ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)は、イタリア・シチリア島のタオルミーナにて、アルタ サルトリア コレクションを発表しました。会場となったのは、2000年以上の歴史を持つタオルミーナ古代劇場。
地中海を望む断崖の上に建ち、遠くにはエトナ山を望むこの場所は、シチリアの歴史と自然が交差する象徴的な舞台です。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオ...の画像はこちら >>
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

前日にラディチェプーラ植物園で発表されたアルタ モーダが、花々や果実、陶芸や磁器を通してシチリアの自然と工芸を描いたのに対し、アルタ サルトリアが見つめたのは、島に刻まれた歴史そのものでした。

古代劇場。バロック建築。宗教芸術。海と火山。シチリアという土地が積み重ねてきた時間を、メンズクチュールとして描き出すこと。それが今回のアルタ サルトリアのテーマでした。

タオルミーナ古代劇場から始まる物語
紀元前3世紀に起源を持つタオルミーナ古代劇場は、ギリシャ、ローマ、そしてシチリアの歴史が重なる場所です。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

かつて演劇や祭典の舞台となったこの劇場は、現在も地中海世界を象徴する文化遺産として知られています。ドルチェ&ガッバーナは、その場所性そのものをコレクションへ取り込みました。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

石造りの遺構。
海へと続く青い水平線。煙をたなびかせるエトナ山。そこに広がる風景は単なる背景ではありません。アルタ サルトリアにおいて、それらは刺繍や素材、色彩へと変換される創作の源となっています。

風景を刺繍で描く
今回のコレクションを象徴するのが、ニードルペインティングによる手刺繍です。異なる色や太さの糸を幾重にも重ねることで、絵画のような奥行きと陰影を生み出す高度な技法です。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

タオルミーナ古代劇場の石壁。地中海の青。エトナ山の雄大な姿。それらが一針一針の積み重ねによって、ジャケットやコートの上に描き出されます。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

ここで表現されているのは風景画ではありません。土地の記憶そのものです。
シチリアの空気や光、そして長い時間の流れが、刺繍という最も伝統的な手仕事によって服へと刻み込まれています。

シチリア・バロックの華麗さ
コレクションのもうひとつの柱となったのが、シチリア・バロックです。17~18世紀に発展したシチリア・バロックは、劇的な装飾性と宗教的な荘厳さを特徴としています。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

金箔に彩られた教会。豪奢な祭壇。聖人像を囲む光。そうした宗教芸術の美学が、メタリックな刺繍や煌めく装飾として服の中に現れます。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

特に印象的なのは、光を受けるたびに表情を変えるゴールド刺繍です。それは単なる装飾ではなく、シチリアの宗教文化が育んできた精神性を可視化する表現として機能しています。

黒と白が語る静かな儀式
一方で、今回のアルタ サルトリアは華やかさだけを描いているわけではありません。白い刺繍。カントゥレース。
深いブラック。対照的な色彩によって構成されたルックも数多く登場しました。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

そこに込められているのは、代々受け継がれてきたシチリアの暮らしへの眼差しです。祭りや宗教行列。家族の集まり。日々繰り返される営み。そうした静かな儀式が、テクスチャーの豊かな素材や繊細な手仕事によって表現されています。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

アルタ モーダが庭園に咲く生命力を描いたのだとすれば、アルタ サルトリアは人々の記憶や営みを描いたコレクションだったと言えるかもしれません。

ファット・ア・マーノという美学
アルタ モーダと同様に、アルタ サルトリアを支える核となるのが「ファット・ア・マーノ(Fatto a Mano)」です。イタリア語で「手仕事によるもの」を意味するこの言葉は、ドルチェ&ガッバーナのクラフツマンシップを象徴しています。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

精密な刺繍。繊細なレース。
立体的なテクスチャー。それらはすべて、職人たちの膨大な時間と経験によって生み出されています。アルタ サルトリアが描いているのは、単なるラグジュアリーではありません。手によって受け継がれてきた文化そのものです。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

シチリアという原風景
今回タオルミーナで発表されたアルタ ジョイエッレリア、アルタ モーダ、アルタ サルトリアは、それぞれ異なる角度からシチリアを見つめています。

アルタ ジョイエッレリアは宗教芸術と金細工。アルタ モーダは自然と工芸。アルタ サルトリアは歴史と文化。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

しかし、その根底に流れているものは共通しています。それは、シチリアという土地への深い愛情です。ドルチェ&ガッバーナにとってシチリアは、インスピレーションの源であるだけではありません。ブランドのアイデンティティそのものを形成する原風景なのです。


ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

海を望む古代劇場。エトナ山の存在感。バロック建築の輝き。人々が守り続けてきた手仕事。

アルタ サルトリアが提示したのは、それらを再現することではありませんでした。シチリアという土地に流れる歴史や記憶を、クチュールとして結晶化すること。それは、服を通して描かれたひとつの壮大な肖像画だったのです。

ドルチェ&ガッバーナ アルタ サルトリア 2026── タオルミーナの風景を纏う、シチリアという肖像
Photo by Marco Pionato / Alex Dobè ©DOLCE&GABBANA

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