世界銀行は2026年7月初旬、フィリピンの1人当たり国民総所得(GNI)が4850ドルに達し、基準値4636ドルを超えたとして、同国を「高中所得国(Upper-Middle Income Country=UMIC)」に分類した。フィリピンは1987年以来「下位中所得国」に位置づけられてきたが、約40年ぶりに格上げとなった。
政府は「経済の基盤強化を国際的に認められた」と強調し、投資環境改善や雇用創出につながると期待を示している。

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 フィリピン紙「Philippine Daily Inquirer」は、衆議院政策・予算研究局長が「フィリピンが国家として確実に発展する能力を証明するものだ」と述べたと報じた。大統領府も「海外労働者の送金が国民総所得に大きく寄与している」と認め、海外出稼ぎ労働者(OFW)の役割を評価した。政府関係者は「象徴的な変化にとどまらず、国民生活に直結する成果を伴うべきだ」と強調し、格差是正と貧困削減を最優先課題に掲げている。

 しかし、現実は格上げの数字ほど明るくはない。世界銀行の報告によれば、国内の貧困率は依然として15%を超え、台風や医療費など突発的支出で生活が不安定化する家庭も多い。中間層は人口の4分の1程度にとどまり、経済的安全圏にある層は限られている。フィリピン紙「Manila Bulletin」は「多くの家庭は海外送金に依存し、国内雇用の不足を補う構造が続いている」と指摘した。OFWの送金は国民総所得の重要部分を占め、国家の発展を支える力であると同時に、国内労働市場の脆弱性を示すものでもある。

 政府は今後、インフレ抑制や購買力強化を重点課題に掲げ、インフラ投資や教育・労働スキル向上を進める方針だ。世界銀行は「包括的改革が進めば2040年までに貧困率を3%以下に抑え、安定した中間層を人口の過半に拡大できる」と試算している。だが、海外送金依存から脱却し、国内で安定した雇用と社会保障を整備できるかが、真の「中所得国定着」の試金石となる。


 フィリピンが国際的に「高中所得国」と認められたことは確かに歴史的節目だが、現実には貧困層の厚さとOFW依存が続いている。国家の発展能力と国民生活の安定との間に残された隔たりを埋められるかどうかが、次の段階への鍵となる。
【編集:Eula】
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