【その日その瞬間】


 由美かおる(女優・歌手/75歳)


  ◇  ◇  ◇


「小春日和~Indian Summer~」で48年ぶりの映画出演が話題の由美かおるさん。人生が変わった瞬間は15歳で「11PM」に抜擢されたこと。

時代劇「水戸黄門」での入浴シーンが注目されたきっかけについても語ってくれた。


 子供の時に生まれ故郷の京都から兵庫県の川西市に移りましたが、戦後のベビーブーム時代で両親は朝早くから一生懸命働いて、3人の子供たちのために頑張っていました。私は3歳からバレエを、その後ピアノ、さらに兄と一緒にそろばんといろいろ習わせてもらいました。


 近くには宝塚ファミリーランドがあり、植物園や動物園、そして宝塚歌劇や温泉もあり、家族で遊びに行っていたのもいい思い出です。


 ある時、梅花学園の友だちが「大阪にあるバレエに一緒に行かない?」と誘ってくれたんです。そこが西野バレエ団。入団すると金井克子さんがいらして、「すてきな踊りだなあ」と感動し、私も「うまくなりたいな」と練習に励みました。


 15歳の時、西野先生に抜擢され、「11PM」でドリス・デイの「Teacher's pet(先生のお気に入り)」の歌と踊りでデビューしました。


■オファー・問い合わせが殺到。裕次郎さんからも「ぜひ映画共演を」と


 それがテレビで流れた瞬間、テレビ局に電話が殺到してパンク寸前になったんです。そこが最初の大きなターニングポイントですね。視聴者からの問い合わせや仕事のオファーが来て、15歳にして人生が一変しました。


 その時は本名で出ていましたから、急いで芸名をつけることに。本名の由美を名字にして、当時人気の新幹線にあやかって「由美ひかり」「由美こだま」といろいろ候補が挙がりましたが、結局は由美かおるで収まりました。


 局の問い合わせの電話の中にあの石原裕次郎さんからの電話もあったんです。「ぜひ映画の相手役に」と。


 こうなると、15歳の身で上京しなければなりませんよね。ラッキーだったのが、バレエ団の中に帰る方向が一緒で、仲の良かった4つ年上の人がいて、バレエ団の方がその人に「申し訳ないけど、保護者として一緒に東京に行ってくれないか」と言ってくださったんです。その人がバレエ教師を目指していたのに、バレエをやめて一緒に上京してくれたんですよ。本当に感謝しています。


 だから、私は友だちや出会いがラッキーの連続なんです。そもそも西野バレエ団に友だちが誘ってくれなければ、今の私はいないんですから。



■映画「同棲時代」のヌードポスターが盗まれ、社会現象に

 テレビの「ヤング720」の司会などで芸能活動を始め、16歳の時にジュリアーノ・ジェンマさんの取材でイタリアへ。取材後、スタッフの方と食事をしていたら、イタリア人のレコード会社の社長さんが近づいてきて「君、かわいいね。

あなたをイタリアで売り出したい。まずベネチア音楽祭に出てほしい」といきなり言われて。それから日本とローマを行き来しながらイタリア語も勉強してレコーディング。イタリアでデビューしてベネチアでは超ミニスカートをはいて歌いました。「ヨーロッパで売り出したいから永住してほしい」と言われたのですが、お断りさせていただきました。日本でも売り出し中でしたから(笑)。


 裕次郎さんの映画の他にも映画やミュージカルの舞台で大忙しになり、22歳の時に映画「同棲時代-今日子と次郎-」に出演。私のヌードの映画ポスターが盗まれるほどで、「同棲」が社会現象になって。デビュー60周年なので、最近、昔の仕事のリストを作ったのですが、それを見て「こんなにたくさん仕事してたんだ!」と思っちゃいました。


■「水戸黄門」の入浴シーンは204回!ギネスブックに申請中!


 そして「水戸黄門」です。時代劇の最初はテレビ版「座頭市」にゲストでした。次に「江戸を斬る」に出たところ、「水戸黄門」から引き抜かれました(笑)。

「今までにない女忍者のキャラクターなので、自分で動きやすい衣装を考えていいよ」とプロデューサーが言ってくださり、「バレエのタイツをはいて、着物も動きやすいように切って短くして新しい忍者のスタイルにしよう」と考え、私のデザインを東京の洋服屋さんに作ってもらって、あの形が完成しました。足元もブーツにしてファスナーは見えないように作ってもらって。


 オンエアされたら話題になりましたね。今も覚えてますけど、スタジオに私の忍者ソックリの格好した小さい子供を連れたお母さんが見学にいらしたんです。衣装はお母さんが手作りしたらしく、私はすごくうれしかったですね! そこから25年ほどレギュラー出演しました。


 入浴シーンが増えたきっかけはある深夜バラエティーで、「由美かおるの入浴シーンは何時何分か」というクイズが出題されたこと。それを見たプロデューサーが「そんなに話題になっているなら」とひらめき、私に「悪いね、由美ちゃん、頻繁に入ってくれる?」と言ってきました。ヒノキのお風呂や岩風呂などいろんなパターンのお風呂に入り、トータルでは入浴シーンはこれまで204回かな。「一つのドラマでの入浴シーンを204回」をギネスブックに申請しています。ブリジット・バルドーさんでもそんなには入っていないでしょうから(笑)。


 これからの目標はシニアのアイドルになることです。久しぶりに歌も再開して映画の主題歌を出しました。

それから私が長年実践している呼吸法「由美コア・ブリージング」を広めるためにいろんな場所に出かけています。これが楽しくて! 


 健康とプロポーションを保ちたい方には、どなたにでもお伝えしたいですね。


(聞き手=松野大介)


▽本名・西辻由美子(にしつじ・ゆみこ) 1950年11月、京都府生まれ。「夜のバラを消せ」(66年)で映画デビュー。映画「しなの川」「火の鳥」、テレビドラマ「日本沈没」「ゆうひが丘の総理大臣」「水戸黄門」など多数。映画「小春日和~Indian Summer~」が公開中。映画の主題歌「とまり木」(CD)も絶賛発売中。


編集部おすすめ