「精神的には落ち着いてきました。病院の方はいかがでしょうか? そうですか。

私、もう戻れないですね。自主退職します」


 出勤停止を命じられてから3週間後、警察が捜査を行っていることを病院から聞いた看護師は電話口でこう話し、今年2月末で退職したという。


 千葉県柏市の「柏たなか病院」で今年1月、入院中の男性患者(当時75)の点滴に便を注入し、殺害したとして、元看護師の古川美由紀容疑者(51)が殺人の疑いで逮捕された事件。死因は敗血症による多臓器不全。便に含まれる細菌が体内に流入したとみられる。


 事件は古川容疑者が男性准看護師と2人で夜間の当直をしている時間帯に起きた。古川容疑者は夜勤のリーダー看護師だった。


 1月30日午前3時55分ごろ、古川容疑者は男性患者に投与されていた点滴のチューブの側管から、注射器を使って便を混入させた。


 古川容疑者は男性患者の担当ではなかったが、「病状が心配だから立ち寄った」という理由で複数回、病室を出入りしていた。


 便の入手経路について、同病院の長谷川奉延院長は16日の会見で「汚物室におむつの捨て場があり、看護師は誰でも入室可能な状況であった。容疑者がそこに入れる立場だったのは間違いない」と説明した。


■証拠隠滅を図る


 午前4時過ぎ、男性患者は準看護師に「苦しい」と体調の悪化を訴えた。

駆け付けた看護師長が透明なはずの点滴チューブが茶色く濁っていることに気づき、すぐに抜去。外したチューブを滅菌カップに収納して足元に置いた。しばらくして滅菌カップがなくなっていたため、所在を確認したところ、古川容疑者は「スタッフステーションに移動させた」と話したという。


 翌31日午後10時半ごろ、男性患者の死亡が確認された。病院側は事件性が疑われると判断。古川容疑者本人からも「気が動転した。精神的に働ける状態ではない」という申し出があったため、出勤停止の措置を取った。


 古川容疑者と男性患者の間にトラブルはなく、自己評価では「不満はない。病棟で頑張っています」と申告していたという。


 事件前、スマホで「便注入、死ぬか」と検索をしていたという古川だが、殺害動機はいまだに謎のままだ。


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