レビュー
あなたはこれまで、「仕事はできるのに、一緒に働くのはつらい人」に出会ったことはないだろうか。高い成果を出しているからこそ誰も何も言えず、チームの空気は悪化し、優秀な人から辞めていく――。
能力は高い一方で周囲に悪影響を及ぼす人々を、ビジネスの最前線では「ブリリアント・ジャーク」(Brilliant Jerk)と呼ぶ。本書によれば、Netflix社は「ブリリアント・ジャークを許容しない」と明言しているそうだ。どれほど優秀でも、チームワークを損なうコストのほうがはるかに大きいからである。
本書は、「ブリリアント・ジャーク」という存在を、個人の性格ではなく組織の問題として読み解いていく。著者は、組織変革や働き方改革を500以上の企業で支援してきた沢渡あまね氏と、組織・人事領域の調査研究を専門とする伊達洋駆氏。現場で培った実践知と研究知見を掛け合わせながら、ブリリアント・ジャークを多面的に分析し、改善策まで提示している。
特に印象に残ったのは、「優秀だが有害な人を放置すること」が組織にもたらす大きな損失だ。心理的安全性や情動伝染、認知リソースといった研究知見を交えながら、一人のリーダーがチーム全体を静かに蝕んでいく構造を丁寧に解き明かしており、背筋が凍るようだった。
チームで働くすべての人はもちろん、管理職や経営層にもぜひ読んでほしい一冊である。人との接し方を見直すきっかけになるだけでなく、より健全なチームづくりを考えるための確かな土台となるはずだ。
本書の要点
・仕事はできるが周囲を疲弊させる「ブリリアント・ジャーク」は、チームの心理的安全性を壊し、組織に大きな損失をもたらす。約6万人を対象とした調査では、ブリリアント・ジャークが組織にもたらす損失は、生産性上位1%の人材が生み出す利益の2倍以上という結果だった。
・ブリリアント・ジャークは個人ではなく組織の問題である。組織サーベイで兆候を可視化し、評価制度や育成、コーチングなどを通じて、発生を防ぐ仕組みを整えることが重要だ。
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