スイスの独立系時計ブランド「ノルケイン」は、スイス・ジュネーブで開催された時計の祭典「Watches and Wonders 2026」で発表した新作を日本国内で初披露。創業者兼CEOのベン・カッファー氏が4年ぶりに来日し、副社長のトビアス・カッファー氏とともに、新作モデルとブランド戦略について語った。


2018年創業のノルケインは、「挑戦」「冒険」「自由」をブランドのコアバリューに掲げる独立系スイスブランドだ。創業から約8年で世界61カ国375店舗まで展開を広げ、現在は「インデペンデンス」「アドベンチャー」「フリーダム」という3つのコレクションにて“機械式スポーツウォッチ”を展開している。

会場では、2026年の新作として「Wild ONE Skeleton Chrono」「Wild ONE Skeleton X-Lite」「Freedom Chrono Enjoy Life“Sprinkles”」を披露。ベン・カッファー氏は、「単なる仕様変更ではなく、ゼロから新しい価値を作ることを重視している」と語り、軽量素材や新型ムーブメントを投入した2026年モデルを、次のフェーズを見据えた新作群として披露した。
45gを実現した「WILD ONE SKELETON X-LITE LIMITED EDITION」

強いインパクトを放っていた新作が「WILD ONE SKELETON X-LITE LIMITED EDITION」だ。

ケースとストラップを含めた総重量は約45g。ノルケイン史上最軽量モデルとなる。軽量化のため、ケース構造にはブラックのNORTEQ(ノルテック:ノルケインが開発した素材)、チタン、アルミニウムに加え、新素材「X-Lite」を投入。ムーブメントを支えるケーシングリング部分へ新素材を組み込み、従来モデル以上の軽さと耐衝撃性を実現した。

ベン・カッファー氏は、「500万~1億円クラスの時計に匹敵するレベルの軽量性と機能性を、この価格帯で実現したかった」と説明。開発では“軽いだけ”にならないことを重視し、ワイルドワンらしい装着感や剛性感を維持するため、ケース構造そのものをゼロから見直したという。

ケース厚は11.95mm。
5,000Gを超える耐衝撃性能と100m防水を確保しながら、装着時には重量感をほとんど感じさせない。ブラックを基調としたケースに、イエローのラインやラバーインサートを差し込み、軽量スポーツウォッチらしい機能感をまとっている。

ムーブメントも新開発の「NORQAIN 4K マニュファクチュール・キャリバー」。AMTとの共同開発によるスケルトンムーブメントで、約65時間のパワーリザーブを備える。ムーブメントのブリッジとローターは山脈を思わせる形状で仕上げられ、スケルトン構造の奥でブリッジと地板が幾重にも重なる。COSC公認クロノメーターだ。

副社長のトビアス・カッファー氏は、「軽量化だけでなく、“着け続けたくなるスポーツウォッチ”として成立させることが重要だった」と話す。ストラップには、パンチング加工を施したラバーの下に伸縮バンドを組み込む独自構造を採用し、フィット感を高めている。

ケース素材:NORTEQ、チタン、アルミニウム、X-Lite
ケースサイズ:径41mm×厚さ11.95mm
風防:サファイアガラス(両面無反射コーティング)
ストラップ:ラバーストラップ+ストレッチバンド
防水性能:100m防水
ムーブメント:NORQAIN 4K マニュファクチュール・キャリバー(自動巻き)
パワーリザーブ:約65時間
重量:約45g
限定数:世界限定200本(日本25本)
価格:198万円

――次ページ:シリーズ初のクロノグラフモデルが登場


フライバック機構を搭載した「WILD ONE SKELETON CHRONO」

「WILD ONE SKELETON CHRONO」は、ワイルドワンシリーズ初となるクロノグラフモデルで、ノルケイン8K マニュファクチュール・キャリバーを搭載(COSC公認クロノメーター)。4時位置のプッシャーを押すだけでクロノグラフのリセットと再スタートを同時に行うフライバック機構を備える。

ブラックケース×ターコイズ(140万8,000円)、バーガンディ×ブラック(世界限定400本、143万円))、18Kレッドゴールド仕様(世界限定75本、363万円)のバリエーションを用意。特にターコイズモデルは、ブラックケースの中で鮮やかなブルーグリーンが浮かび上がり、スポーツウォッチらしい軽快さを感じさせる。


大きな特徴は、サブダイヤルの表示方法だ。一般的なクロノグラフのような小針ではなく、極薄の透明ディスクを採用。スモールセコンドと積算計が宙に浮くように回転し、その奥にスケルトンムーブメントが広がる。

トビアス・カッファー氏は「透明ディスクによって、スケルトン構造を遮らずにクロノグラフ表示を成立させたかった」とし、ディスクにはポリカーボネートとサファイアを組み合わせた新素材を採用して軽量性と精度を両立したという。

