【ギョーカイ雑記帳】


「他の人も立ち上がろうなんて煽るつもりは全くありません。ただ僕は自分の権利回復を目指しただけ。

そしてそれを裁判所が認めてくれたことは大きい」


 俳優・脚本家の篠山輝信(42)はそう振り返る。


 日本を代表する広告写真家の紀信氏を父に持ち、タレントとして日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」、NHKの「あさイチ」のリポーターなどで活躍。しかし2024年11月に所属事務所のスペースクラフトを退所すると、ほぼ同時に同所に対し、出演料の消費税相当分の支払いを巡り、約500万円の不当利得返還請求訴訟を起こしていた。


 事務所は制作会社に出演料の「本体価格」+「外税」の消費税を上乗せして請求し、実際に支払われる。しかし、タレントのギャラではそれが省かれている。7月2日にあった判決では、裁判所は一部ではあるが不当利得があったことを認め、事務所側に約200万円を支払うよう言い渡した。


「判決は、おおむね僕が主張したことを認めてくれました。これで一つの道筋をつけられたのではと思っています」(篠山)


 一方、ここ数年、公正取引委員会は、芸能事務所と所属タレントとの間の、時に“奴隷契約”とも揶揄されるいびつな取引関係に目を光らせてきた。


 19年には、ジャニーズ事務所やテレビ局に対し、元SMAPのメンバー3人のテレビ出演を妨げないように注意・指導を行い、昨年9月には、業界全体に指針まで示した。芸能事務所からの移籍・独立、その後の芸名使用や共演・活動の制限の禁止、芸能事務所の優越的地位の乱用ともいえる契約関係の是正など。過去を遡れば、のんや加勢大周ら、元の芸能事務所との間のトラブルが思い出される。


 その中の「報酬に関する一方的決定」の項目がまさに篠山のケースが該当するもので、事務所側は「税務の煩雑さを避けるため」と篠山に説明していたというのだから、語るに落ちるとはこのこと。

篠山は自らの権利回復のみならず、こうした芸能界全体の旧態依然とした商慣行の見直しにつながってくれればと話す。実際、TBSラジオ「こねくと」でメインパーソナリティーなどを務める石山蓮華(33)ら、同じ異議を唱える声は他でも上がっていた。


 篠山が所属していたスペースクラフトに今回の判決について問うと「原告の主張を一部容認した判決は、重大な問題があると考え、控訴を検討中。これ以上の詳細なコメントは、係争中につき、差し控えたい」と回答した。果たして反旗は広がるか。 


(横関寿寛/ジャーナリスト)


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