フィリピンのマルコス政権が国家の最重要課題として推進する大規模インフラ整備計画「ビルド・ベター・モア」の目玉事業である「マニラ首都圏地下鉄プロジェクト」が、日本の政府開発援助(ODA)を全面的に活用し、着実な進捗を見せている。2026年に入り、日本政府からの大規模な追加円借款の供与や、政府予算による約441億ペソ(約1160億円)の資金投入が相次いで決定した。
さらに2026年7月には、将来の地下鉄運営とメンテナンスを民間企業へ委託する総額約1791億ペソ(約4713億円)規模の公的民間パートナーシップ(PPP)契約の入札に向けた詳細要件の策定が佳境を迎えている。東京で実施された官民市場対話イベントを契機に、日本企業各社がフィリピンの鉄道民営化事業への投資に関心を示すなど、2026年7月現在、建設だけでなく将来の効率的な運営体制の構築に向けて日比協力の枠組みが一段と具体化しつつある。

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 現地有力紙フィリピン・スターなどの報道によれば、フィリピン運輸省は2027年第3四半期までに同地下鉄の運営権契約を落札企業と締結する計画で、逆算した準備手続きを2026年7月期に一挙に加速させている。これに先立ち、これまでにマルコス大統領や遠藤和也駐フィリピン日本国特命全権大使らが出席し、日本の西松建設などが受注したカラヤンアベニュー駅からボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)駅を結ぶ重要区間をはじめとする各工区の起工式が盛大に執り行われてきた。用地買収の遅れから全体の完全開通は2032年にずれ込む見通しとなったものの、マルコス大統領は「当初の予定からプロセスを前倒しし、予測よりもさらに迅速に動いている」と進捗への強い自信を表明した。運輸省は2028年第1四半期に少なくとも2駅を含む一部区間で先行試験運行を開始する方針を崩しておらず、2026年7月現在、各地の地下建設現場では10機の大型シールドマシン(トンネル掘削機)が毎日フル稼働で掘削を続けている。

 総事業費が約4410億ペソ(約1兆1600億円)に上る巨大プロジェクトの資金面を強力に下支えしているのが日本のODAである。2026年3月27日には、マニラ首都圏地下鉄計画の第4期ローンとして約2200億円(約848億ペソ)に上る新たな円借款の交換公文が結ばれた。この潤沢な資金は、北部ヴァレンズエラ市から南部パラニャーケ市のニノイ・アキノ国際空港第3ターミナルまでを結ぶ全長約33キロメートルの地下鉄路線建設、17駅舎の整備、30編成に及ぶ鉄道車両の調達などに充てられる。また、このプロジェクトには日本の優れた技術やノウハウを提供する本邦技術活用条件(STEP)が適用されている。地震や台風が頻発するフィリピンにおいて、日本の耐震設計や地下空間の浸水対策、安全かつ高効率なトンネル掘削技術が全面的に採用されており、「質の高いインフラ」輸出のショーケースとしても重要視されている。さらに、日本の技術者が現地フィリピン人スタッフを熱心に指導・育成する人材育成スキームについても、マルコス大統領から極めて高い評価が与えられている。


 全線開通後に見込まれる劇的な経済効果への期待は、現地経済界の間でも日増しに高まっている。現在、起点ヴァレンズエラ市から首都圏を代表する新興ビジネス拠点BGCまでの移動には深刻な交通渋滞により1時間半以上を要しているが、地下鉄開通後はわずか29分にまで大幅短縮される見込みだ。さらに、既存の高架鉄道LRT(軽量軌道交通)やMRT(首都圏鉄道)、そして同じく日本のODA支援で建設が進む「南北通勤鉄道(NSCR)」とも複数の結節点でスムーズに接続される計画で、マニラ首都圏と周辺州をシームレスに網羅する巨大広域交通ネットワークが完成する。マルコス大統領は前政権から引き継いだインフラ整備のさらなる加速を政権運営の柱に据え、輸送コストの劇的削減と投資環境の飛躍的改善を通じて、フィリピン経済の持続的かつ強靭な成長を目指している。日本が長年にわたり提供し続ける揺るぎない支援と世界最高水準の技術力が、フィリピン国民生活を根底から向上させ、日比両国の経済的、地政学的結びつきを一層強固なものへと昇華させている。
【編集:Eula】
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