ケースは25以上のコンポーネントによって構成され、NORTEQ製ケージとラバー製ショックアブソーバーを組み合わせた構造。5,000G耐衝撃性能を確保しながら、42mmケースへ大型クロノグラフムーブメントを収めている。

ベン・カッファー氏は「クロノグラフはスポーツウォッチの象徴的存在。限界に挑み続けるアスリートのためのハイパフォーマンスウォッチとして開発した」と語る。

ケース素材:NORTEQ、チタン
ケースサイズ:径42mm×厚さ13.6mm
風防:サファイアガラス(両面無反射コーティング)
ストラップ:ラバーストラップ
防水性能:100m防水
ムーブメント:NORQAIN 8K マニュファクチュール・キャリバー(自動巻きフライバッククロノグラフ)
パワーリザーブ:約62時間

――次ページ:ソフトクリームの上のスプリンクルがテーマの遊び心あふれる1本も


“人生を楽しむ”を形にした「FREEDOM CHRONO ENJOY LIFE “SPRINKLES”」

2025年に大きな話題となった「Enjoy Life」シリーズも継続。新作の「Freedom Chrono Enjoy Life “Sprinkles”」は、ソフトクリームに振りかけるカラフルなスプリンクルから着想を得たモデルだ。

ベースとなるのは「Freedom 60 Chrono」。40mmステンレスケースに、“ストロベリー”と“ブルーラズベリー”の2色を展開する。
ダイヤル全体にはカラフルな粒子が散りばめられ、暗所ではスーパールミノバ(蓄光塗料)によって青く発光する。

日付表示もユニークだ。週に1度、4時と5時位置の間にソフトクリームのモチーフが現れる。

ベン・カッファー氏は「世界にはネガティブなニュースも多いが、“Enjoy Life”は人生を楽しむことを思い出させるシリーズ」と微笑む。2025年の“アイスクリーム”モデルは世界的に高い人気を集め、1カ月で1,400本以上のオーダーが入ったという(現在は生産終了)。

今回の“Sprinkles”は、その世界観をさらに押し広げたモデルだ。ホワイトラバーストラップには発光するスプリンクル装飾を施し、クロノグラフのスポーティさと遊び心を組み合わせている。

搭載ムーブメントは自動巻きクロノグラフ「NORQAIN Calibre N19」。約62時間のパワーリザーブを備え、100m防水にも対応する。

ケース素材:316Lステンレススチール
ケースサイズ:径40mm×厚さ14.9mm
風防:ボックス型サファイアガラス(両面無反射コーティング)
ストラップ:ステンレスブレスレット/ホワイトラバーストラップ
防水性能:100m防水
ムーブメント:NORQAIN Calibre N19(自動巻きクロノグラフ)
パワーリザーブ:約62時間
価格:89万1,000円

――次ページ:創業10周年を目前にノルケインが目指すブランド像は?


“機械式スポーツウォッチの専門ブランド”としての10周年へ

プレスカンファレンスでは、新作だけでなく、ノルケインのブランド戦略についても語られた。

2027年に創業10周年を迎えるノルケイン。その節目に向け、ブランドの方向性をより明確にしていく。
現在展開する「インデペンデンス」「アドベンチャー」「フリーダム」の3コレクションを維持しつつ、それぞれに革新的な“ONE”レーベルを展開していくという。

ノルケインが掲げる「Swiss Mechanical Sports Watch Specialist(スイス メカニカル スポーツウォッチ スペシャリスト)」とは、単に高級時計を作るブランドではなく、“機械式スポーツウォッチ”という領域へ特化する姿勢を示す。

ベン・カッファー氏は、ブランドの強みを「軽量」「耐衝撃」「高性能素材」「スポーツ性能」に置いているとして、NORTEQやX-Liteといった独自素材の開発、5000G耐衝撃構造、スポーツ用途を意識したケース設計などを通じて、スポーツウォッチ分野で独自性を高めていく考えを語った。また、アンバサダーにもアスリートを積極的に起用し、“挑戦”や“冒険”というブランドメッセージを共有しながら、機械式スポーツウォッチ専門ブランドとしての立ち位置を強めていく方針を示した。

実際、新素材「X-Lite」はスイスの素材企業BIWIとの共同開発によって誕生したもの。NORTEQも含め、素材開発そのものをブランドの強みに育てている。ムーブメントについてもAMTやケニッシーとの協業を進め、将来的には複雑機構の開発も視野に入れているという。

また、ノルケインのブランドアンバサダーは、株主として経営に参加している点も特筆したいところ。スタン・ワウリンカ(スイスの男子プロテニス選手)やジャンルイジ・ブッフォン(元イタリア代表のサッカー選手)ら世界的アスリートと長期的な関係を築きながら、“挑戦”というブランドメッセージを共有している。

創業から約8年、ノルケインは独立系ブランドとして急速に知名度を広げてきた。2026年の新作群からは、各所に見られる“新しいチャレンジ”を通して、「軽量」「耐衝撃」「スポーツ性能」という明確なブランドの推進力を感じた。
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