこの映画を作っています。見た方に頭で考えるだけではなく、体で戦争の恐ろしさを感じてもらい、本能的に戦争を拒否するような体感を持ってもらいたいと信じて作っています」。今の世界情勢を踏まえて不安も抱えていたが、「なるべく多くの人に見てもらうことができれば、もしかすると戦争をかなり止められるのではと今日のリアクションを見る限り、感じました」と確かな手応えを口にした。

 観客の反応を受け、ジェフリーは「本作には、問いかけるシーンが非常に多く入っている。それは映画の中での質問であると同時に、見ている人たちにも疑問を投げかける問いになっていた」とコメント。「今日の観客の反応を見て、“なぜ私たちは戦争をするのか”という疑問を多くの人に投げかけることができたと思います」と胸を張った。

 また、ロドニーは「ある種の観客に対して、種まきができたのだと思う。

これからどのような形で水をあげていけば、何かが芽を出すかもしれない」と期待を寄せた。

 今作は、ベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソン氏が、自らの戦争体験と帰還後の葛藤を描いたノンフィクション。ネルソン氏は自身の体験をもとに日本全国で1200回以上の講演を行い、戦争を語り続けてきた。塚本監督は同映画祭の常連で、今回で8回目の選出。同部門は4回目の出品で、現地時間12日に授賞式が行われる。

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