フィリピン中部レイテ島タクロバン市のサンホセ国立高校で2026年6月22日午前9時ごろ、14歳と15歳の少年による銃乱射事件が発生し、無関係な同級生ら3人が死亡、20人が負傷した。少年らは事前に少年法を調べ刑事責任を問われない年齢を悪用して4月から犯行を計画、動機はいじめへの報復や過激なゲームへの没頭とされる。


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 今回の事件で最も重大視されているのが、主犯格の14歳少年が凶器に用いた自動拳銃「グロック17」の出所である。この銃は少年の叔母である女性警察官の公用拳銃だった。フィリピンでは、密造銃や盗難銃、さらには海外からの密輸入銃が街中に広く蔓延しており、治安リスクが極めて高い。警察官やその家族が犯罪組織やテロリストから日常的に命を狙われる危険があるため、勤務時間外であっても自己防衛や市民の安全確保を目的として、公用銃を自宅へ持ち帰り常時携帯(24時間体制の自主管理)することが国から法的に認められ、むしろ「普通」の運用となっている。

 今回の悲劇は、この治安上の要請から生まれた自宅保管制度の甘さを突かれた形だ。少年は叔母から過去に射撃の手ほどきを受けていた形跡もあり、警察は武器管理を怠った女性警察官を更迭し内部調査を進めている。一方、共犯の15歳少年が持っていた38口径リボルバーはセブ市の警備会社から密売ルートで流出したもので、現場では1発のみ発射されていた。弾道鑑定の結果、犠牲者らの死傷原因はすべて14歳少年の放ったグロックによるものと特定された。グロックの標準装弾数(17発)を超える空のマガジンが2本発見されており、少年が途中で弾倉を自力で入れ替えて少なくとも33発以上を連射したという冷酷な事実が裏付けられている。

 このフィリピン特有の「常時携帯・自宅保管」の仕組みは、アジア近隣諸国の警察における銃器管理体制と比較するとその特異性が際立つ。例えば日本の警察では、世界屈指の厳格な「原則返納・集中管理」が徹底されている。日本の警察官は出退勤時に警察署の拳銃保管庫で厳重な受払いを行い、勤務時間外に私生活の場へ公用銃を持ち帰ることは法令で完全に禁止されている。
そのため、家族や同居人が公用銃を持ち出すという事態は物理的に発生しない。

 ベトナムの人民公安(警察)も共産党指導下でさらに厳格な集中管理を行っており、上級幹部の署名入りの命令書がなければ武器庫から銃を取り出すことすらできず、非番時の持ち帰りは重大な国家規律違反となる。

 韓国警察も日本と同様の返納制を敷いており、近年では実弾拳銃の代わりにゴム弾や電磁衝撃銃(テイザー銃)といった低致死性兵器への移行を進め、ハード面からのリスク低減を図っている。

 また、インドネシア国家警察では特定の捜査官に自宅持ち帰りを許す場合があるものの、定期的な精神鑑定や厳しい内部監査を課し、家族への流出には即座に免職という重い罰則で臨んでいる。

 これら近隣諸国が組織による物理的な隔離や厳格な監査で銃器トラブルを抑え込んでいるのに対し、フィリピン警察は個々の警察官の道徳性や自主的な管理能力に依存せざるを得ない構造的課題を抱えている。銃器管理の不備、未成年の計画的犯行、そしてデジタル環境の影響という三重の課題は、同国社会に重い十字架を突きつけている。
【編集:Eula】
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